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IT業務委託契約書テンプレート

IT業務委託契約書テンプレートを無料・会員登録不要でダウンロード。SES契約・受託開発(請負)・準委任型受託の3形態を想定しています。偽装請負の判断基準、著作権帰属、OSS利用、損害賠償上限など、IT取引に特有の条項を解説します。Word形式で即配布。

公開: 2026年5月12日 最終更新: 2026年10月12日 Word 会員登録不要・無料
2026年10月12日 時点の情報
厚労省 37号告示(労働者派遣事業と請負の区分に関する基準)関係疑義応答集
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IT業務委託契約書テンプレートのプレビュー
SES契約・受託開発(請負)・準委任型受託の3形態に対応
このページでわかること
  • SES契約・受託開発・準委任型受託の3形態の法的性質と使い分け
  • 偽装請負の判断基準(厚労省告示37号)と違反リスク
  • 著作権帰属・OSS利用・損害賠償上限などIT特有条項の書き方
  • テンプレートの無料ダウンロード先と活用方法

IT業務委託契約書は、一般的な業務委託契約書と比べて4つの追加条項が不可欠です。著作権・OSS(オープンソース)・偽装請負リスク・損害賠償上限は、IT取引特有のトラブルが頻発する箇所であり、汎用テンプレートでは不十分です。このテンプレートでは、第3条(偽装請負の禁止)・第8条(成果物の権利帰属)・第9条(OSS)・第17条(損害賠償)に入れています。

このテンプレートには競業避止・引抜き禁止の条項(第21条)が入っています

ダウンロードできる Word(IT業務委託・全25条)の第21条(競業避止/引抜き禁止)には、次の2つが入っています。中身を確認しないまま相手に渡すと、この制限に合意したことになります。

  • 第21条1項(競業避止):受注者(乙)は、契約期間中および契約終了後1年間、発注者(甲)の主要顧客(在籍中に担当した顧客)に対して、発注者と競合する役務を直接提供しない。対象は「甲の主要顧客」に限定されており、地域の限定はありません
  • 第21条2項(引抜き禁止):甲乙の双方が、契約期間中および契約終了後1年間、相手方の従業員・業務委託先を勧誘・引抜きしない

あわせて第20条(残存条項)で、第21条は契約終了後も効力を持つものとして挙げられています。

顧客の引き抜きを防ぐという目的があって入れている条項ですが、どの案件にも必要なものではありません。不要であれば第21条を削除して使ってかまいません(削除する場合は、第20条の残存条項に並んでいる「第21条(競業避止)」の記載も一緒に消してください)。反対に、期間を延ばす・対象顧客を「甲の全顧客」に広げる・地域や職種を一律に禁じるといった方向に書き換えると、受注者の仕事を受ける機会をそのまま制限することになるため、慎重な検討が必要です。

一般版の業務委託契約書(一般委託版・準委任版・請負版)には、競業避止条項は入っていません。入れるかどうかの判断材料(フリーランスガイドラインの考え方・優越的地位の濫用との関係・偽装請負の判断への影響)は、業務委託契約書テンプレート(一般版)の「競業避止義務を入れる場合に気をつけること」にまとめています。内容に不安がある場合は弁護士への確認を推奨します。

IT業務委託契約書の3形態(SES/受託開発/準委任型受託)

IT業務委託は法的性質によって3つの形態に分類されます。どの形態を選ぶかで、報酬発生条件・成果物責任・指揮命令の帰属が大きく変わります。

形態 法的根拠 報酬発生 成果物責任 指揮命令 典型例
SES契約 準委任(民法656条) 業務遂行(工数)に応じて なし(善管注意義務のみ) 受注者側(必須) 常駐型エンジニア提供・開発支援
受託開発 請負(民法632条) 成果物完成時 あり(契約不適合責任) 受注者側 システム一式の納品・Webサービス開発
準委任型受託 準委任(民法656条) 成果完成型 or 履行割合型 成果完成型のみあり 受注者側 アジャイル開発・運用保守・コンサル

SES契約(労働者派遣との違い)

SES契約は「エンジニアの業務遂行能力を提供する準委任契約」です。客先常駐型のIT案件でよく使われますが、指揮命令権はSES会社(受注者)にあることが法律上の要件です。

  • 指揮命令: SES会社の上長または客先常駐のSES会社管理者から指示を受ける
  • 業務範囲: 契約書に明記した業務のみを実施(客先が範囲外の作業を依頼した場合は拒否できる)
  • 報酬精算: 月単位の工数精算が一般的(例: 140〜180時間の範囲で月額○万円、超過・不足は時間単価で精算)
  • 労働者派遣との区別: 派遣は派遣先企業が指揮命令権を持つ点が最大の相違点

受託開発(請負型)

受託開発は「特定の成果物(ソフトウェア・システム・Webサービス等)を完成させる請負契約」です。仕様確定後のフェーズで使われることが多いです。

  • 完成義務: 仕様書に定めた成果物を完成させる義務を負う
  • 契約不適合責任: 成果物に不具合があれば修補・損害賠償の責任を負う(民法559条・562条以下)
  • 報酬: 成果物の納品・検収完了後に報酬が確定する
  • リスク: 仕様変更・追加要件が発生すると費用紛争になりやすい。変更管理手続きの明記が必須

準委任型受託(成果完成型と履行割合型)

準委任の報酬には、業務を行った割合に応じて請求できる場合(民法648条3項)と、成果に対して報酬を支払うと約した場合(民法648条の2)があります。実務では前者を「履行割合型」、後者を「成果完成型」と呼びますが、条文にある用語ではありません。アジャイル開発・運用保守で使われる組み方です。

類型 報酬発生タイミング 途中解除時の報酬 適した場面
成果完成型 特定成果物の完成時 可分な部分の完成割合に応じて MVP開発・機能単位のスプリント納品
履行割合型 業務遂行の割合に応じて 遂行済み部分の割合に応じて 運用保守・SES・コンサル・月次支援

偽装請負の判断基準と回避方法

37号告示第2条は、請負事業主が①自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用していること(業務遂行の指示・労働時間等の管理・企業秩序の維持)②請け負った業務を自己の業務として独立して処理していること(資金・法律上の責任・機械設備等または企画/専門技術)の両方を満たさない場合、労働者派遣事業に該当するとしています( 厚労省 37号告示 関係疑義応答集 )。IT業務委託契約書に以下の条項を明記することでリスクを大幅に低減できます。

指揮命令系統の独立

発注者(客先)が受注者のエンジニアに直接指示を出す状態は偽装請負です。契約書に明記すべき条項:

  • 「乙(受注者)は本業務の遂行について乙の責任において業務を指揮・管理し、甲(発注者)は乙の従業員に対して直接指揮命令を行わない」
  • 業務上の連絡窓口は双方の「連絡責任者」を経由させる旨を明記
  • 客先常駐の場合も、設備・ツールの使用許可は「業務委託契約の範囲内での貸与」として位置づける

業務遂行能力(自己完結性)

受注者が自らの設備・機器・労働者を用いて業務を遂行できることが要件です。判断基準:

  • 自社のノートPC・開発ツールを持ち込んで作業できるか
  • 発注者の社内システムへのアクセス権限は「業務委託の目的に限定」されているか
  • 業務に必要な資材・ソフトウェアライセンスを受注者自身が調達しているか

報酬の決め方

報酬の決め方は契約類型で分けます。IT業務委託では:

  • SES・準委任: 月額固定 + 時間精算(上限/下限時間を設定)が適切
  • 受託開発・請負: 成果物単位の固定報酬が適切
  • このテンプレートの第5条1項は、準委任(SES)向けに時間単価制の選択肢も持っています。請負(受託開発)で時間単価の精算にするときは、請負と言いながら労働力の提供に近い形になっていないかを、37号告示の疑義応答集で確認してください

IT業務委託の必須記載項目

一般的な業務委託契約書の必須事項(業務内容・報酬・支払期日・秘密保持等)に加え、IT取引では以下の追加記載が不可欠です。

項目 記載内容の例 なぜ重要か
指揮命令系統 発注者は受注者従業員に直接指揮命令しない旨 偽装請負リスク回避
業務範囲・工数精算 月140〜180時間・超過単価・不足精算方法 SES契約での報酬紛争防止
著作権帰属 成果物の著作権を発注者に譲渡する旨 or ライセンス許諾の範囲 知財トラブル防止
OSS利用 使用OSSのライセンス一覧を納品物に添付・コピーレフト系は事前承認 GPL伝播リスク回避
変更管理手続き 仕様変更は書面合意後に着手・影響工数の見積提示義務 追加費用の取り込みを防ぐ
検収条件 検収期間(例: 14日)・検収方法・黙示の検収条件 受託開発の報酬確定タイミング
損害賠償上限 個別契約の委託料総額を上限・直接損害のみ(このテンプレートの第17条) 受注者の過大リスク回避
セキュリティ義務 IPA基準・個人情報保護法遵守・インシデント時の報告義務 情報漏洩時の責任分担

取適法(旧下請法)の対象になる取引か確認してください。2026年1月1日に施行された「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」は、プログラムの作成の委託(情報成果物作成委託)も対象にしています(2条3項・7項。政令でプログラムが定められています)。委託する側の資本金が3億円超で、受ける側が個人または資本金3億円以下の法人のとき、委託する側が1,000万円超3億円以下で、受ける側が個人または1,000万円以下の法人のとき、委託する側の従業員が300人超で、受ける側が300人以下のときなどが対象です(2条8項・9項)。対象になると、給付を受領した日から60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めること(3条)、書面等による明示(4条1項)が義務になります。ほかの義務は、取適法の条文で確認してください。このテンプレートの第5条4項・第23条2項はこの考え方に合わせてありますが、取適法の別紙は付いていません。

成果物所有権・著作権譲渡条項

IT業務委託で最もトラブルが多い条項の一つが著作権帰属です。著作権法の原則では著作権は制作者(受注者)に帰属するため、発注者が成果物を自由に使うには、受注者から譲り受ける契約が必要です。書面は法律上の要件ではありませんが(61条に書面の定めはありません)、翻案権等(27条・28条)を譲渡の対象に含めると書かないと、それらは受注者に残ったと推定されるため(61条2項)、書面で明確にします。

著作権譲渡条項のNG/OK比較

パターン 例文 問題点・推奨度
全部譲渡(発注者側) 「成果物に係る一切の知的財産権は甲(発注者)に帰属する」 受注者に不利。汎用モジュール・OSS部分も含まれるリスクあり
限定譲渡(推奨) 「本業務のために新規作成した成果物の著作権は甲に譲渡する。ただし受注者の既存資産・汎用ライブラリ・OSS由来コードは除く」 双方に合理的。受注者の既存資産・再利用コードを保護できる
ライセンス許諾(受注者側) 「甲は、本業務の目的の範囲内で成果物を使用するライセンスを受ける。著作権は乙に留保する」 受注者に有利。発注者が著作権を取得できないため、再委託・二次利用に制限が生じる

本テンプレートでは「限定譲渡」形式を採用し、新規作成部分は発注者に帰属・汎用資産は受注者に留保する形で双方の利益を守っています。

OSS(オープンソース)利用ガイドライン

現代のITシステム開発はOSSなしには成立しないといっても過言ではありません。しかしライセンスの無理解が著作権侵害・契約違反につながるケースが増えています。

ライセンス種別 代表例 商用利用 コピーレフト 著作権譲渡への影響
パーミッシブ MIT、Apache 2.0、BSD 自由 なし 成果物に含めて渡せる(著作権表示などの条件を守る)
弱コピーレフト LGPL、MPL 条件付き ライブラリ部分のみ ライセンス本文の条件で確認
強コピーレフト GPL v2/v3、AGPL 条件付き 派生コード全体に伝播 コピーを渡した相手にも、作品全体をGPLで許諾する義務(GPLv3 5条c)
プロプライエタリ 各社独自ライセンス 許可範囲内 なし 再配布・二次利用条件をライセンス書で確認必須

契約書に盛り込む推奨条項:

  • 「受注者は成果物に使用するOSSのライセンス一覧(SBOM: ソフトウェア部品表)を納品物に添付すること」
  • 「コピーレフト系OSSの使用は発注者の事前書面承認を要すること」
  • 「OSSライセンス違反に起因する損害は受注者が賠償責任を負うこと」

損害賠償・契約解除条項

IT業務委託では損害賠償の範囲・上限が契約書の中でも特に交渉になりやすい条項です。上限なしの損害賠償条項は受注者にとって経営リスクになりかねません。

損害賠償条項のチェックポイント

  • 損害賠償の上限額: このテンプレートの第17条2項は、個別契約書の委託料総額を上限としています。上限を下げるのは受注者側の交渉点です。発注者側は「個人情報漏洩・故意・重過失の場合は上限撤廃」を求めることが多い
  • 損害の種類制限: 「直接損害のみを賠償する(逸失利益・間接損害・データ消失による二次損害は除外)」を明記
  • 免責事由: 天災・発注者の仕様変更・発注者提供データの誤り等を免責事由として列挙
  • 情報漏洩の特別規定: 個人情報漏洩は別途PL(製造物責任)に近い扱いとなるため、情報管理体制と賠償責任を個別条項で規定

契約解除条項のチェックポイント

  • 準委任・SES: 各当事者いつでも解除可能(民法651条)。ただし不利な時期の解除は損害賠償義務
  • 請負・受託開発: 発注者はいつでも損害賠償して解除可能(民法641条)。受注者は原則として完成義務を負う
  • 解除予告期間: SES・継続型準委任では「30〜60日前の書面通知」を設けることで急な契約打ち切りリスクを軽減
  • フリーランス保護新法: 従業員を使う等の委託者(特定業務委託事業者)が、6ヶ月以上の継続的な業務委託を解除するときは、30日前までの予告が義務(16条1項・2024年11月施行)

業界特化条項のNG/OK比較

条項テーマ NG例(問題あり) OK例(推奨)
指揮命令 「発注者の担当者の指示に従い業務を遂行する」 「受注者は自社の管理責任者の指揮のもとに業務を遂行する。発注者は受注者従業員に直接指示を行わない」
著作権帰属 「一切の知的財産権を発注者に移転する」 「本業務のために新規作成した成果物の著作権は発注者に移転する。受注者の既存資産・汎用ツール・OSS由来コードは除く」
損害賠償 「損害の全額を賠償する」(上限なし) 「賠償は個別契約書の委託料総額を上限とし、直接損害に限る。ただし故意・重大な過失・個人情報漏洩は除く」
仕様変更 (仕様変更に関する記載なし) 「発注者は書面で変更要求を行い、受注者は7営業日以内に影響工数・費用を回答し、双方書面合意後に変更着手する」
OSS利用 (OSSに関する記載なし) 「受注者はSBOM(OSS一覧)を納品物に添付し、コピーレフト系OSSの利用は発注者の事前承認を要する」
再委託 「再委託は自由とする」 「再委託は発注者の事前書面承認を要する。再委託先に対し本契約と同等の秘密保持・情報管理義務を課す」

よくある質問

SES契約と労働者派遣契約の違いは何ですか?
SES(システムエンジニアリングサービス)契約は準委任契約(民法656条)に基づく業務委託であり、労働者派遣契約とは法的性質が異なります。派遣では派遣先企業が指揮命令権を持ちますが、SES契約では指揮命令権はSES会社(受託側)にあります。ただし実態として客先が指揮命令している場合は厚労省 37号告示 関係疑義応答集が示す「偽装請負」に該当し、労働者派遣法違反となります。違反したときの措置は、発注側と受注側で根拠の条文が分かれます(次の質問を参照)。
準委任契約と請負契約はどちらが受注者に有利ですか?
リスク観点では準委任契約が受注者に有利です。請負契約(民法632条)は成果物の完成義務があり、完成しなければ報酬が発生せず、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)も負います。一方、準委任契約(民法656条)は業務遂行に対して報酬が発生し、成果物の完成義務はありません。ただし善管注意義務(民法644条)は負うため、相当の注意を払った上での失敗は責任を問われません。不確定要素の多いシステム開発初期フェーズは準委任、仕様確定後のフェーズは請負という使い分けが一般的です。
成果完成型準委任と履行割合型準委任の違いを教えてください。
準委任契約(民法656条)の報酬には、条文の上で2つの定めがあります。業務を行った割合に応じて報酬を請求できる場合(民法648条3項。委任者の責めに帰することができない事由で履行できなくなったとき、または委任が履行の中途で終了したとき)と、成果に対して報酬を支払うと約した場合(民法648条の2第1項。成果の引渡しを要するときは、引渡しと同時に支払う)です。実務ではこの2つを「履行割合型」「成果完成型」と呼びますが、条文にある用語ではありません。ITシステム開発では、MVP開発は成果に対して払う形、運用保守は履行の割合に応じて払う形で組む例があります。契約書に明記しないと解釈の余地が生じるため、どちらの形かを明示することが重要です。
偽装請負と認定されたらどうなりますか?
措置は発注側と受注側で別の条文です。受注側(SES会社)が許可を受けずに労働者派遣事業を行ったことになると、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(労働者派遣法59条2号)の対象で、事業の停止命令は派遣元事業主に対するものです(同法14条2項・49条2項)。発注側(委託元)は、派遣元事業主以外から労働者派遣の役務の提供を受けることが禁じられており(同法24条の2)、違反すると厚生労働大臣の勧告があり、従わないときは公表されることがあります(同法49条の2)。さらに、法の適用を免れる目的で請負などの名目で契約し、派遣として受け入れた場合は、その時点で派遣労働者に労働契約の申込みをしたものとみなされます(同法40条の6第1項5号)。実態が雇用と判断されれば、残業代は賃金請求権の時効(労働基準法附則143条により当面3年)の範囲で請求される可能性があります。判断基準は厚労省 37号告示(労働者派遣事業と請負の区分に関する基準)関係疑義応答集のもとになった37号告示第2条で、①業務遂行に関する指示・管理②労働時間等に関する指示・管理③企業秩序の維持・確保を請負事業主が自ら行っているか、および資金調達・法律上の責任・機械設備等の負担を自ら負っているかによって判断されます。
IT業務委託契約書で著作権はどちらに帰属すべきですか?
法律上の原則では著作権は制作者(受注者)に帰属します(著作権法17条)。発注者(委託者)が著作権を取得するには、受注者から譲り受ける契約が要ります。著作権法は著作権の全部または一部の譲渡を認めており(61条1項)、書面は法律上の要件ではありません。ただし、翻案権等(27条・28条)を譲渡の対象として特掲しないと、それらは譲渡した側に留保されたと推定されます(61条2項)。契約書には27条・28条の権利を含めると書き、証拠のうえでも書面に残しておくのが確実です。実務では発注者側が著作権譲渡を求めるケースが多いですが、受注者側としては①汎用モジュール・ライブラリは除外、②著作者人格権は不行使とし権利は保持、③OSS由来コードはライセンスに従うという3点を契約書に盛り込むことでリスクを最小化できます。
OSS(オープンソース)を使った成果物の著作権はどうなりますか?
OSSのライセンス種別によって成果物への影響が大きく異なります。MITライセンスは、ソフトウェアの利用・複製・改変・頒布・再許諾・販売を無償で認め、その条件として、著作権表示と許諾表示をすべての複製物に含めることを求めます。OSSの作者の著作権を発注者に譲渡するものではないので、納品物ではOSS部分は譲渡の対象外と書き分けます。一方、GPLv3は、コピーを手にした人に対して作品全体をこのライセンスで許諾する義務を定めています(5条c)。GPLコードを含む成果物を渡すときは、渡した相手にもGPLで許諾することになります。契約書に「成果物に含まれるOSSのライセンス一覧を納品物に添付する」「コピーレフト系OSSの使用は事前承認制とする」を明記することで紛争を防げます。
人月単価の妥当性はどう確認すればよいですか?
複数のエージェント・案件サイトが公開している職種別の単価レンジを突き合わせるのが現実的です。このページでは職種別の金額は載せません(出典のある統計を確認できていないためです)。単価設定を契約書に明記する際は、①月額固定か時間精算か、②月の上限時間(例: 140〜180時間)、③超過・不足時の精算方法を明確化することがトラブル防止につながります。
損害賠償の上限はどの程度が適切ですか?
IT業務委託では、損害賠償の上限額を決めておくことがあります。このテンプレートの第17条2項は、特段の合意がなければ「当該違反に係る個別契約書の業務委託料総額」を上限にしています。受注者側の交渉では、直接損害に限る・逸失利益を除外するといった条件を加えることがあります。無制限の損害賠償条項は受注者にとって大きなリスクとなります。ただし、故意・重大な過失による損害・個人情報漏洩・秘密保持義務違反については上限適用を除外する条項を設けることが発注者保護の観点から必要です。
契約不適合責任(瑕疵担保責任)の免責条項は有効ですか?
請負契約では契約不適合責任(民法559条・562条以下)を免責・短縮する条項は原則有効です(ただし知りながら告げなかった事実については免責できません=民法572条・559条準用。重過失にとどまる場合は572条の対象外ですが、免責特約が公序良俗違反として無効とされることはあります)。このテンプレートの第7条1項は、検収完了後6ヶ月以内に限って修補などに応じる定めです(期間は個別契約書で変えられます)。準委任契約では成果物の完成義務がないため、原則として契約不適合責任は発生しません(善管注意義務違反として損害賠償請求は可能)。検収条件(テスト環境での動作確認・仕様書との照合方法)を契約書別紙に明記することで紛争を減らせます。
契約途中で仕様変更が発生した場合の費用はどうなりますか?
仕様変更は「変更管理手続き(チェンジオーダー)」を契約書に明記することで費用追加請求が可能になります。明記がない場合、発注者は「最初から仕様に含まれていた」と主張するリスクがあります。推奨条項: ①変更要求は書面(メール含む)で行うこと、②受注者は影響範囲・費用・スケジュールを7営業日以内に回答すること、③双方が書面で合意後に変更作業を開始すること。アジャイル開発ではスプリント単位の準委任契約とし、バックログ変更を正式な変更管理として扱う方法が一般的です。
フリーランス保護新法はIT業務委託にも適用されますか?
はい、2024年11月1日施行のフリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)はITフリーランスへの委託にも適用されます。受ける側が「特定受託事業者」にあたる場合です。個人で従業員を使わない人のほか、代表者のほかに役員がおらず従業員も使わない法人も含まれます(2条1項)。義務は委託する側で分かれます。書面等による取引条件の明示(業務内容・報酬額・支払期日等)は、委託する事業者すべてに課されます(3条1項)。受領日から60日以内で、できる限り短い期間内に支払期日を定めること(4条1項)、責めに帰すべき事由のない報酬の減額などの禁止(5条)、継続的な業務委託の解除の30日前予告(16条1項)は、従業員を使う個人、または役員が2人以上か従業員を使う法人(特定業務委託事業者。2条6項)が対象です。このテンプレートが対応しているのは支払期日(第5条4項)だけで、書面等による明示事項などの別紙は付いていません。個別契約書(発注書・SOW)に自分で書いてください。
電子契約でIT業務委託契約書を締結できますか?印紙税は?
印紙税がかかるかどうかは、契約書の種類で決まります。請負についての契約書は、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」にあたります(国税庁 No.7102)。営業者間で継続する複数の取引の基本的な取引条件を定める契約書は、請負に関するものでも第7号文書「継続的取引の基本となる契約書」にあたることがあり、税額は1通につき4,000円です(No.7102・No.7104)。第7号文書からは、契約期間が3か月以内で更新の定めのないものが除かれます(No.7141)。このテンプレートの第15条2項は1年ごとの自動更新の定めを持つので、紙で作るときは第7号文書にあたるかを確認してください。準委任が中心の契約書や、電子契約で結ぶ場合の扱いは、このページでは国税庁の原文を確認していません。税務署または税理士に確認してください。

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参考文献・出典

本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-12 確認時点)。

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