
- 退職金規程の Word テンプレートと、退職金・手取りを計算するエクセルを無料でダウンロードできる(会員登録不要)
- 支給率表の決め方と、厚生労働省のモデル就業規則(第54〜56条)・中退共の規程例との違い
- 勤続年数の数え方が「規程」と「税金」で違う理由と、エクセルの式(DATEDIF の "Y" と "M")
- 退職所得控除額・課税退職所得金額・所得税・住民税を、国税庁の計算例と同じ値になる式で出す方法
- 支払の時期・退職金の保全措置・全員が辞めた場合の見積りと、就業規則・賃金規程との関係
退職金規程テンプレートと計算エクセルのダウンロード(Word・エクセル・PDF)
配っているファイルは6つです。規程の文面は Word で直し、支給率と額はエクセルで確かめます。 規程の別表とエクセルの「設定」シートには、同じ支給率を入れて使います。
| ファイル | 中身 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 退職金規程 Word(空欄) | 4章13条・附則・別表(支給率表)。【 】が記入欄。最後のページは使い方(規程には含めない) | 自社の規程を作る・直す |
| 退職金規程 PDF(空欄) | Word と同じ内容(4ページ) | 印刷して手書きで下書きする |
| 退職金規程 記入例PDF | 架空の「株式会社サンプル精機」が埋めた状態(3ページ)。記入した所は赤字 | どの欄に何を書くかを先に見る |
| 退職金の計算エクセル(空欄) | 5シート。支給率表には厚生労働省モデル就業規則 第55条の表の値が最初から入っている | 自社の率を入れて、退職金・税金・振り込む額を出す |
| 退職金の計算エクセル(記入例) | サンプル精機の率と、架空の退職者1人・在籍者10人を入れた版 | 何を入れると何が出るかを先に見る |
| エクセルの記入例PDF | 退職金の計算書(A4縦1枚)・全員の見積り(A4横)・設定(A4縦)の3ページ | 印刷の仕上がりを確かめる |
規程を Word にしたのは、労働基準監督署に届け出たり従業員に見せたりする文書で、条文を書き換えて使うからです。 計算は条文では確かめられないので、エクセルに分けました。
エクセルのシート構成(5シート)と Word の条文
| シート | 中身 | 入力するもの |
|---|---|---|
| 使い方 | 使う順番・色の意味・退職の事由の選び方・勤続年数の数え方・税金の前提・使っている関数 | なし |
| 設定 | 端数の扱い(1か月未満の日数・1年未満の端数・金額の端数)、支払の時期、退職の事由ごとの係数、支給率表46行(支給率・自己都合の係数) | 規程の第4〜6条・第9条・別表と同じ値 |
| 退職金の計算 | 1人分の計算書(A4縦1枚)。規程の勤続年数・支給率・係数・退職金の額・支払の期限・退職所得控除額・課税退職所得金額・所得税・住民税・振り込む額 | 作成日・氏名・入社日・退職日・退職の事由・基本給・除く月数・功労加算金・減額の率・中退共などの額・申告書の有無など |
| 全員の見積り | 基準日に全員が自己都合で辞めた場合と、会社都合で辞めた場合の額と合計(50人分)。自己都合の合計の4分の1も出る | 基準日・氏名・入社日・基本給・除く月数 |
| 税額の表 | 速算表7段と、退職所得控除額・税率の値(出典つき) | なし(法令が変わったときだけ直す) |
Word の規程は、次の条でできています。
| 章 | 条 | 記入するところ |
|---|---|---|
| 第1章 総則 | 第1条 目的/第2条 適用範囲 | 就業規則の条番号、規程を適用する人と適用しない人 |
| 第2章 退職金の額 | 第3条 退職金の支給/第4条 退職金の額/第5条 退職の事由による係数/第6条 勤続年数の計算/第7条 功労加算/第8条 退職金の減額及び不支給 | 金額の端数、定年・会社都合・死亡の係数、1か月未満と1年未満の端数、休職の条番号、懲戒解雇の条番号 |
| 第3章 支払 | 第9条 支払の時期/第10条 支払の方法/第11条 死亡したときの支払先 | 退職の日から何か月以内に払うか |
| 第4章 雑則 | 第12条 規程の変更/第13条 中小企業退職金共済等との関係 | 共済の名前(加入していなければ第13条を消す) |
| 附則・別表 | 施行日/支給率表(1年未満〜45年以上、支給率と自己都合の係数) | 施行日と46行の率 |
退職金規程と計算エクセルの使い方(作る順番)
- エクセルの「設定」シートに、端数の扱い・支払の時期・退職の事由ごとの係数と、支給率表の支給率・自己都合の係数を入れます。空欄のファイルには、厚生労働省モデル就業規則 第55条の表の値が入っているので、自社の率に書き換えます
- 「全員の見積り」シートに在籍している人の入社日と基本給を入れ、全員が辞めた場合の合計を見ます。払えない額なら、支給率を見直します
- 決めた率を、Word の規程の別表に書き写します。第4〜6条・第9条の【 】も、設定シートと同じ値にします
- 就業規則に「退職金については、別に定める退職金規程による」と書き、その条番号を規程の第1条に入れます
- 常時10人以上の事業場は、過半数労働組合(ないときは過半数代表者)の意見を聴き、意見を書いた書面を添えて労働基準監督署へ届け出て、従業員に周知します(労働基準法89条・90条・106条)
- 退職する人が出たら、「退職金の計算」シートに入社日・退職日・退職の事由・基本給などを入れ、A4縦1枚の計算書を印刷します。支払の期限までに、税金を差し引いて振り込みます
記入例の計算(自己都合・入社から15年7か月)
記入例は、架空の「株式会社サンプル精機」で、製造部の見本 次郎さんが自己都合で退職する設定です。 入社は2011年4月1日(金)、退職は2026年10月31日(土)、退職日の基本給は320,000円。2019年6〜8月に私傷病で3か月休職しています。 サンプル精機の設定は、1か月未満の日数を1か月に切り上げ、1年未満の端数は月割り、金額は100円未満を切り上げ、支払は退職の日から2か月以内です。
| 欄 | 出た値 | 計算 |
|---|---|---|
| 入社日から退職日まで | 15年7か月 | 2011年4月1日〜2026年10月31日(端数の日数なし) |
| 規程の勤続年数 | 15年4か月 | 休職の3か月を引く(規程 第6条4項) |
| 支給率 | 10.2667 | 15年の10.0+(16年の10.8-10.0)×4÷12(月割り) |
| 退職の事由による係数 | 0.9 | 自己都合。別表の15年の行の係数 |
| 退職金の額 | 2,956,800円 | 320,000円×10.2667×0.9。100円未満の端数なし |
| 支払の期限 | 2026年12月31日(木) | 退職日から2か月 |
| 税金の勤続年数 | 16年 | 休職も含めた15年7か月。1年未満の端数を1年に切り上げる |
| 退職所得控除額 | 6,400,000円 | 40万円×16年 |
| 所得税・住民税 | 0円 | 退職金の額が控除額より少ないので、課税退職所得金額は0円 |
| 本人に振り込む額 | 2,956,800円 | 税金を差し引かない |
税金が0円になる理由は、計算書の下に赤字で出ます。死亡による退職・中退共などからも払われる・ほかの退職金がある、のときも、税額を計算しない理由が赤字で出ます。
配布前に確かめたこと
当サイトでは、配布前に次のことを確かめました(2026年10月3日)。
- 空欄・記入例と、入力を乱数で変えた変化形を LibreOffice で再計算し、エラー表示(#N/A・#REF!・#VALUE! など)のセルが0件
- 端数の扱い(切り捨て/1か月に切り上げ/月割り/6か月以上を1年)・金額の端数・退職の事由4つ・減額の率・申告書の有無・障害者の退職を変えた89通りで、計算書と全員の見積りの計24,752セルを、数式を使わずに分数で計算した値と突き合わせて不一致0件
- 速算表の7段すべてに当たる60通りで、所得税と住民税が数式を使わない計算と一致
- 国税庁 No.2732 の計算例3つ(申告書あり2つ・申告書なし1つ)と同じ値になること
- 住民税の式が、総務省の特別徴収税額早見表の全3,199行と一致すること
- 復興特別所得税の倍率と月割りの式をわざと壊したファイルでは、不一致が出ること(突き合わせの検査が働いていることの確認)
支給率表の決め方と、公的な規程例との違い
退職金の額を「退職日の基本給×勤続年数ごとの支給率」で決める形は、厚生労働省のモデル就業規則 第55条と同じです。 モデル就業規則の表は、勤続年数を5年ごとに区切っています( 厚生労働省 モデル就業規則(令和7年12月版) )。
| 勤続年数 | 5年未満 | 5〜10年 | 11〜15年 | 16〜20年 | 21〜25年 | 26〜30年 | 31〜35年 | 36〜40年 | 41年〜 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 支給率 | 1.0 | 3.0 | 5.0 | 7.0 | 10.0 | 15.0 | 17.0 | 20.0 | 25.0 |
この表は、空欄のエクセルの初期値に入れてあります。5年ごとの区切りでは、勤続10年と11年で率が3.0から5.0に変わり、1年違いで額が大きく変わります。 このテンプレートの支給率表は1年ごとの46行なので、区切りを細かくできます。月割りを選べば、年の途中でも率が少しずつ上がります。
スマホでは図を横にスクロールして見られます。
公的な規程例との違いは、次のとおりです。モデル就業規則の第54〜56条は就業規則の中の3条で、中退共の Q&A 8-3-1 は中退共を使う会社の規程例です ( 中退共 Q&A 8-3-1 )。 このテンプレートは、自社で退職金を払う会社が、次のことを決めて書けるようにしています。
| 決めること | モデル就業規則 第54〜56条 | このテンプレート |
|---|---|---|
| 退職の事由による差 | なし(基本給×支給率) | 定年・会社都合・死亡の係数と、勤続年数ごとの自己都合の係数(第5条・別表) |
| 勤続年数の端数 | なし | 1か月未満の日数と1年未満の端数の扱いを選ぶ(第6条2項・3項) |
| 金額の端数 | なし | 何円未満を切り上げるか・切り捨てるか(第4条3項) |
| 休職の期間 | 会社都合を除き算入しない(第55条2項) | 同じ考え方。休職の条番号を書く(第6条4項) |
| 減額・不支給 | 懲戒解雇された者に全部または一部を支給しないことがある(第54条) | 懲戒解雇のほか、払う前・払った後に懲戒解雇の事由が分かったとき(第8条) |
| 死亡したときの支払先 | 遺族に支払う(第56条) | 労働基準法施行規則42〜45条の遺族補償の順位による(第11条) |
| 中退共などとの関係 | なし | 共済から払われる額との差額を会社が払う(第13条) |
死亡したときの支払先は、規程に書いておくほうが払う相手で迷いません。モデル就業規則の解説は、別段の定めがない場合には遺産相続人に支払うものと解される、と書いています。 第11条は、労働基準法施行規則42条〜45条の遺族補償を受けるべき者の範囲と順位(配偶者、配偶者がないときは子・父母・孫・祖父母の順など)を使う書き方にしました ( e-Gov 法令検索 労働基準法施行規則 )。
勤続年数の数え方(規程の数え方と税金の数え方は別)
退職金の計算では、勤続年数を2回数えます。規程の支給率を引く年数と、退職所得控除額を出す年数です。数え方が違うので、エクセルでも別の欄に出しています。
| 規程の勤続年数(支給率を引く) | 税金の勤続年数(退職所得控除額) | |
|---|---|---|
| 決めているもの | 自社の規程(第6条) | 所得税法施行令69条・国税庁 No.2732 |
| 休職の期間 | 会社都合以外の休職は除く(規程で決める) | 除かない |
| 1か月未満の日数 | 切り捨て または 1か月に切り上げ(設定で選ぶ) | 年で数えるので扱いなし |
| 1年未満の端数 | 切り捨て/月割り/6か月以上を1年(設定で選ぶ) | 1年に切り上げる |
| 記入例 | 15年4か月 | 16年 |
税金の勤続年数は、国税庁 No.2732 が「勤続期間に1年に満たない端数があるときは1年に切り上げます」と書いています( 国税庁 No.2732 )。 日額表の丙欄が適用されていた期間など、国税庁 No.2732 が勤続期間から除くとしている期間がある人は、このエクセルの税額を使わないでください。
エクセルでの数え方
- 入社日から退職日までの満月数:
DATEDIF(入社日,退職日+1,"m")。退職日を含めて数えるので、4月1日入社・3月31日退職はちょうど12か月になります - 1か月未満の日数があるか:
DATEDIF(入社日,退職日,"m")が上の満月数と同じなら、日数が残っています - 税金の勤続年数:
DATEDIF(入社日,退職日+1,"y")に、1年未満の日数が残っていれば1を足します
1か月未満の日数を「MD」で出す方法は使っていません。Microsoft のサポートページが、"MD" 引数は負の値やゼロ、不正確な結果を返すことがあるとして使用を勧めていないためです ( Microsoft サポート DATEDIF 関数 )。
自己都合退職の減額と、懲戒解雇の不支給
自己都合のときに額を減らすなら、減らし方を規程に書きます。このテンプレートは、別表の勤続年数ごとに「自己都合の係数」を入れる形です。 記入例のサンプル精機は、勤続2年以下0.5・3〜4年0.6・5〜9年0.7・10〜14年0.8・15〜19年0.9・20年以上1.0にしています。この値は記入例のための架空の値です。
記入例の全員の見積り(下の表)では、自己都合の合計が35,690,400円、会社都合の合計が37,876,200円で、差は2,185,800円です。 差が出るのは勤続20年未満の7人で、勤続20年以上の3人は係数1.0なので同じ額です。係数を変えたときに会社の負担がいくら変わるかは、設定シートの係数を書き換えると全員の見積りに出ます。
懲戒解雇などで退職金を減らす・払わないことがあるなら、それも規程に書きます。東京都の「就業規則の手引」は、退職手当に不支給事由や減額事由を設ける場合は、労働基準法89条3号の2の事項に当たるので就業規則に記載する必要がある、としています ( 東京都 就業規則の手引 第6章 )。 このテンプレートの第8条は、懲戒解雇のとき、払う前に懲戒解雇の事由が分かったとき、払った後に分かったときの3つを書いています。 エクセルでは、退職の事由を「自己都合退職・その他」にし、「減額・不支給の率」に何%減らすか(全部払わないなら100)を入れます。
第8条は「全部又は一部を支給しないことがある」という書き方で、懲戒解雇なら必ず0円にする、とは書いていません。 どこまで減らせるかは法令に数字の決まりがないので、適用する前に社会保険労務士か弁護士に相談してください。
退職金から差し引く税金と、振り込む額の計算
退職金は、ほかの所得と分けて税金を計算し、会社が払うときに差し引きます( 国税庁 No.1420 )。 本人から「退職所得の受給に関する申告書」を受け取っている場合、エクセルは次の順に計算します。
- 退職所得控除額: 税金の勤続年数が20年以下なら40万円×年数、20年を超えるなら800万円+70万円×(年数-20年)。80万円に満たないときは80万円。障害者になったことが直接の原因で退職したときは100万円を加えます(所得税法30条3項・6項)
- 課税退職所得金額: (退職金の額-退職所得控除額)×1/2。1,000円未満は切り捨て。税金の勤続年数が5年以下のときは、300万円を超える部分を1/2にしません(同法30条2項・4項)
- 所得税・復興特別所得税: 速算表で(課税退職所得金額×税率-控除額)×102.1%。1円未満は切り捨て( 国税庁 速算表 )
- 住民税: 課税退職所得金額×6%(市町村民税)と×4%(道府県民税)。それぞれ100円未満は切り捨て(地方税法328条の3・50条の4、 総務省 )
- 振り込む額: 会社が払う退職金-所得税・復興特別所得税-住民税
申告書を受け取っていない人は、所得税・復興特別所得税を退職金の額の20.42%で差し引き、本人が確定申告で精算します(国税庁 No.2732)。 住民税は、申告書を出していない人も同じ式です(地方税法328条の6第2項、 e-Gov 法令検索 地方税法 )。 令和9年分からは所得税・防衛特別所得税・復興特別所得税を差し引きますが、国税庁 No.1420 は、合計の税率は変わらず源泉徴収税額の計算方法に変更は生じない、と書いています。
国税庁の計算例・総務省の早見表と同じ値になるか
| 国税庁 No.2732 の計算例 | 退職金の額 | 退職所得控除額 | 課税退職所得金額 | 所得税・復興特別所得税(国税庁の値=エクセルの値) | 住民税(エクセルの値) |
|---|---|---|---|---|---|
| 例1(勤続10年2か月・申告書あり) | 8,000,000円 | 4,400,000円 | 1,800,000円 | 91,890円 | 108,000円+72,000円 |
| 例2(勤続29年2か月・申告書あり) | 23,000,000円 | 15,000,000円 | 4,000,000円 | 380,322円 | 240,000円+160,000円 |
| 申告書なし | 8,000,000円 | - | - | 1,633,600円 | 勤続年数で決まる(例1と同じ勤続なら 108,000円+72,000円) |
所得税の欄は、国税庁の計算例と同じ値になりました。例2は国税庁の式では380,322.5円で、1円未満を切り捨てると380,322円です。 小数の誤差で1円ずれないように、エクセルでは102.1%を「×1021÷1000」、20.42%を「×2042÷10000」の整数の計算にしています。
住民税は国税庁の例に載っていないので、総務省の「特別徴収税額早見表(平成25年1月1日以降適用)」で確かめました。 早見表は40ページ・3,199行(退職所得控除後の金額 4,000円〜7,999,999円)で、各行の「から」と「まで」の両方を、エクセルと同じ式で計算し、市町村民税・道府県民税とも全行で一致しました ( 総務省 特別徴収税額早見表(PDF) )。
次のときは、エクセルは税額を計算しません。役員の退職金(勤続5年以下の役員は計算が違う)、死亡による退職(相続税の対象になるものは所得税の対象にならない)、同じ年や前年以前4年内にほかの退職金を受け取っている人(重複期間の計算が要る)、中退共などからも払われる人です。
支払の時期・全員の見積り・退職金の保全措置
退職金を払う時期は、規程の第9条に「退職の日から【 】か月以内」と書きます。 労働基準法23条は、退職の場合に請求があったときは7日以内に賃金を払うよう定めていますが、退職手当は、あらかじめ定めた支払時期に払えばよいとされています。 支払時期を定めていない場合は、請求日から7日以内に払わなければなりません( 群馬労働局 ・ 沖縄労働局 )。
退職金の制度を設けた事業主は、払うための額について保全措置を講ずるように努めることとされています(賃金の支払の確保等に関する法律5条)。 保全する額の決め方の1つが、「労働者の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職手当として支払うべき金額の見積り額の四分の一」です(同法施行規則5条1号)。 中退共などと契約している事業主は、保全措置の対象から外れます(同規則4条、 e-Gov 法令検索 賃確法施行規則 )。
エクセルの「全員の見積り」シートは、この見積り額と4分の1を出します。記入例(基準日 2027年3月31日(水))は次のとおりです。
| 氏名 | 入社日 | 基本給(円) | 規程の勤続年数 | 支給率 | 自己都合(円) | 会社都合(円) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| サンプル 一郎 | 1993/4/1 | 452,000 | 34年0か月 | 26.0 | 11,752,000 | 11,752,000 |
| 見本 花子 | 1998/4/1 | 398,000 | 29年0か月 | 23.0 | 9,154,000 | 9,154,000 |
| サンプル 三郎 | 2004/10/1 | 356,000 | 22年6か月 | 16.5 | 5,874,000 | 5,874,000 |
| サンプル 四郎(休職6か月) | 2009/4/1 | 334,000 | 17年6か月 | 12.0 | 3,607,200 | 4,008,000 |
| 見本 五月 | 2013/7/16 | 301,000 | 13年9か月 | 9.0 | 2,167,200 | 2,709,000 |
| サンプル 六郎 | 2016/4/1 | 286,000 | 11年0か月 | 6.8 | 1,555,900 | 1,944,800 |
| 見本 七海(休職12か月) | 2019/4/1 | 262,000 | 7年0か月 | 4.2 | 770,300 | 1,100,400 |
| サンプル 八郎 | 2022/4/1 | 238,000 | 5年0か月 | 3.0 | 499,800 | 714,000 |
| 見本 九太 | 2024/9/1 | 226,000 | 2年7か月 | 1.7917 | 202,500 | 405,000 |
| サンプル 十子 | 2026/4/1 | 215,000 | 1年0か月 | 1.0 | 107,500 | 215,000 |
| 合計(10人) | 35,690,400 | 37,876,200 |
自己都合の合計の4分の1は8,922,600円です。サンプル精機は中退共などに入っていない設定なので、この額が保全を考えるときの目安の1つになります。 基準日を空欄にすると今日の日付で数えるので、決算のたびに開くと、退職金の負担がどれだけ増えたかが分かります。
就業規則・賃金規程・中退共との関係
| 書類 | 何を決めるか | 退職金規程との関係 |
|---|---|---|
| 就業規則 | 労働時間・休日・賃金・退職など、職場のルール全体 | 就業規則に「退職金は別に定める退職金規程による」と書く。退職金規程も就業規則の一部として届け出る |
| 賃金規程 | 毎月の賃金の決め方・計算・締切り・支払日・昇給(労働基準法89条2号) | 退職金の計算の元になる「基本給」と「諸手当」の区別は賃金規程で決まる。退職金規程の第4条2項は諸手当を含めない |
| 退職金規程(このページ) | 退職金を払う人の範囲・額の計算・支払の方法と時期(同法89条3号の2) | - |
| 中退共の規程例(Q&A 8-3-1) | 中退共だけで実施する場合・退職金額を定めて実施する場合 | 退職金を中退共だけで払う会社は、こちらの例が合う |
パートタイマー・有期契約の従業員を規程の対象から外すときは、パートタイム・有期雇用労働法8条(通常の労働者との不合理な待遇の相違の禁止)に照らして説明できるかを確かめます ( e-Gov 法令検索 パートタイム・有期雇用労働法 )。 懲戒の種類と手続きは懲戒手続きパック、休職の扱いは休職・復職パックで、就業規則側の条番号と合わせます。
よくある質問
退職金規程は、必ず作らなければいけませんか?
自己都合退職の退職金は、どれくらい減らしてよいのですか?
退職金は、退職日から何日以内に払えばいいですか?
中退共に入っている会社でも、このテンプレートを使えますか?
Excel 2016 や Google スプレッドシートでも計算できますか?
関連テンプレート
- 就業規則テンプレート(退職金規程を委任する条を書くとき)
- 賃金規程テンプレート(基本給と諸手当の区別を決めるとき)
- 労使協定パック(賃金控除協定など、過半数代表者と結ぶ協定)
- 懲戒手続きパック(懲戒解雇と退職金の減額・不支給を扱うとき)
- 休職・復職パック(勤続年数から除く休職の期間を記録するとき)
- 給与計算エクセル(最後の月の給与を計算するとき)
- 給与明細テンプレート(最後の月の給与明細を渡すとき)
- 退職届テンプレート(自己都合の退職日を確かめるとき)
- 退職合意書テンプレート(会社都合・合意退職で退職金の額を書くとき)
- 退職証明書テンプレート(退職した人から請求されたとき)
- 業務引継書テンプレート(退職前の引継ぎと返却物の確認)
- 旅費規程テンプレート(ほかの社内規程をそろえるとき)
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-03 確認時点)。
- e-Gov 法令検索 労働基準法(23条・89条3号の2・90条・106条・115条・附則143条)
- e-Gov 法令検索 労働基準法施行規則(42条〜45条)
- e-Gov 法令検索 所得税法(30条)
- e-Gov 法令検索 所得税法施行令(69条)
- e-Gov 法令検索 地方税法(50条の4・328条の3・328条の6)
- e-Gov 法令検索 賃金の支払の確保等に関する法律(5条)
- e-Gov 法令検索 賃金の支払の確保等に関する法律施行規則(4条・5条)
- e-Gov 法令検索 労働契約法(9条・10条)
- e-Gov 法令検索 パートタイム・有期雇用労働法(8条)
- 国税庁 No.2732 退職手当等に対する源泉徴収
- 国税庁 退職所得の源泉徴収税額の速算表(令和8年4月1日現在法令等)
- 国税庁 No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)
- 総務省 退職所得に対する住民税の特別徴収について
- 総務省 退職所得に係る道府県民税・市町村民税の特別徴収税額早見表(平成25年1月1日以降適用・PDF)
- 厚生労働省 モデル就業規則について
- 中退共 Q&A 8-3-1 退職金規程を作成したいのですが、ひな型はありますか?
- 東京都 就業規則の手引 第6章 退職金・賞与等(PDF)
- 群馬労働局 賃金支払いに関する事項のあらまし
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