
- 給与計算エクセル(従業員10名まで)を無料でダウンロードできる(会員登録不要)
- 社会保険料は標準報酬月額に、雇用保険料は総支給額に掛ける。ここを取り違えると毎月ずれる
- 令和8年度の料率(47都道府県)と、2026年4月分から加わった子ども・子育て支援金の入れ方
- 源泉所得税を国税庁の電算機計算の特例で出す手順と、税額表との差の大きさ
- 記入例3名の手計算の内訳と、このシートで計算しないものの一覧
このシートで計算するもの・しないもの
従業員10名までの月次給与を1か月ずつ計算し、給与台帳にためていくエクセルです。 1人分の明細書式は給与明細テンプレートが別にあります。 こちらは10人分をまとめて計算する側で、出た金額を給与明細に写して使います。
| シート | 役割 |
|---|---|
| 設定 | 事業の種類・事業所の所在地(47都道府県)・社会保険料の控除のしかたを選ぶ。料率が決まる |
| 従業員マスタ | 氏名・生年月日・標準報酬月額・扶養親族等の数・住民税を10名分入れる |
| 月次計算 | 基本給・残業手当などを入れると、社会保険料・雇用保険料・所得税・差引支給額が出る |
| 給与台帳 | 月ごとにコピーした月次計算シートを自動で拾い、月別と年間累計を出す |
| 記入例 | 3名分の数字入り(このページの計算例と同じ値) |
| 使い方 | 手順・計算のしくみ・出典・扱わないもの |
| 料率・等級表 | 標準報酬月額の等級表・47都道府県の料率・源泉所得税の算式 |
計算するのは、健康保険料(介護保険料・子ども・子育て支援金を含む)、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税、差引支給額です。 住民税は特別徴収税額通知書の額を手で入れます。 賞与・年末調整・乙欄・日割りなどは計算しません(後ろの「このシートで扱わないもの」に一覧があります)。
使い方(最初の1回と毎月の手順)
最初の1回
- 設定シートで、事業の種類・事業所の所在地・社会保険料の控除のしかた(前月分を当月に引くか、当月分を当月に引くか)を選びます
- 従業員マスタに、氏名・生年月日・標準報酬月額・扶養親族等の数・住民税(月額)を入れます
- 社会保険に入っていない人は「社会保険加入」を×にします
毎月の手順
- 「月次計算」シートを残したままコピーし、コピーのシート名を「2026-10」のように支給年月にします
- B3に支給月の1日を入れます(例: 2026/10/1)
- 基本給・残業手当・諸手当・通勤手当を入れます。通勤手当は「うち非課税額」も入れます
- 右端の「確認」列が空欄なら、差引支給額を給与明細に写します
- 給与台帳で従業員Noを切り替えると、その人の月別と年間累計が出ます
給与を確定した月は、シート全体をコピーして「値のみ貼り付け」で数式を値に変えておいてください。 従業員マスタや設定を書き換えると、コピー済みの過去月のシートも再計算されて、過去の金額が動くためです。 通勤手当のうち非課税になる額は、電車・バスなら月15万円までです( 国税庁 No.2582 )。
標準報酬月額と総支給額の違い(ここで間違える人が多い)
健康保険料・介護保険料・子ども・子育て支援金・厚生年金保険料は、総支給額ではなく標準報酬月額に掛けます。 雇用保険料だけは総支給額(通勤手当を含む賃金総額)に掛けます。
| 保険 | 掛ける金額 | 本人負担の率(東京都・令和8年度) |
|---|---|---|
| 健康保険 | 標準報酬月額 | 4.925%(9.85%の半分) |
| 介護保険(40〜64歳) | 標準報酬月額 | 0.81%(1.62%の半分) |
| 子ども・子育て支援金 | 標準報酬月額 | 0.115%(0.23%の半分) |
| 厚生年金 | 標準報酬月額(88,000〜650,000円) | 9.15%(18.3%の半分) |
| 雇用保険(一般の事業) | 総支給額 | 0.5% |
記入例の従業員Aは、総支給が320,000円、標準報酬月額が300,000円です。 健康保険料等は、300,000円 × 5.04%(9.85%+0.23%の半分)で15,120円になります。 総支給額に掛けると16,128円で、1,008円多く引いてしまいます。
標準報酬月額は、毎年4〜6月に支払った報酬の平均から決まり(定時決定)、その年の9月分から1年使います ( 日本年金機構 定時決定 )。 健康保険は58,000〜1,390,000円の50等級、厚生年金は88,000〜650,000円の32等級で、上限と下限が違います。 シートは等級表を持っていて、標準報酬月額(または報酬月額)を入れると等級に当てはめ、 厚生年金は88,000〜650,000円の範囲に収めます。 厚生年金の上限は、2027年9月から段階的に引き上げられる予定です ( 厚生労働省 )。
令和8年度(2026年度)の料率
| 項目 | 率 | いつから |
|---|---|---|
| 健康保険料率 | 都道府県ごとに違う。東京都9.85%。47都道府県では新潟県の9.21%が最も低く、佐賀県の10.55%が最も高い | 2026年3月分(4月納付分)から |
| 介護保険料率 | 1.62%(40〜64歳・全国一律) | 2026年3月分から |
| 子ども・子育て支援金 | 0.23%(全国一律) | 2026年4月分(5月納付分)から |
| 厚生年金保険料率 | 18.3% | 2017年9月から固定 |
| 雇用保険料率(本人負担) | 一般の事業0.5%、農林水産・清酒製造・建設の事業0.6% | 2026年4月〜2027年3月 |
出典は 協会けんぽ 令和8年度都道府県単位保険料率 、 日本年金機構 、 厚生労働省 令和8年度雇用保険料率 です。 健康保険組合に入っている会社は、組合の率を「料率・等級表」に入れ直してください。
子ども・子育て支援金は、前月分を当月の給与から引く会社なら、4月分は5月に支払う給与から引きます。 介護保険は、40歳の誕生日の前日が属する月分から、65歳の誕生日の前日が属する月の前月分までです。 誕生日が1日の人は、前日が前の月に入るので、前の月分から対象になります。 記入例の従業員Aは10月15日生まれで、10月分から介護保険が加わります。 10月に支払う給与(9月分を控除)にはまだ入らず、11月の給与から引きます。
端数は、本人負担分が50銭以下なら切り捨て、50銭を超えたら1円に切り上げます ( 協会けんぽ 保険料額表の注記 )。 雇用保険料も同じ処理です。記入例の従業員Cは、98,100円 × 0.5% = 490.5円で、50銭以下なので490円になります。 給与から控除できる保険料は、法律上は前月分の保険料です ( 健康保険法第167条 )。 設定シートには、当月分を当月に引く会社向けの選択肢も入れてあります。
源泉所得税の求め方(電算機の特例と税額表)
国税庁の税額表(月額表)は、給与を2,000円ほどの区分に分け、区分の真ん中の額で税額を出しています。 電算機で計算する場合は、その月の額そのもので算式を使う特例があります。このシートは特例の算式です ( 国税庁 電算機計算の特例(令和8年分) )。 対象は、扶養控除等申告書を出している人(甲欄)に、2026年中に支払う給与です。
- 社保控除後の給与を出す: 課税される支給額(非課税の通勤手当を除く)から、健康保険料・介護保険料・支援金・厚生年金保険料・雇用保険料を引いた額です
- 給与所得控除: 社保控除後の給与が158,333円以下なら54,167円。158,334〜299,999円は×30%+6,667円。300,000〜549,999円は×20%+36,667円。550,000〜708,330円は×10%+91,667円。708,331円以上は162,500円
- 扶養控除等: 31,667円 × 扶養親族等の数(源泉控除対象配偶者を含む)。基礎控除: 48,334円(社保控除後の給与が2,120,833円までの場合)
- 課税給与所得金額と税額: 社保控除後の給与から、給与所得控除・扶養控除等・基礎控除を引いた額に、次の表の算式を当てて、10円未満を四捨五入します
| 課税給与所得金額 | 税額の算式 |
|---|---|
| 162,500円以下 | × 5.105% |
| 162,501〜275,000円 | × 10.210% − 8,296円 |
| 275,001〜579,166円 | × 20.420% − 36,374円 |
| 579,167〜750,000円 | × 23.483% − 54,113円 |
| 750,001〜1,500,000円 | × 33.693% − 130,688円 |
| 1,500,001〜3,333,333円 | × 40.840% − 237,893円 |
| 3,333,334円以上 | × 45.945% − 408,061円 |
国税庁の計算例(社保控除後の給与が175,000円・扶養親族等2人)は、税額表が250円、特例が210円でした。 差はどの程度か、当サイトで令和8年分の月額表(甲欄)と多数の組合せを比べました。 社保控除後の給与が105,000〜740,000円、扶養親族等が0〜3人の範囲を、約250円刻みで走らせた結果です。
| 社保控除後の給与 | 税額表との差の中央値 | 最大 |
|---|---|---|
| 20万円台 | 20円 | 90円 |
| 30万円台 | 40円 | 130円 |
| 40万円台 | 60円 | 250円 |
| 50万円〜74万円 | 120円 | 310円 |
数円ではなく、給与が高いほど数十円から数百円ずれます。国税庁は、この差を年末調整で精算するとしています。 税額表の額に合わせたい会社は、月次計算の「所得税を手入力する場合」に税額表の額を入れてください。 令和8年度の税制改正で基礎控除と給与所得控除が引き上げられ、源泉徴収税額表は令和9年分(2027年)以後の分が改正されています ( 国税庁 源泉所得税の改正のあらまし )。 2027年1月に支払う給与からは、国税庁が公表する令和9年分の算式に、「料率・等級表」の第1〜4表を書き換えます。
記入例3名の計算(2026年10月支給・東京都・一般の事業)
3名とも架空の従業員です。前月分(9月分)の社会保険料を10月の給与から引く前提で、記入例シートと同じ値です。 従業員Aは10月15日に40歳になる人、Bは45歳で扶養親族等が2人(配偶者と子1人)、Cは社会保険に入っていない短時間パートです。
| 項目 | 従業員A | 従業員B | 従業員C |
|---|---|---|---|
| 標準報酬月額 | 300,000円 | 380,000円 | (社保なし) |
| 総支給額 | 320,000円 | 395,000円 | 98,100円 |
| 健康保険料等(介護・支援金を含む) | 15,120円 | 22,230円 | 0円 |
| 厚生年金保険料 | 27,450円 | 34,770円 | 0円 |
| 雇用保険料 | 1,600円 | 1,975円 | 490円 |
| 社会保険料計 | 44,170円 | 58,975円 | 490円 |
| 社保控除後の給与 | 265,830円 | 321,025円 | 93,610円 |
| 給与所得控除 | 86,416円 | 100,872円 | 54,167円 |
| 所得税(電算機特例) | 6,690円 | 5,540円 | 0円 |
| 住民税 | 15,500円 | 21,000円 | 0円 |
| 控除合計 | 66,360円 | 85,515円 | 490円 |
| 差引支給額 | 253,640円 | 309,485円 | 97,610円 |
- 従業員A: 健康保険料等は300,000円 × (9.85%+0.23%) ÷ 2。介護保険は11月の給与から加わります。所得税は、265,830円 − 86,416円 − 48,334円 = 131,080円 に5.105%を掛けて6,690円です。税額表は6,650円で、40円違います
- 従業員B: 380,000円 × (9.85%+1.62%+0.23%) ÷ 2 = 22,230円。所得税は、321,025円 − 100,872円 − 31,667円×2 − 48,334円 = 108,485円 に5.105%を掛けて5,540円です。税額表は5,550円で、10円の差です
- 従業員C: 通勤手当4,000円は非課税なので、98,100円 − 4,000円 − 490円 = 93,610円です。給与所得控除と基礎控除の合計(102,501円)より小さく、所得税は0円です
毎月やること・年に1回やること
| いつ | やること |
|---|---|
| 毎月・支払い前 | 入退社・昇給・住民税の額を従業員マスタに反映し、月次計算に支給額を入れる |
| 毎月・支払い後 | 給与明細を渡し、確定した月のシートを値に固定する |
| 3月分(4月納付分)から | 健康保険料率・介護保険料率が改定される。「料率・等級表」を書き換える |
| 4月 | 雇用保険料率が年度で改定される(令和8年度は一般0.5%) |
| 6月 | 住民税が新しい年度の額に替わる。従業員マスタの住民税を書き換える |
| 7月 | 定時決定の算定基礎届を出す(7月1日〜10日)。新しい標準報酬月額は9月分から使う |
| 12月 | 年末調整(このシートでは計算しない)。2026年12月1日以後に支払う給与から、扶養親族等の所得要件が変わるので、扶養控除等申告書の出し直しを確認する |
| 1月 | 源泉所得税の算式を、国税庁の新しい年分のものに替える |
給与台帳は、月次計算の結果を並べたものです。 賃金台帳( 労働基準法第108条 )には、氏名・賃金計算期間・賃金の額のほか、 労働日数や労働時間数なども記入する決まりがあり、このシートの給与台帳だけでは足りません。 勤怠を記録した出勤簿やタイムカードと合わせて保存してください。 年末調整の準備は年末調整テンプレートにまとめています。
このシートで扱わないもの(手計算が要ります)
- 賞与: 標準賞与額に料率を掛け、税額は賞与の税率表で出します。このシートは月の給与だけです
- 年末調整: 1年分の税額の精算です
- 乙欄: 扶養控除等申告書を出していない人の税額。税額表の乙欄で調べて手入力します
- 日割り・欠勤控除・遅刻早退: 支給額を出す段階の計算です。別の表で計算した額を入れます
- 入社・退職月の社会保険料: 資格取得日・喪失日で月数が変わります
- 産休・育休中の保険料免除、複数事業所での勤務、70歳・75歳到達
- 残業代の計算: 割増賃金は別に計算した額を入れます(残業代計算ツール)
- マイカー通勤の非課税限度額の判定: 距離別の限度額を自分で確かめて入れます
- 11名以上: 10名までです。超える会社はファイルを分けて使います
これらが多い会社や、10名を超えて従業員が増える会社は、給与計算ソフトに移す時期です。
よくある質問
健康保険料を総支給額に料率を掛けて出してはいけませんか?
所得税が税額表(月額表)の額と合わないのはなぜですか?
子ども・子育て支援金はいつの給与から、いくら引かれますか?
40歳になった月から介護保険料を引くのですか?
賞与・年末調整・乙欄はこのシートで計算できますか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-09-30 確認時点)。
- 協会けんぽ 令和8年度都道府県単位保険料率(47都道府県)
- 協会けんぽ 令和8年3月分からの保険料額表・東京支部(標準報酬月額の等級表・端数処理の注記)
- 協会けんぽ 子ども・子育て支援金率について
- 協会けんぽ 介護保険料率について
- 協会けんぽ 茨城支部 介護保険制度と介護保険料について(40歳・65歳の月の扱い)
- 日本年金機構 厚生年金保険料額表(18.3%で固定)
- 日本年金機構 定時決定(算定基礎届)
- 厚生労働省 令和8年度 雇用保険料率のご案内(PDF)
- 国税庁 月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例について(令和8年分・PDF)
- 国税庁 令和8年分 源泉徴収税額表
- 国税庁 源泉所得税の改正のあらまし(令和8年4月・PDF)
- 国税庁 No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当の非課税限度額
- 厚生労働省 厚生年金等の標準報酬月額の上限の段階的引上げについて
- e-Gov法令検索 健康保険法(第167条 保険料の源泉控除)
- e-Gov法令検索 労働基準法(第108条 賃金台帳)