
- 駐車場契約書の雛形(月極/時間貸 両対応・全27条)をWord・PDFで無料ダウンロードできる
- 個人で駐車場を貸す5ステップ手順と月額収益の試算がわかる
- 地域別の月極賃料相場・個人募集とマッチングサービスのどちらが得かがわかる
- 滞納・無断延長・トラブル時の対処フローと車庫証明書の発行手順がわかる
駐車場契約書 雛形の使い方(初心者向け)
配布している雛形は月極・時間貸(コインパーキング)の両方に使える1書式(全27条)です。バージョンを選ぶ必要はなく、頭書の「利用形態」で □月極 / □時間貸 にチェックを入れて該当欄を埋めれば、どちらの運用でも使えます。法的根拠は 民法601条以下(賃貸借) です。更地・舗装済みの駐車場は、建物の所有を目的としないため借地借家法の対象外で(同法第1条)、契約で決められる範囲が広いのが特徴です。
| 利用形態 | 頭書で埋める欄 | 特に効いてくる条項 |
|---|---|---|
| 月極(1台・知人/近隣への貸出を含む) | 月額賃料・管理費・支払期限・敷金・更新料・車両情報 | 第4条(賃料)・第6条(敷金)・第7条(車両の変更)・第14条(中途解約) |
| 時間貸(コインパーキング) | 時間単価・24時間最大料金 | 第20条(時間貸の特則=精算機の記録・長期駐車料金・放置車両) |
| 機械式・立体駐車場 | 駐車場種別(□平面/□機械式/□立体/□屋根付き)・区画サイズ | 第19条(機械式駐車場の特則=操作講習・誤操作の責任・故障時の連絡) |
- 入力する箇所:当事者の住所・氏名、駐車場の表示、契約期間、月額賃料、車両情報を記入します。空欄のまま署名すると、決めていない条件があいまいになります
- 押印の方法:2通作成して各自が1通ずつ保管し、割印(契印)を押します
- 第9条(責任の所在)の注意:貸主の責任を限る条項です。借主が消費者にあたる場合、事業者の債務不履行による損害賠償責任を全部免除する条項は無効です(消費者契約法第8条第1項第1号)。貸主が個人のときに同法の「事業者」にあたるかなどは事情で変わるため、迷うときは弁護士に確認してください
- いらない条項は削って構いません:知人への1台貸しなら第17条(連帯保証人)・第26条(暴力団員の事業用車両の排除)などを削って短くしても契約の効力は変わりません
雛形(全27条)に入っている条項と、宅建業者書式との違い
| 比較項目 | 本雛形(全27条) | 宅建業者書式 |
|---|---|---|
| 無断駐車への対応 | あり(第12条:警告書貼付・損害金請求。車両の移動は法令で認められる手続を経て行う) | あり |
| 賃料改定条項 | あり(第4条4項:公租公課・近傍相場の変動時に改定請求) | あり |
| 連帯保証人欄 | あり(第17条・署名欄に極度額記入欄=民法465条の2対応) | 必須 |
| 反社条項 | あり(第18条・第26条) | 必須 |
| 解除・違約金 | あり(第13条:2か月以上の滞納等で無催告解除/第14条:予告不足は1か月分) | あり |
| 遅延損害金 | あり(第16条2項:割合は空欄。貸主と借主で決めて記入) | あり |
| 適したケース | 個人の貸主が自分で貸す場合(1台〜十数台) | 宅建業者が仲介・管理する場合 |
契約締結時の必須チェックリスト(5項目)
- 駐車場の区画番号・住所が登記簿または住所と一致していることを確認
- 月額賃料・支払日・口座番号を双方の通帳で確認
- 貸主・借主それぞれの本人確認書類を相互交換
- 2通作成し、各1通を保管・割印を押印
- 印紙税(国税庁 質疑応答事例) の貼付(土地の賃貸借なら一律200円が目安・賃料額では決まらない。車庫の賃貸借等は不課税)
契約書と一緒にそろえておく書類(このページで用意のしかたを解説)
ダウンロードできるのは駐車場使用契約書(全27条)だけですが、実際に貸し始めると次の4つの場面で書面が要ります。当サイトの別テンプレートで代用できるものと、自分で書けば足りるものを分けて示します。
| 場面 | 必要な書面 | 用意のしかた |
|---|---|---|
| 毎月の賃料を現金で受け取ったとき | 領収書 | 領収書テンプレートで発行(口座振込なら通帳の記録が領収の証拠になるため不要) |
| 賃料が1か月以上滞納されたとき | 督促状 → 内容証明郵便 | まずは書面で滞納額・支払期限を通知。応じない場合は内容証明テンプレート(家賃滞納の文例を収録)に切り替える |
| 契約を終わらせるとき | 契約終了通知書 | 退去届(解約通知書)テンプレートを流用し、物件名を駐車場の区画番号に置き換える |
| 利用ルールを借主・近隣に周知するとき | 掲示物(A4) | 下の文例をそのままA4に印刷して掲示すれば足ります(書式の定めはありません) |
駐車場に貼る掲示文の文例(そのまま使えます)
- 区画表示:「◯◯駐車場 第◯番 契約者専用 無断駐車お断り」(区画番号は契約書の頭書と同じ番号にそろえる)
- 無断駐車の警告:「無断駐車を発見した場合、写真を記録のうえ警察へ相談します。車両の移動・レッカー費用は所有者のご負担となります」(「無断駐車は◯万円申し受けます」と書いても、その金額をそのまま請求する法的根拠にはなりません。抑止としての掲示にとどめ、実際の回収は所有者の特定と法的手続きで行ってください)
- 使用ルール:「① 区画線内に駐車してください ② 22時〜7時のアイドリング・空ぶかしはご遠慮ください ③ 区画内での洗車・修理・整備はできません ④ 引火物・危険物を積載した車両の駐車はお断りします ⑤ 駐車場内の事故・盗難について管理者は責任を負いません」(契約書 第8条・第9条の内容をそのまま掲示用に書き直したものです)
- 連絡先:「管理者 ◯◯(電話 ◯◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯)」。個人の携帯番号を掲示したくない場合は、区画ごとの連絡は契約書に書いた連絡先に限り、掲示にはメールアドレスだけを載せる運用でも構いません
月極賃料の決め方(近隣の募集賃料と比べる)
月極駐車場の賃料は立地・規模・設備によって大きく異なります。出典を確認できた地域別の相場表がないため、このページには金額の表を載せていません。近隣の月極駐車場の募集賃料を、akippa・特Pなどのマッチングサービスや不動産情報サイトで複数集め、条件(平面・屋根付き・機械式)が近いものと比べて決めてください。
個人で駐車場を貸す手順(5ステップ)
- 駐車場の状態確認
区画の明確化(ライン引き・番号付け)・夜間照明の確認・舗装状態の確認を行います - 月額賃料の相場調査
近隣の月極駐車場・コインパーキングの価格を調査して適正賃料を設定します - 借主の募集
看板設置・チラシ投函・地域SNS告知・マッチングサービス登録のいずれかで募集します - 契約書の作成・締結
本ページのテンプレートを使って契約書を作成します。2通作成して各自が1通保管します - 毎月の賃料受領・管理
受領時に領収書を発行します。口座振替の場合は通帳で入金を確認します
個人募集 vs マッチングサービス比較
| 項目 | 個人募集(月極) | マッチングサービス |
|---|---|---|
| 集客 | 自分で行う(看板・チラシ等) | サービスが代行 |
| 管理 | 月次の入金確認・契約管理が必要 | 精算・請求を自動化 |
| 手数料 | なし | サービスごとに異なる(各社の公式ページで確認) |
| 保険 | 自分で加入が必要 | 一部サービスで付帯 |
| トラブル対応 | 自分で対応 | サービスがサポート |
マッチングサービスを選ぶときに、各社の公式ページで確認すること
- 手数料の率と、手数料を引く対象(利用料金か、売上か)
- 月極・時間貸のどちらに対応しているか
- 保険・補償の範囲と、貸主が加入するものの有無
- トラブル時のサポートの範囲
駐車場経営の収益試算と税務対応
| 条件 | 月収 | 年間の賃料収入(月収×12) |
|---|---|---|
| 月額¥8,000 × 1台 | ¥8,000 | ¥96,000 |
| 月額¥15,000 × 1台 | ¥15,000 | ¥180,000 |
| 月額¥10,000 × 3台 | ¥30,000 | ¥360,000 |
上は賃料の掛け算の例で、地域の相場を示すものではありません。ここから固定資産税・修繕費・手数料などの経費を引いた金額が所得になります。
駐車場収入の税務:経費に計上できるもの・できないもの
国税庁は不動産所得を「土地や建物などの不動産の貸付け」による所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除く)と定めています( 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得) )。土地を貸すだけの駐車場(いわゆる青空駐車場)の収入はこれに当たります。一方、所得税基本通達27-2(有料駐車場等の所得)は「有料駐車場、有料自転車置場等の所得については、自己の責任において他人の物を保管する場合の所得は事業所得又は雑所得に該当し、そうでない場合の所得は不動産所得に該当する」と定めています( 国税庁 法令解釈通達 法第26条《不動産所得》関係 )。管理人を置く・機械警備を付ける等で車両の保管を引き受ける形態では事業所得または雑所得になるため、判断に迷う場合は税務署または税理士に確認してください。経費を正しく計上することで実際の課税所得を圧縮できます。
| 費目 | 経費計上の可否 | 注意点 |
|---|---|---|
| 固定資産税 | 可(按分) | 駐車場として使用している面積分のみ按分計上 |
| 舗装・ライン引き工事費 | 可(減価償却) | 10万円以上は資産計上し耐用年数で減価償却 |
| 照明設備の電気代 | 可 | 居住用電気代との按分が必要な場合あり |
| マッチングサービス手数料 | 可 | 実際に支払った金額が対象 |
| 管理費・清掃費 | 可 | 実際に支払った金額が対象 |
| 駐車場保険料 | 可 | 実際に支払った保険料が対象。個人の所得控除としての損害保険料控除は平成19年分で廃止されています(国税庁 No.1145) |
| 自分の労働の人件費 | 不可 | 事業的規模でない限り専従者給与は認められない |
| プライベートな車の駐車費用 | 不可 | 自家用車の駐車は私的利用のため経費不可 |
青色申告特別控除は3段階です( 国税庁 No.2072 青色申告特別控除 )。55万円は、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいて、複式簿記で記帳し、貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添えて期限内に提出する場合です。65万円は、55万円の要件に加えて、電子帳簿保存を行うか、e-Taxで確定申告書等を送信する場合です。これらに当てはまらない青色申告者は10万円です。駐車場の貸出が「事業」にあたるかどうかの基準はこのページには書かれていないため、税務署または税理士に確認してください。青色申告を新たに始めるには、始めようとする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を税務署に提出します( 国税庁 No.2070 青色申告制度 )。
トラブル時の対処フロー(滞納・損傷・無断延長)
駐車場貸出では以下のトラブルが発生しやすいです。それぞれの対処順序を把握しておきましょう。
賃料滞納時の対処フロー
| 段階 | 対処 | タイミング |
|---|---|---|
| 1. 口頭・電話での催促 | 支払い忘れか確認・銀行口座番号の再通知 | 滞納発覚後すぐ |
| 2. 書面(督促状)の郵送 | 支払期限・滞納額を明記した督促状を送付 | 1ヶ月滞納時 |
| 3. 内容証明郵便での契約解除通知 | 「○月○日までに支払いなければ契約解除」と通知 | 2ヶ月以上滞納時 |
| 4. 滞納賃料の請求(60万円以下は少額訴訟も選べる) | 少額訴訟は60万円以下の金銭の支払の請求に限り、原則として最初の期日で審理を終える手続(民事訴訟法第368条・第370条)。60万円を超える請求や、車の撤去・明渡しの請求は通常の訴えになる | 話し合いが不調の場合 |
| 5. 判決に基づく強制執行(明渡し・差押え) | 判決など強制執行ができる書面を得てから進める。明渡しは少額訴訟では求められないので、通常の訴えで判決を得る | 判決後に履行されない場合 |
駐車場内での損傷・事故発生時
- 車両への損傷(自然災害・舗装の陥没等):貸主側の施設管理責任が問われる場合があります。駐車場賠償責任保険への加入を検討してください
- 借主車が第三者の車に接触:基本的に当事者間の問題ですが、貸主が管理責任を問われる場合もあります。規則掲示でリスクを軽減できます
- 不法投棄・第三者の無断駐車:警察への相談・看板の設置・ロック装置の設置で対応します。勝手に撤去すると貸主が責任を問われる場合があります
車庫証明書(保管場所使用承諾証明書)の発行手順
借主が車を新規購入・車両変更する際に「車庫証明書」が必要となり、貸主に「保管場所使用承諾証明書」の発行を依頼することがあります。 警察庁 自動車の保管場所証明申請 で案内されている、自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)にもとづく公的書面です。他人の土地を保管場所にする場合、警察署への申請に添える書面は、承諾証明書のほか、駐車場賃貸借契約書の写しや料金の領収書等でもよいと案内されています。
| 手順 | 内容 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 1. 書式の入手 | 警察庁のページから様式(xlsx・pdf)をダウンロード | 5分 |
| 2. 必要事項の記入 | 貸主の氏名・住所、駐車場所在地、借主氏名を記入 | 10分 |
| 3. 記載内容の確認 | 記入漏れ・誤りがないかを確認する(押印の要否・種類は様式と警察署の案内に従う) | 2分 |
| 4. 借主への交付 | 借主が警察署に持参して申請手続きを行う | 交付後即時 |
- 発行手数料:貸主が借主から受け取る金額は契約で決めます。契約書に有償・無償を事前に明記しておくとトラブルを防げます。警察署への申請手数料は都道府県の手数料条例で決まります(警察庁)
- 記入する内容:「申請者が使用する権原を有する」という事実証明。虚偽記載は 警察庁 自動車の保管場所証明申請 で案内される自動車の保管場所の確保等に関する法律(車庫法)に違反するため、実際に貸している場合のみ発行します
- 更新・車種変更時:借主が車を買い替える場合は再度発行が必要です。都度の発行手間を考慮し、手数料設定をしておくと管理しやすいです
近隣トラブルの防止策と発生時の対応
駐車場経営では近隣住民との関係が長期運用の鍵です。事前の取り決めと掲示物で大半のトラブルを防げます。
よくある近隣トラブルと防止策
| トラブル内容 | 防止策 | 発生時の対応 |
|---|---|---|
| 騒音(深夜の出入り・アイドリング) | 「22時〜7時の出入り禁止」「アイドリング禁止」の掲示 | 借主への書面注意・再発時は解約 |
| オイル漏れによる舗装汚損 | 「オイル漏れが疑われる車両は禁止」の特約追記 | 借主負担での清掃・修繕を請求 |
| 第三者の無断駐車 | 「無断駐車はお断り・警察に相談します」の警告看板 | 警察への相談・レッカー移動の申請 |
| 隣地への越境駐車 | ラインを明確にして区画を明示 | 借主への口頭・書面注意 |
| ゴミの不法投棄 | 監視カメラの設置・「監視中」の掲示 | 証拠を確保してから警察に相談 |
関連テンプレート
- 駐車場契約書テンプレート(月極版 全26条+時間貸し特約・収支シミュレーターExcel付き)
- 賃貸契約書テンプレート(賃貸+駐車場セット時)
- 連帯保証人付き借用書
- 退去届テンプレート(契約終了時の通知書に)
- 原状回復ガイドライン(契約終了時の費用精算)
個人で駐車場を貸すのに資格や届出は必要?
この雛形をそのまま使っても大丈夫?
駐車場の月極契約書に印紙税は必要?
駐車場の借主に連帯保証人は必要?
滞納した借主の車を撤去・処分できる?
駐車場の収入は確定申告が必要?
この雛形と、月極専用の契約書テンプレートはどちらを選ぶべき?
雛形に追記すべき特約事項の例は?
駐車場契約は借地借家法の適用を受けますか?
駐車場貸出で収益を上げるためのポイントは?
無断延長・解約遅延が続く場合の対処法は?
車庫証明書(保管場所使用承諾証明書)の発行方法は?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-12 確認時点)。
- 民法(賃貸借)e-Gov法令検索
- 宅地建物取引業法 第2条(e-Gov法令検索)
- 民事訴訟法 第368条・第370条(少額訴訟・e-Gov法令検索)
- 借地借家法 第1条(e-Gov法令検索)
- 消費者契約法 第8条(e-Gov法令検索)
- 国税庁 印紙税額一覧表
- 国税庁 質疑応答事例「駐車場使用契約書」
- 国税庁 No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)
- 国土交通省 土地・不動産・建設業
- 警察庁 自動車の保管場所証明申請
- 国税庁 No.2072 青色申告特別控除
- 国税庁 No.2070 青色申告制度
- 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
- 国税庁 No.1145 地震保険料控除(損害保険料控除は廃止)
- 国税庁 消費税法基本通達6-1-5(駐車場として土地を利用させた場合)
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