労働・HR

雇用契約書テンプレート 建設業

雇用契約書テンプレートを無料ダウンロード。配布しているWordは正社員用・契約社員用の汎用書式で、正社員用の第14条(諸手当)に通勤手当・役職手当・住宅手当・家族手当・資格手当・固定残業手当(契約社員用は通勤・役職・資格・固定残業手当)、第15条に通勤費の条項があります。建設業で足したい現場手当・出張手当・特殊作業手当の書き方、2024年4月施行の時間外労働上限規制・建設業法・労働安全衛生法59条の扱いはこのページで解説します。Word・エクセル・印刷用PDFと記入例PDFを完備。

公開: 2026年5月5日 最終更新: 2026年8月26日 WordエクセルPDF 会員登録不要・無料
2026年10月16日 時点の情報
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雇用契約書テンプレート(正社員・契約社員)のプレビュー
配布書式は正社員用・契約社員用の汎用2種。正社員用の第14条の諸手当に通勤・役職・住宅・家族・資格・固定残業手当の欄あり(契約社員用は通勤・役職・資格・固定残業手当。現場手当・特殊作業手当の書き方はこのページで解説)

配布ファイルには、エクセル版も含まれています。エクセル版は、労働条件30項目の一覧入力+項目チェック表/賃金計算シミュレータ/雇用形態別比較/使い方ガイドの5シート構成です。建設業で足したい条項の書き方は、以下で解説します。

建設業の雇用契約書で必須の特殊事項

建設業の雇用契約書には、一般的な雇用契約書に加えて現場労働特有の手当・就業条件を明記する必要があります。曖昧なままにしておくと、手当の不支給トラブルや残業代計算のベースとなる賃金額を巡る紛争に発展しやすい業種です。 本ページの法令解説は 労働基準法第15条 ・ 建設業法 ・ 労働安全衛生法59条 に基づいています。

以下の5つの特殊事項を雇用契約書または別紙規程で明確化しておくことが重要です。

現場手当(現場ごとの加算)

建設現場での就業に対して支給される手当です。現場の規模・危険度・遠隔度に応じて金額が変わる場合は、「別途定める現場手当規程による」と雇用契約書に記載し、規程を別途整備します。

  • 金額が固定の場合: 「現場手当 月額〇〇円」と明記
  • 現場ごとに変動する場合: 「現場手当規程に基づき支給する」と記載し、規程本文を整備
  • 残業代計算の基礎賃金に現場手当を含める・含めないかを明示(含めない場合は法令上の除外要件を満たすか要確認)

通勤手当(直行直帰の取扱い)

建設業では現場が変わるたびに通勤経路・距離が変動します。直行直帰(自宅から現場へ直接出勤・現場から直接帰宅)の場合、通勤手当の計算方法を事前に合意しておかないとトラブルの原因になります。

  • 実費精算の場合: 最短経路の交通費を支給する旨と、申請方法(領収書・IC乗車履歴等)を明記
  • 上限設定の場合: 「月額〇〇円を上限とする」と明記
  • 直行直帰時の取扱い: 「現場最寄り駅からの交通費を実費支給する」等を具体的に規定

出張手当(遠隔現場)

宿泊を伴う遠隔現場への出張について、手当の内容を雇用契約書または出張旅費規程で定めます。

  • 宿泊費: 実費精算か定額(例: 1泊〇〇円)かを明示
  • 日当: 出張中の食事代などの雑費にあてる「1日あたり〇〇円」を支給する場合は、その額と支給条件(時間外・休日労働の割増賃金とは別のものです)
  • 家族帯同の可否・単身赴任手当の有無

特殊作業手当(高所・地下・重機・夜間)

危険度・負荷の高い作業への従事に対して支給する手当です。種類・支給条件・金額を明記しておくと、採用時の条件明示になり、残業代の計算でもどの手当を基礎に入れるかがはっきりします(特殊作業手当は割増賃金の基礎に含めます)。

手当の種類 支給条件の例 金額の書き方の例(統計ではありません)
高所作業手当 地上10m以上の高所での作業に従事した日 1日あたり500〜2,000円程度
地下・トンネル作業手当 トンネル内・地下構造物内での作業に従事した日 1日あたり1,000〜3,000円程度
夜間工事手当 22時〜5時の夜間帯に工事作業に従事した日 1日あたり2,000〜5,000円程度(深夜割増とは別に加算)
重機操作手当 クレーン・ショベル等の重機を操作した日 1日あたり500〜2,000円程度
粉塵・有害物質作業手当 石綿・粉塵・有害化学物質の処理作業に従事した日 1日あたり1,000〜3,000円程度

上記の金額は書き方を示すための例で、公的な統計や相場ではありません。実際の支給額は各社の賃金規程に基づいて定める必要があります。手当の設定にあたっては労働法専門の社労士または弁護士への確認を推奨します。

安全衛生教育の受講記録欄

雇用契約書とは別に安全衛生教育受講確認書を作り、労働者の署名をもらっておくと、労働安全衛生法59条に基づく教育を実施した記録になり、労災が起きたときに安全配慮義務を果たしていたことを示す材料にもなります。このページで配布している雇用契約書(正社員・契約社員の汎用書式)には受講確認欄は入っていないため、確認書は別に用意してください。

建設業法・労働安全衛生法対応条項

一人親方との区別(労働者性の判定)

建設業では「一人親方」として業務委託契約を結んでいるが、実態は雇用と同じ」という形が問題になりやすい業種です。労働基準監督署の調査や裁判で「労働者にあたる」と判断されると、未払いの残業代(請求できるのは3年分。 労働基準法115条・附則143条 )や、さかのぼって徴収される社会保険料(2年分。健康保険法193条・厚生年金保険法92条)を会社が負担することになりえます。

判断項目 労働者(雇用契約) 一人親方(業務委託)
作業時間の指定 会社が指定 本人が決める
作業場所の指定 会社が指定(現場を指定) 本人が独立して判断
道具・材料の負担 会社が負担 本人が調達・負担
報酬の性質 時間・日数に応じた賃金 成果物・工事完成に応じた請負代金
他社への就業 原則制限あり 複数の発注者から受注可能

一人親方への発注は必ず業務委託契約書で締結し、上記の「業務委託の実態」を契約書と日常の運用で一致させることが重要です。

元請・下請の労働条件明示義務

元請が下請の作業従事者について負う安全衛生上の義務の根拠は、建設業法ではなく労働安全衛生法29条(元方事業者の講ずべき措置等)・30条(特定元方事業者等の講ずべき措置)です。建設業の元請(特定元方事業者)は、協議組織の設置・運営、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視などを行わなければなりません(同法30条1項)。 なお建設業法24条の2の見出しは「下請負人の意見の聴取」で、元請が工程の細目・作業方法等を定めようとするときにあらかじめ下請負人の意見をきく義務を定めた条文です(安全衛生の確保義務を定めた条文ではありません)。また、直接雇用する労働者への労働条件の書面明示(労働基準法15条)は、元請・下請いずれの立場でも必須です。

  • 下請に仕事を出す際に、取引上の地位を不当に利用して通常必要と認められる原価に満たない請負代金を強制することは建設業法19条の3第1項(不当に低い請負代金の禁止)違反
  • 下請の労働者が被災した場合、元請にも安全配慮義務違反が問われる可能性あり
  • 施工体制台帳は、発注者から直接請け負った特定建設業者が下請契約の総額5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)で施工するときの作成・備置義務(建設業法24条の8・同法施行令7条の4)
  • 労働者名簿の調製は、建設業許可の区分を問わず事業場ごとに全使用者が負う義務(労働基準法107条)

労働安全衛生法59条(安全衛生教育)

事業者は新規雇用時・作業内容変更時に必ず安全衛生教育を実施しなければなりません(労安衛法59条1項・2項)。建設業では特に以下の教育が求められます。

  • 雇い入れ時教育・作業内容変更時教育: 次の8事項のうち、その労働者の業務に関する安全・衛生に必要なもの(労働安全衛生規則35条1項)。①機械等・原材料等の危険性・有害性と取扱い方法 ②安全装置・有害物抑制装置・保護具の性能と取扱い方法 ③作業手順 ④作業開始時の点検 ⑤その業務で起こるおそれのある疾病の原因と予防 ⑥整理・整頓・清潔の保持 ⑦事故時等の応急措置と退避 ⑧その他その業務の安全・衛生に必要な事項(十分な知識・技能がある労働者は、その事項を省略できます。同条2項)
  • 特別教育: 労働安全衛生規則36条が定める危険・有害業務(建設現場では、足場の組立て・解体・変更の作業(39号)、高さ2m以上で作業床を設けることが困難な所でのフルハーネス型墜落制止用器具を用いた作業(41号)、作業床の高さ10m未満の高所作業車の運転(10号の5)、つり上げ荷重5t未満のクレーンの運転(15号)、つり上げ荷重1t未満の移動式クレーンの運転(16号)、つり上げ荷重1t未満のクレーン等の玉掛け(19号)など)。1t以上の玉掛けや移動式クレーンは特別教育ではなく技能講習・免許の対象です
  • 職長教育: 新たに職長等(作業中の労働者を直接指導・監督する者)に就く人への教育(労働安全衛生法60条。建設業は同法施行令19条1号で対象業種)

建設業特有の労働時間ルール

2024年4月から建設業も時間外労働上限規制の対象

2024年4月1日より、建設業への時間外労働の上限規制(労働基準法36条)の適用が開始されました。5年間の猶予期間が終了し、一般事業と同様のルールが適用されています。詳細は 厚生労働省 建設業の働き方改革 を参照してください。

区分 上限時間 違反した場合
原則(限度時間) 時間外労働は月45時間・年360時間まで(労働基準法36条3項・4項。この時間を超える協定は特別条項が必要) 36協定で定めた時間を超えて働かせると労働基準法32条違反(6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。同法119条1号)
特別条項(臨時的な特別の事情がある場合) 時間外労働は年720時間以内・月45時間を超えられるのは年6回まで。時間外労働と休日労働の合計は月100時間未満・2〜6か月平均80時間以内(同法36条5項・6項) 協定の時間を超えた場合は上と同じ。協定の範囲内でも、実際の時間外・休日労働の合計が月100時間以上または2〜6か月平均80時間超になると同法36条6項違反(同じ罰則。119条1号)

ただし、以下の工事は2024年4月以降も特例として一部緩和があります。

  • 災害復旧・復興工事: 月100時間未満・2〜6ヶ月平均80時間以内のルールを適用しない
  • 注: 年720時間・月45時間超は年6回以内のルールは適用あり

36協定特別条項の記載例

建設業の36協定では特別の事情(臨時的な業務量増加)を具体的に記載する必要があります。

  • 特別の事情は一時的・突発的なものに限り、できる限り具体的に書きます。厚生労働省が建設業の例として挙げているのは「突発的な仕様変更への対応」「納期ひっ迫への対応」「大規模な施工トラブル対応」です( 厚生労働省「建設業の時間外労働の上限規制」 )
  • 同じページは「業務の都合上必要なとき」「業務上やむを得ないとき」のように恒常的な長時間労働につながるおそれのある書き方は認められないとしています
  • 月45時間を超えて働かせられるのは年6回(6か月)までです(労働基準法36条5項)

災害復旧時の特例

台風・地震等の自然災害後の復旧・復興工事では、月100時間未満・2〜6ヶ月平均80時間以内のルールが適用されません(労働基準法139条1項)。年720時間と「月45時間超は年6回まで」は適用されます。災害復旧・復興の事業を含む事業場の36協定は、様式第9号の3の2(特別条項を定める場合は様式第9号の3の3)で届け出ます(労働基準法施行規則70条1項)。どの工事が災害復旧・復興にあたるかは、適用した日ごとに記録を残しておくと説明しやすくなります。なお、災害などで臨時の必要がある場合に労働基準監督署長の許可(事態が急で間に合わないときは事後の届出)を受けて時間外労働をさせる労働基準法33条1項という別の例外もあります。

現場手当・特殊作業手当の設定例

建設業の現場手当・特殊作業手当は、残業代計算の「基礎賃金」に含めるかどうかを正しく理解しておくことが最重要です。割増賃金の基礎から除外できる手当は労働基準法37条5項・同法施行規則21条に限って列挙されており、下の表の現場手当・特殊作業手当はいずれも列挙に入っていません。

手当の種類 支給条件の目安 金額の書き方の例(統計ではありません) 残業代の基礎からの除外
一般現場手当 社外の建設現場での就業日 月〇〇円(例: 月10,000〜30,000円) 除外できない(労働基準法施行規則21条の列挙にない)
遠隔現場手当 自宅から片道2時間超の現場 月〇〇円(例: 月20,000〜50,000円) 遠方の現場で働くことへの手当分は除外できない。通勤にかかる費用の補填として支払う部分を分けて定めれば、その部分は通勤手当として除外の対象になりうる
夜間工事手当 22時〜5時の夜間帯での作業日 1日〇〇円(例: 1日2,000〜5,000円) 除外できない。この手当とは別に、22時〜5時の労働には25%以上の深夜割増が必要(同法37条4項)
高所作業手当 地上10m以上での作業日 1日〇〇円(例: 1日500〜2,000円) 除外できない(危険・特殊な作業への手当は列挙にない)
トンネル・地下作業手当 坑内・トンネル内での作業日 1日〇〇円(例: 1日1,000〜3,000円) 除外できない(同上)

割増賃金の基礎から外せるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金だけです( 労働基準法施行規則21条 )。現場手当や特殊作業手当は、支給条件をどれだけ明確に定めても割増賃金の基礎に含めて計算します。表の金額は書き方を示すための例で、公的な統計や相場ではありません。実際の額は各社の賃金規程で定めてください。

労基法第15条 労働条件明示義務(2024年4月改正対応)

使用者は労働者を雇い入れる際、 労働基準法第15条 に基づき書面で労働条件を明示する義務があります。 2024年4月の施行規則改正により、明示義務項目が追加されました。

  • 就業場所・業務内容の変更範囲: 採用時点だけでなく将来の変更可能性も明示
  • 有期契約の更新上限: 「契約更新は通算3年まで」等を明記
  • 無期転換申込機会・無期転換後の労働条件: 5年経過時の権利を事前に告知
  • 現場が変わる建設業では、「会社が施工する工事現場」のように、この契約の期間中に働く可能性のある場所の範囲を書きます(変更の範囲は、その労働契約の期間中の範囲を指します。 厚生労働省「労働条件明示等に関するQ&A」2-1 )

建設業特有の社会保険加入義務

国土交通省の「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」は、2017年度(平成29年度)以降、元請企業に対し、社会保険に未加入の建設企業を下請に選ばないことと、適切な保険に加入していることを確認できない作業員は、特段の理由がない限り現場に入れない取扱いを求めています。2020年10月からは、社会保険への加入が建設業許可・更新の要件にもなりました( 国土交通省「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」 )。

  • 健康保険・厚生年金: 法人の事業所と、常時5人以上を使用する個人の事業所は強制適用(建設の事業は対象の業種。健康保険法3条3項・ 厚生年金保険法6条1項 )
  • 雇用保険: 週20時間以上働き、31日以上雇用される見込みの労働者は加入義務( 雇用保険法6条 。2028年10月1日からは週10時間以上に広がります)
  • 労災保険: 全労働者が対象(雇用契約関係あれば自動適用)
  • 未加入で現場入場できない事態を防ぐため、雇用契約書段階で加入有無を明示
  • 一人親方は労災特別加入制度を利用

正社員・契約社員・職人(一人親方)の使い分け

雇用契約書 vs 業務委託契約書(偽装請負リスク)

建設業で特に問題になりやすいのが、一人親方として業務委託(請負)の形をとりながら、実態は雇用と変わらない働かせ方(いわゆる偽装請負)です。形式が業務委託であっても、実態が雇用であれば労働基準法が適用されます。

雇用形態 締結すべき契約 社会保険 残業代
正社員(職長・施工管理等) 雇用契約書 健康保険・厚生年金(法人や常時5人以上の個人事業所など適用事業所の場合)・雇用保険・労災保険 支払い義務あり
契約社員(期間工・現場要員) 雇用契約書(有期) 雇用保険は週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みで加入。健康保険・厚生年金は所定労働時間・日数が正社員の4分の3以上なら加入(4分の3未満でも、一定規模以上の企業などでは週20時間以上などの条件で加入。健康保険法3条1項9号)。労災保険は全員 支払い義務あり
一人親方(独立した職人) 業務委託契約書 加入義務なし(本人が国保・国年) 支払い義務なし

一人親方は雇用契約NGの理由

一人親方と雇用契約書を結ぶことは労働実態に反する可能性があります。また、一人親方に時間・場所・作業方法を細かく指示する運用をしつつ業務委託契約書を使うと、契約書の名前にかかわらず労働者と判断され、労働基準法・社会保険の義務を負うことになりえます。

  • 雇用と判断されたときに会社が負いうるもの: 未払いの残業代(請求できるのは3年分・労働基準法115条と附則143条)、さかのぼって徴収される社会保険料(2年分・健康保険法193条、厚生年金保険法92条)、年次有給休暇の付与
  • 社会保険の未加入は、2020年10月から建設業許可・更新の要件を満たさない原因になる(上の国土交通省ガイドライン)
  • 一人親方との取引は必ず業務委託契約書を締結し、指揮命令を与えない運用を徹底する

よくある質問(FAQ)

一人親方と雇用契約書を結んで良い?
一人親方として(独立した事業者として)働いてもらうなら、雇用契約ではなく業務委託契約書を結びます。業務委託の形でも、会社が時間・場所・作業方法を指揮命令していれば実態は雇用(いわゆる偽装請負)と判断され、労働基準法が適用されて残業代や有給休暇、社会保険料の遡りの徴収などの対象になります。反対に、会社の指示で働いてもらう人を雇うのであれば、一人親方として扱わず、雇用契約書を結んで労働者として扱います。
現場ごとに雇用契約書を作り直す必要がある?
毎回作り直す必要はありませんが、就業場所・業務内容・手当の金額が変わる場合は、変わった内容を労働条件変更通知書などの書面で確かめ合っておくのが安全です。労働基準法施行規則5条が定めるのは契約を結ぶときの明示で、変更のたびの通知までは定めていませんが、労働契約法4条2項は労働契約の内容を「できる限り書面により確認するものとする」としています。2024年4月改正により、就業場所・業務内容の将来の変更範囲も明示義務が課されています。現場ごとの手当を「現場手当規程」として就業規則で定めておくと、個別の変更通知なく適用できる場合があります。
建設業の36協定はどう書く?
2024年4月以降、建設業も時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)の対象となりました(5年間の猶予期間終了)。36協定には①通常の上限(月45時間・年360時間)と②特別条項(月100時間未満・年720時間以内)の2段階を定めます。特別条項を結ぶには「通常予見できない業務量の大幅な増加」等の特別の事情が必要です。違反した場合は6ヶ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の対象となります。
賃金未払いが起きた場合はどうすれば良い?
賃金未払いは労働基準法24条違反です。まず会社に内容証明郵便で請求し、応じない場合は労働基準監督署に申告するか、労働審判・少額訴訟で回収できます。建設業には、下請の労働者への賃金支払が遅れたときに許可行政庁(国土交通大臣または都道府県知事)が元請に立替払その他の措置を勧告できる仕組みがあります(建設業法41条2項)。ただしこれは行政による勧告であって、元請の支払義務ではなく、労働者が元請へ直接請求できる権利でもありません。対象も「発注者から直接請け負った特定建設業者」に限られるため、実際には許可行政庁(都道府県の建設業担当課等)や労働基準監督署に申告して勧告を促す形になります。なお、勤務先の倒産時に国が未払賃金の一部を立替払する制度(労働者健康安全機構の未払賃金立替払制度)は、これとは別の制度です。賃金の請求権の時効は、労働基準法115条の本則では5年ですが、同法附則143条3項の経過措置により、退職手当を除く賃金は当分の間3年です(退職手当は5年)。早めに弁護士または労働局に相談することを推奨します。
安全衛生教育の受講記録はどのように残すべき?
労働安全衛生法59条に基づく安全衛生教育のうち、雇い入れ時教育(1項)・作業内容変更時教育(2項)には法令上の保存義務はありませんが、労働災害発生時の立証のために3年以上の保存を強く推奨します。一方、危険又は有害な業務につかせる際の特別教育(59条3項)は、労働安全衛生規則38条により受講者・科目等の記録を作成し3年間保存する義務があります。安衛則38条が求めるのは「受講者、科目等の記録」です。実務では実施日・時間数・講師名もあわせて残すと、あとで確かめやすくなります。このページの配布物(雇用契約書)には受講確認欄は入っていないので、記録は別に用意してください。様式は特別教育の実施記録・雇入れ時等の安全衛生教育の記録のページでも配布しています。
労働基準法15条の労働条件明示義務で、2024年4月から追加された項目は何ですか?
2024年4月の労基法施行規則改正で「就業場所・業務内容の変更範囲」の明示が必須になりました。建設業では現場の異動が頻繁なため、「全国の当社施工現場」等の包括記載で対応するのが一般的です。有期契約労働者には「更新上限の有無」「無期転換申込機会」「無期転換後の労働条件」も明示が必要です。詳細は労働基準法 e-Govを確認してください。
雇用契約書を交わさずに採用するとどんなリスクがありますか?
労働基準法15条違反となり、30万円以下の罰金が科される可能性があります。書面交付義務の対象項目(賃金・労働時間・就業場所等の絶対明示事項)が欠けていれば、労働基準監督署からの是正指導の対象です。さらに紛争発生時に「合意していない」と主張される証拠不足が深刻なリスクになります。建設業は労働災害が多いため、雇用契約書の整備は必須です。
建設業の雇用契約書はテンプレートをそのまま使って大丈夫ですか?
本テンプレートは汎用の条項を入れた書式なので、自社の実態(手当規程・賃金体系・就業規則)に合わせて直す必要があります。特に手当の「残業代基礎賃金への含め方」は、割増賃金の基礎から外せる賃金が労基法37条5項・施行規則21条で決まっている(家族・通勤・別居・子女教育・住宅手当、臨時の賃金、1か月を超える期間ごとの賃金だけ)ので、誤った設計をすると残業代未払い問題に直結します。社労士または建設業労務に詳しい弁護士のチェックを強く推奨します。

参考文献・出典

本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-16 確認時点)。

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