
- 不動産売買契約書テンプレートを5パターン・別紙付きで無料ダウンロードできる
- 売買代金・手付金・契約不適合責任・住宅ローン特約・印紙税の書き方がわかる
- 宅建業法・民法562条に基づく必須記載事項と個人間売買のリスクがわかる
不動産売買契約書の書き方ガイド
不動産売買契約書の必須記載事項を一覧で確認できます。各条項の記載漏れがトラブルの原因になるため、下表で漏れなくチェックしてください。法令の根拠は 宅地建物取引業法37条 および 民法555条以下 です。
売買契約書の必須記載事項(宅建業法ベース)
宅建業法37条は宅建業者が売買契約を媒介・代理する場合の書面記載事項を定めています。個人間売買でも、これら記載事項を網羅することで紛争予防に有効です。
| 条項 | 記載内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 物件の表示 | 地番・家屋番号・面積(登記簿と一致させる) | 登記簿謄本から正確に転記 |
| 売買代金 | 総額・内訳(土地・建物) | 建物に消費税がかかる場合は別記 |
| 手付金 | 金額(売買代金の5〜10%が一般的) | 解除手付(売主は倍返し・買主は没収) |
| 所有権移転時期 | 残代金支払い完了時 | 引渡し日と同日が多い |
| 公租公課の精算 | 固定資産税・都市計画税を日割り精算 | 起算日(1月1日または4月1日)に注意 |
| 契約不適合責任 | 不適合の範囲・通知期間(民法566条で原則1年) | 個人間売買では任意特約で変更可 |
| 違約金 | 売買代金の10〜20%が一般的 | 手付解除期限後は違約金での解除 |
| 住宅ローン特約 | ローン承認の期限・金額・否認時の解除 | 否認時は手付金全額返還 |
| 印紙税 | 売買代金に応じた印紙額 | 印紙税早見表参照 |
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)の改正ポイント
2020年4月1日施行の改正民法により、「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」へと名称・内容ともに大きく改正されました( 民法562条〜566条 )。旧法から続く重要変更点は以下のとおりです。
| 項目 | 旧瑕疵担保責任 | 契約不適合責任(現行) |
|---|---|---|
| 判断基準 | 「隠れた瑕疵」(買主が知らず・知り得ない欠陥) | 「契約内容との不適合」(種類・品質・数量) |
| 買主の権利 | 解除・損害賠償(限定的) | 追完請求・代金減額・解除・損害賠償(拡充) |
| 通知期間 | 瑕疵を知ってから1年以内に「請求」 | 不適合を知ってから1年以内に「通知」 |
| 消滅時効 | 引渡しから10年 | 権利行使可能時から5年または知った時から10年 |
| 個人間特約 | 免責特約有効(故意告知漏れは無効) | 免責特約有効(故意告知漏れは無効) |
個人間売買のリスクと対策
個人間売買は仲介手数料を節約できる一方、以下のリスクがあります。司法書士・弁護士への相談を強く推奨します。
| リスク | 具体例 | 対策 |
|---|---|---|
| 権利関係の確認漏れ | 抵当権・差押え・地役権が残っている | 登記簿謄本(全部事項証明書)を法務局で取得・司法書士確認 |
| 境界トラブル | 隣地との境界が曖昧・越境物がある | 確定測量図・境界確認書を売主から受領 |
| 重要事項の見落とし | 都市計画法・建築基準法上の制限が未確認 | 役所調査または宅建士・司法書士への依頼 |
| 契約書の記載不備 | 必須事項の漏れで紛争時に不利 | 本ページのテンプレ + 専門家(弁護士・司法書士等)への相談 |
| 登記の遅延 | 残代金後に売主が登記協力しない | 残代金支払いと所有権移転登記を同時履行 |
住宅ローン特約の重要性
住宅ローン特約は、買主が住宅ローンの本審査に落ちた場合に、手付金全額を返還して契約を白紙解除できる条項です。住宅ローンを利用する売買契約では必ず入れてください。
- 融資申込先: 銀行名・融資希望額を契約書に明記
- 融資承認期限: 契約締結から1〜2ヶ月後の日付(事前審査済みなら短縮可)
- 白紙解除の効果: 手付金は買主に全額返還・違約金は発生しない
- 解除通知期限: 融資承認期限から数日以内に書面で通知(内容証明郵便推奨)
住宅ローン特約がない場合、買主は融資が通らなくても手付金を放棄するか違約金を支払って解除する必要があり、数百万円単位の損失が発生する可能性があります。
手付解除と違約金(売買代金の20%上限)
手付解除期限は、買主・売主のいずれかが契約履行に着手するまでの期間(一般的には契約から1〜2ヶ月)に設定します。期限内であれば 民法557条 に基づき以下の解除が可能です。
- 買主が解除する場合: 手付金を放棄
- 売主が解除する場合: 受領済み手付金の倍額を買主へ返還
手付解除期限を過ぎると違約金での解除となります。宅建業者が売主の場合、違約金は売買代金の20%が法定上限(宅建業法38条)。個人間売買は法定上限はありませんが、慣行通り10〜20%以内に設定するのが安全です。
印紙税の早見表(金額別税額)
不動産売買契約書には記載金額に応じた収入印紙を貼付する必要があります(印紙税法)。下表は 国税庁の軽減措置適用後の税額 です(令和9年3月31日まで適用)。
| 売買代金 | 本則税額 | 軽減税額(〜令和9年3月31日) |
|---|---|---|
| 10万円超〜50万円以下 | 400円 | 200円 |
| 50万円超〜100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 100万円超〜500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超〜1,000万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
| 5億円超〜10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
※2通作成した場合は各1通に印紙貼付が必要。電子契約(PDF送受信のみ)は印紙税不要です。
個人間売買のメリット・デメリット
不動産の適正価格を無料で一括査定する
個人間売買の場合も、まず不動産の市場価格を把握することが重要です。一括査定サービスで複数社の査定額を比較することで適正価格がわかります。査定依頼後の仲介依頼は任意です。
不動産を無料査定する →| 項目 | 個人間売買 | 仲介会社利用 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 不要(節約例: 3,000万円なら96万円) | 売買代金×3%+6万円(税込) |
| 重要事項説明書 | 不要(個人間は義務なし) | 宅建士が説明・交付 |
| トラブル時の対応 | 当事者間で解決 | 仲介会社が調整 |
| 書類の専門性 | 自分で作成(本ページのテンプレ使用可) | 仲介会社が作成 |
住宅ローンの組み方
個人間売買でも住宅ローンの利用は可能ですが、対応している金融機関が限られます。事前に金融機関への確認が必要です。 国土交通省 重要事項説明書資料 も金融機関により提出を求められる場合があります。
- 対応する金融機関の確認:個人間売買に対応している銀行(一部地方銀行・ネット銀行)を事前に確認します
- 住宅ローン特約の期限設定:事前審査承認から本審査承認まで1〜2ヶ月の余裕を持った期限を設定することが重要です
- 重要事項説明書の扱い:金融機関によっては重要事項説明書の提出を求める場合があります
売買契約のトラブル事例
| トラブル | 内容 | 対策 |
|---|---|---|
| 契約不適合責任 | 引渡し後に雨漏り・シロアリ等が発覚 | 物件状況確認書(告知書)で事前に開示・特約で責任範囲を明確化 |
| 引渡し前の物件損傷 | 契約後・引渡し前に台風等で物件が損傷 | 危険負担の条項を明記・損害保険への加入を確認 |
| 売主の二重譲渡 | 同じ物件を別の買主にも売却 | 残代金支払いと同日に所有権移転登記を行う |
| ローン否認 | 住宅ローンの本審査が通らなかった | 住宅ローン特約を必ず入れる |
所有権移転登記の手続き
不動産を購入した場合、所有権移転登記を行わないと第三者に対して所有権を主張できません。残代金の支払いと同日に手続きを行うことが重要です。
| 必要書類 | 準備する側 |
|---|---|
| 登記済証(権利証)または登記識別情報 | 売主 |
| 固定資産評価証明書 | 売主 |
| 印鑑証明書(3ヶ月以内) | 売主 |
| 住民票 | 買主 |
| 印鑑証明書(3ヶ月以内) | 買主 |
| 売買契約書 | 双方 |
- 登録免許税:固定資産評価額×2%が基本(軽減税率の適用条件あり)
- 司法書士費用:5〜10万円程度が目安です
所有権移転登記を司法書士に依頼する
所有権移転登記は個人でも手続き可能ですが、不動産取引では司法書士への依頼が一般的です。複数の司法書士事務所に見積もりを依頼することをお勧めします。
司法書士に相談する →関連テンプレート
個人間売買で本当に契約書だけで大丈夫?
印紙税はどちらが負担する?
住宅ローンを組む場合の流れは?
契約後にキャンセルしたい場合は?
親子間・親族間売買での注意点は?
表紙は必ず必要ですか?
公正証書化は必要ですか?
契約不適合責任(旧瑕疵担保責任)はいつまで主張できる?
宅建業者を通さない個人間売買は違法ではない?
違約金は売買代金の何%まで設定できる?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。