
- 稟議書テンプレートをWord・エクセル・PDF形式で無料ダウンロードできる(会員登録不要)
- 汎用・物品購入・採用・契約締結・システム導入・経費精算の6用途別テンプレ(エクセルの6シート)が揃っている
- 差し戻しを防ぐ書き方のコツ・承認フロー設計・電子稟議(freee/マネフォ)対応がわかる
- 電子帳簿保存法に則った稟議書の電子保存方法がわかる
1. 稟議書とは何か(申請書・決裁書との違い)
稟議書(りんぎしょ)は「自身の権限では決められない事案について、文書を上位者に回覧して承認・決裁を得る書類」を指す、日本企業の実務慣行上の呼称です。稟議書の作成・様式・保管方法を直接定めた法令は存在せず、各社が就業規則・稟議規程(社内規程)で運用ルールを定めています。物品購入・採用・システム導入・契約締結など、一定金額以上または重要度の高い意思決定に使われます。
| 書類名 | 目的 | 回覧範囲 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 稟議書 | 複数の承認者を経て最終決裁を得る | 係長→課長→部長→役員 | 物品購入・採用・契約・システム導入 |
| 申請書 | 特定の手続きを求める | 直属上司のみ | 休暇申請・経費精算・備品申請 |
| 決裁書 | 最終決裁者のみ署名を得る | 決裁者のみ | 役員レベルの大型案件 |
稟議書が必要になる主な場面
- 物品購入: PC・機械・家具等で社内規程の金額基準を超えるもの
- 採用・人事: 正社員・契約社員・アルバイトの採用、異動・昇給
- システム導入: クラウドSaaS・社内システムの新規契約・更新
- 契約締結: 業務委託契約・秘密保持契約・取引基本契約
- 経費支出: 交際費・出張費・広告宣伝費等の予算外支出
- 不動産・リース: 事務所賃貸・設備リース契約
2. 稟議書の必須記載項目(6項目)
稟議書に記載すべき項目として実務上一般的とされるのは、以下の6つです。法令上の必須項目ではありませんが、1つでも欠けると社内の承認プロセスで差し戻しの原因になりやすいとされています。
| # | 項目 | 記載内容 | よくあるNG例 |
|---|---|---|---|
| 1 | 作成日・稟議番号 | 提出日(西暦 or 和暦は社内規程に従う)・連番管理番号 | 日付なし・番号なし(後で追跡不能) |
| 2 | 起案部署・申請者 | 所属部署名・氏名・役職(押印欄) | 氏名のみで部署不明 |
| 3 | 件名 | 何を・何のために・いくらで申請するかを一行で | 「機器購入について」(抽象的すぎ) |
| 4 | 稟議内容 | 目的・背景・課題・具体的内容・効果(数値込み) | 「必要です」のみで根拠なし |
| 5 | 添付書類 | 見積書・仕様書・契約書案・相見積比較表等 | 見積書1社のみ(比較なし) |
| 6 | 承認欄 | 決裁ルートの各承認者のサイン・押印欄 | 承認者欄が空白 |
3. 用途別テンプレート:6パターンの書き方ガイド
稟議書は申請内容によって書くべきポイントが変わります。以下の6パターン別に、差し戻しを防ぐための記載チェックポイントを解説します。
パターン1: 物品購入申請
最も頻度が高い稟議書です。相見積比較が命で、3社以上の見積書添付が承認率を高めます。
| 記載項目 | 記載内容の例 |
|---|---|
| 現状課題 | 「既存PCは2018年導入。Zoom・大容量ファイル処理時に月平均2〜3時間のフリーズが発生」(数値化必須) |
| 申請内容詳細 | 品名・型番・メーカー・単価・数量・合計金額(税込)・調達先 |
| 代替案比較 | 候補A・B・Cの価格・保証・サポート体制を表形式で比較 |
| 効果・ROI | 「導入後は月2〜3時間×15名 = 年間360〜540時間の損失解消見込み」 |
| 添付書類 | 見積書3社分・仕様書・カタログ |
パターン2: 採用・人事申請
なぜ今採用が必要か(欠員/増員/新設)を明示することが承認の鍵です。増員申請は既存業務の工数データを添付すると説得力が増します。
- 採用区分: 正社員 / 契約社員 / アルバイト・パート / 業務委託 / 派遣
- 募集職種・配属部署・採用人数・入社予定日
- 年収・時給目安(予算超過を避けるため必須)
- 採用理由: 「退職による欠員1名補充」「新規事業○○立ち上げにつき専任1名増員」
- 選考フロー: 書類→一次面接(現場)→二次面接(役員)→採用決定
パターン3: システム導入申請
システム申請ではセキュリティ審査・電子帳簿保存法対応・個人情報取扱の3点を必ず記載します。情シス担当の事前確認を済ませてから稟議書を提出しましょう。
- システム名・提供会社・導入区分(新規/更新/追加ライセンス)
- 初期費用・月額/年額費用・ライセンス数
- 現状課題と想定効果(定量・定性)
- セキュリティ審査状況(情シス確認済 / 審査中)
- 個人情報取扱の有無(ありの場合はDPA締結要否)
- 電帳法対応: 電子取引データとして保存する場合は改ざん防止措置・検索機能の確保が必要( 国税庁 電子帳簿保存法一問一答(Q&A) )
パターン4: 経費支出申請
交際費・広告宣伝費・外部委託費など予算外の支出に使います。費用科目・消費税区分を正確に記載することで経理処理がスムーズになります。
| 費用科目 | 消費税区分 | 記載のポイント |
|---|---|---|
| 交際費 | 課税10% | 相手先(会社名・役職・氏名)・目的・人数・1人あたり金額 |
| 広告宣伝費 | 課税10% | 媒体名・掲載期間・想定リーチ数・目標CV |
| 外部委託費 | 課税10% | 委託先・業務内容・契約期間・成果物 |
| 出張旅費 | 課税10%(国内) | 訪問先・目的・日程・経費明細 |
パターン5: 契約締結申請
契約稟議では法務確認・競業避止・知的財産・解約条件の記載が必須です。特に業務委託契約・NDAは弁護士チェックを経た契約書案を添付することで承認率が上がります。
- 契約先(会社名・代表者・担当者)
- 契約種別: 業務委託 / NDA / 売買 / 賃貸借 / 保守サポート
- 契約金額・支払条件(一括/分割/月払い)
- 自動更新の有無・解約条件・違約金
- 知的財産(著作権・特許)の取扱い
- 個人情報の取扱いとDPA締結要否
パターン6: 汎用(上の5つに当てはまらない申請)
エクセルの「汎用」シートです。件名・申請区分(物品購入/採用・人事/契約締結/経費支出/システム導入/その他)・申請金額・申請理由・申請内容の詳細・代替案・比較検討・実施予定日・添付書類を1枚にまとめます。専用のシートが無い申請は、このシートで出します。不動産・リース専用のシートはありません。
たとえば事務所移転・設備リースなど高額・長期の案件を汎用シートで出すときは、総支払額(初期費用+月額×期間)と原状回復費用を明記するのがポイントです。
- 物件所在地・面積・用途
- 月額賃料・共益費・初期費用(敷金・礼金・仲介手数料)
- 契約期間・更新条件・解約予告期間
- 原状回復費用の見積り(退去コストも含めた総額試算)
エクセルの6シートの記入済みの例文
エクセル版の6シート(汎用/物品購入申請/採用・人事申請/システム導入申請/経費精算申請/契約締結申請)に、それぞれどう書くかを下に載せます。会社名・人名・金額はすべて架空の例です。Wordの記入例は物品購入申請(ノートPC15台)だけなので、ほかの用途の書き方はここで見てください。承認欄(担当者から役員・社長までの押印)は、各社の決裁ルートに合わせて埋めます。
シート「汎用」の記入例(外部研修の受講)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・稟議番号 | 2026年6月12日(金)/2026-06-012 |
| 申請部署・申請者・役職 | 総務部/佐々木 恵/総務課長(内線 3021) |
| 件名 | 新入社員3名の外部研修(ビジネス文書)の受講について(¥99,000・税込) |
| 申請区分 | ■ 経費支出 |
| 申請金額 | ¥99,000/■ 税込 □ 税別(受講料 ¥33,000 × 3名) |
| 申請理由(目的・背景) | 4月入社の3名が、社外への依頼メールや見積依頼書の文面で、営業部から毎週のように書き直しを受けています。書き直しにかかる工数は月に約6時間です。外部の1日研修で、文書の型と敬語を身につけさせたいと考えます。 |
| 申請内容の詳細 | 研修名: ビジネス文書の基本講座(1日・オンライン)/日程: 2026年7月22日(水)/受講者: 営業部2名・総務部1名/申込締切: 2026年7月8日(水) |
| 代替案・比較検討 | 案A(本申請)外部研修 ¥99,000。案B 社内で先輩が教える: 費用はかからないが、指導役の工数が月に約8時間かかるため見送り。案C 通信講座 ¥45,000: 安いが添削の返却に1週間かかるため見送り。 |
| 実施予定日・添付書類 | 2026年7月22日(水)/■ 見積書(研修会社の申込書)□ 仕様書 □ 契約書案 □ その他 |
| 備考 | 受講後に、受講した3名が内容をまとめた報告書を総務部へ提出します。 |
シート「物品購入申請」の記入例(会議室のモニター)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・稟議番号 | 2026年6月3日(水)/2026-06-003 |
| 申請部署・申請者 | 総務部/佐々木 恵 |
| 購入予定日・納品先 | 2026年6月19日(金)/本社3階 会議室 |
| 購入目的 | 会議室のモニター4台のうち2台が映らなくなり、オンライン会議の接続が週に数回止まっています。4台をまとめて入れ替えます。 |
| 品名・型番 | 仕様・規格 | 数量 | 単価(税別) | 金額(税別) | 税額(10%) | 合計(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 液晶モニター MN-270B | 27インチ・WQHD | 4 | 38,000円 | 152,000円 | 15,200円 | 167,200円 |
| HDMIケーブル HC-20 | 2m | 4 | 1,200円 | 4,800円 | 480円 | 5,280円 |
| 合計 | 156,800円 | 15,680円 | 172,480円 | |||
シート「採用・人事申請」の記入例(営業の欠員補充)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・稟議番号 | 2026年6月8日(月)/2026-06-008 |
| 申請部署・申請者 | 営業部/田村 健一 |
| 採用区分 | ■ 正社員 □ 契約社員 □ アルバイト・パート □ 業務委託 □ 派遣 |
| 募集職種・配属部署 | 法人営業(既存顧客の担当)/営業部 第2課 |
| 採用人数・入社予定日 | 1名/2026年9月1日(火) |
| 年収・時給目安・試用期間 | 月給280,000円〜320,000円(賞与年2回)/試用期間3か月 |
| 必須スキル・経験 | 法人営業の経験3年以上/普通自動車運転免許 |
| 優遇スキル・経験 | 製造業・建設業の顧客への営業経験 |
| 採用理由(欠員/増員/新設) | 欠員補充。2026年5月29日(金)付で営業担当1名が退職し、担当していた顧客62社の引き継ぎ先が決まっていません。 |
シート「システム導入申請」の記入例(勤怠管理サービス)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・稟議番号 | 2026年6月10日(水)/2026-06-010 |
| システム名・提供会社 | クラウド勤怠管理サービス「サンプル勤怠」/株式会社サンプルソフト |
| 導入区分・ライセンス数 | ■ 新規導入 □ 更新・移行 □ 追加ライセンス/45ライセンス |
| 初期費用・月額費用 | 初期費用 ¥0(税込)/月額 ¥35,640(税込・1人720円 × 45名 × 1.1) |
| 導入目的(現状課題) | タイムカードの打刻を総務部が月末に手で集計しており、毎月約20時間かかっています。入力ミスで給与の再計算になる月もあります。 |
| 想定効果(定量・定性) | 集計の20時間を月3時間まで減らす見込みです。残業時間を管理職が日ごとに見られるようになります。 |
| 他ツールとの連携・影響 | 勤怠データをCSVで出力し、現在使っている給与計算ソフトに取り込めることを、試用アカウントで確認済みです。 |
| セキュリティ審査結果・個人情報 | ■ 情シス確認済(2026年6月5日(金))/あり(従業員の氏名・勤務時間。データの取り扱いに関する覚書の締結が必要) |
| 電帳法対応(電子取引)・導入予定日 | ■ 対象外(請求書などの取引データは扱わないため)/2026年8月3日(月) |
シート「経費精算申請」の記入例(取引先との打合せ出張)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・申請者・部署 | 2026年6月22日(月)/田村 健一/営業部 |
| 支出目的 | 名古屋の取引先(株式会社サンプル精機)との年間契約の更新打合せ(2026年6月16日(火))にかかった費用の精算 |
| 日付 | 費用科目 | 内容・目的 | 訪問先・相手先 | 税別金額 | 消費税 | 合計(税込) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2026年6月16日(火) | 旅費交通費 | 新幹線 東京〜名古屋 往復 | 株式会社サンプル精機 | 20,000円 | 2,000円 | 22,000円 |
| 2026年6月16日(火) | 交際費 | 打合せ後の会食(4名) | 株式会社サンプル精機 山本部長ほか | 20,000円 | 2,000円 | 22,000円 |
| 2026年6月17日(水) | 会議費 | 打合せ資料の印刷・飲み物代 | 株式会社サンプル精機 | 3,000円 | 300円 | 3,300円 |
| 合計 | 43,000円 | 4,300円 | 47,300円 | |||
承認欄は申請者・直属上長・経理担当・部長・役員の順で、支払日は2026年6月30日(火)と記入した例です。
シート「契約締結申請」の記入例(Webサイト制作の業務委託)
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 申請日・稟議番号 | 2026年6月9日(火)/2026-06-009 |
| 申請者・申請部署 | 佐々木 恵/総務部 |
| 契約先(相手方)・担当者 | 株式会社サンプルデザイン(代表取締役 中村 博)/営業 高橋 優 |
| 契約種別・契約形態 | ■ 業務委託 □ 秘密保持(NDA) □ 売買 □ 賃貸借 □ 保守・サポート □ 人材紹介 □ その他/■ 新規 □ 更新 □ 変更 |
| 契約期間・自動更新 | 2026年7月1日(水)〜2026年12月31日(木)/■ なし □ あり |
| 契約金額(税込)・支払条件 | ¥1,320,000/■ 分割(2回: 着手時に50%・納品の検収後に50%) |
| 契約目的(業務内容) | 自社コーポレートサイト(全12ページ)のリニューアルの設計・デザイン・制作 |
| 法務チェック状況・知的財産 | ■ 法務確認済(2026年6月8日(月)に法務担当が契約書案を確認)/■ 問題なし(納品物の著作権は、支払完了時に当社へ譲渡する条項あり) |
| 個人情報取扱・競業避止/秘密保持条項 | ■ なし(お問い合わせフォームで集める個人情報は、当社のサーバーで受け取り、委託先は触れない)/■ あり(秘密保持条項を入れる) |
| 解約条件・違約金 | 期間中の解約は1か月前までに書面で通知する。着手後に解約した場合は、作業を終えた分の費用を支払う。違約金はなし。 |
| 添付書類 | ■ 契約書案 ■ 見積書 ■ 会社概要 □ NDA □ その他 |
4. 稟議書が承認される書き方5原則(差し戻し防止)
稟議書の差し戻し原因は「情報不足」「根拠の弱さ」「感情的な表現」の3つに集約されます。以下の5原則を守れば承認率が大幅に向上します。
- 課題を数値で示す(定量化の原則)
「業務が非効率」ではなく「月平均◯時間の損失 × ◯名 = 年間◯時間・換算コスト◯万円」のように定量化します。承認者は「費用対効果」で判断するため、数字のない稟議書は即差し戻しになります。 - 代替案を並べて比較する(比較の原則)
「A案のみ」ではなく「A案(推奨)・B案・C案」を表形式で比較し、推奨案の選定理由を明記します。相見積書は最低3社添付が慣例です。 - リスクとデメリットも正直に書く(透明性の原則)
良い面だけを書くと承認者の信頼を損ないます。「デメリット: 初期費用が高い / リスク: 移行コストが発生する」等を記載し、対処策を添えることで信頼性が上がります。 - 事前に承認者へ根回しをする(根回しの原則)
稟議書提出前に直属上司・キーパーソンに口頭で事前説明します。初めて見る内容は慎重に判断されるため、稟議書は「正式な記録化」の役割が強く、実質的な検討は根回し段階で済ませておくのが理想です。 - 件名に「何を・いくら・なぜ」を盛り込む(件名の原則)
「ノートPC15台購入稟議(¥1,650,000・業務効率化)」のように、件名だけで内容が把握できるようにします。役員クラスは件名だけで承認・保留を判断することもあるため、最も重要な情報を冒頭に置きます。
5. 承認フロー設計ガイド(職位別・金額別の基準)
稟議書の承認フローは会社の「稟議規程(決裁規程)」で定めるのが原則です。中小企業では規程が整備されていないケースも多いため、以下を参考に設計してください。
金額別の承認者基準(一般的な目安)
| 申請金額 | 最終決裁者 | 備考 |
|---|---|---|
| 〜¥50,000未満 | 係長・主任 | 簡易稟議書でOK |
| ¥50,000〜¥500,000未満 | 課長 | 相見積書2社以上推奨 |
| ¥500,000〜¥5,000,000未満 | 部長 | 相見積書3社以上必須 |
| ¥5,000,000〜¥30,000,000未満 | 専務・常務 | 弁護士・法務確認推奨 |
| ¥30,000,000以上 | 代表取締役社長・取締役会 | 取締役会決議が必要な場合あり(会社法) |
※ 上記の金額区分・決裁者は法令で定められたものではなく、一般的な社内規程を参考にした目安です。実際の運用は各社の稟議規程・決裁規程に従ってください。
承認フローのパターン3種
- 順次承認(直列型): 担当者 → 係長 → 課長 → 部長 → 役員の順に1人ずつ承認。確認が丁寧だが時間がかかる
- 同時承認(並列型): 複数承認者へ同時に回覧し、全員の承認で決裁。スピード重視・緊急案件向け
- 条件分岐型: 金額・申請種別によって承認ルートが自動変更される。電子ワークフローシステムで実現
6. 電子稟議・ワークフローシステム導入ガイド
紙の稟議書の課題(印刷・回覧・保管コスト・リモートワーク時の停滞)を解消するには電子ワークフローシステムへの移行が有効です。freeeは自社の稟議承認機能について「書類を紙で回覧する方式は承認プロセスに時間がかかり、意思決定も遅くなる」と説明しており、電子化によって決裁者が外出先からPC・スマートフォンで確認できる点、進捗の可視化が進む点をメリットとして挙げています( freee 稟議承認ガイド )。承認リードタイムの具体的な短縮率を示す公開データは確認できていないため、本ページでは特定の数値は断定的に記載しません。
主要ワークフローシステム比較
| サービス | 特徴 | 料金目安 | 電帳法対応 |
|---|---|---|---|
| freee会計 | 会計・経費・稟議が一体。購買申請・各種申請ワークフロー内蔵 | 公式で確認 | ○ |
| マネーフォワード | 経費精算・請求書・稟議を横断管理。MF経費と連動 | 公式で確認 | ○ |
| Styleflow | 稟議書・各種申請特化。条件分岐承認フロー・外部連携 | 公式で確認 | ○ |
| 楽楽精算 | 経費精算特化。交通費・出張費・稟議の一元管理 | 月額30,000円〜(税抜)・初期費用あり(公式確認日 2026-10-07) | ○ |
| Notionワークフロー | 無料から使えるDB型。テンプレート自作で稟議書管理可能 | 公式で確認 | △(設定次第) |
※料金は変動する場合があります。契約前に必ず各サービスの公式サイトで最新の料金プランをご確認ください。
電子帳簿保存法(電帳法)との関係
稟議書を電子ファイルで作成・保存する場合、国税関係書類に該当するものは電帳法の要件を満たした保存が必要です( 国税庁 電子帳簿保存法一問一答(Q&A) )。
- 対象となる稟議書: 契約締結・仕入・売上等の取引に関する意思決定プロセスに該当するもの
- 必要な対応: ①タイムスタンプまたは訂正削除履歴機能 ②日付・金額・取引先での検索機能 ③システム概要書の備付け
- 簡便化措置: 小規模事業者はタイムスタンプなしで保存可能な場合あり(事務処理規程の整備が条件)
7. 稟議書の保管・管理(電子・紙の保管基準)
稟議書の保管期間を一律に定める法律はありません。ただし、稟議内容が会社の意思決定の証跡となるため、以下の基準を参考に保管期間を設定してください。
| 稟議種別 | 推奨保管期間 | 根拠・理由 |
|---|---|---|
| 物品購入 | 資産廃棄まで + 3年 | 固定資産の減価償却期間中は保管が望ましい |
| 採用・人事 | 退職後5年以上 | 労働関係書類は原則5年、当分の間は経過措置で3年(労働基準法109条・同法附則)。意思決定証跡として長めの保管を推奨 |
| 契約締結 | 契約終了後10年 | 会社法は計算書類等を10年保存と定める(会社法435条4項) |
| システム導入 | サービス終了後3年以上 | データ移行・セキュリティ事故対応の証跡として |
| 高額案件(¥5M以上) | 永年保存 | 経営判断の記録。株主代表訴訟等のリスクに備え |
電子保存の場合はファイル名に「日付_部署_件名_稟議番号」の命名規則を設け、フォルダ構成(年度別→部署別→申請種別)で整理する運用が実務上よく見られます。これは法令が定める方式ではなく、社内規程で定める一般的な実務慣行です。電子取引データとして保存する場合は、前述の電子帳簿保存法の要件(検索機能の確保等)を満たす形で管理してください( 国税庁 電子帳簿保存法一問一答(Q&A) )。
稟議書の消費税額を自動計算
物品購入・システム導入稟議書の申請金額に含まれる消費税額を自動計算できます。税別・税込の確認や内消費税の計算に便利です。
消費税を計算する8. 稟議書を使った社内ルール整備(テンプレート運用のポイント)
テンプレートを用意するだけでなく、「誰が・いつ・どのような稟議書を提出するか」を社内規程として明文化することで、テンプレートが真に機能します。稟議規程(決裁規程)の作成を推奨します。
稟議規程に盛り込むべき5要素
- 適用範囲: 対象となる取引・行為の種類と金額基準
- 決裁権限一覧表: 金額帯ごとの最終決裁者(職位)
- 稟議書の提出先・回覧順序: 直属上司からスタートするルートの明記
- 審査期間の目標値: 「課長は受領から2営業日以内に判断」等のSLA設定
- 保管方法・保管期間: 電子/紙の保管場所・命名規則・廃棄手順
稟議書運用のよくある失敗とその対策
| よくある失敗 | 対策 |
|---|---|
| 稟議書が承認者の手元で止まる | 承認期限(SLA)を規程に明記 + リマインド通知の仕組み |
| 承認後に内容が変わる(契約内容の変更等) | 変更事項は差分の追加稟議書を必ず提出するルール |
| 稟議書なしで発注してしまう(事後申請) | 購買部門が「稟議番号なし = 発注不可」のルールを徹底 |
| テンプレートが部署ごとにバラバラ | 本サイトのテンプレートを社内標準として採用し共有フォルダに配置 |
関連テンプレート: 事業計画書テンプレート(大型投資・システム導入稟議の根拠資料)・ 送付状テンプレート(稟議添付書類の送付に)・ 見積書テンプレート(相見積書の作成に)
よくある質問
稟議書と申請書・決裁書の違いは何ですか?
稟議書は必ずしも書面(紙)で出す必要がありますか?
稟議書の保管期間は何年ですか?
稟議書が差し戻されないためのコツは?
「稟議書」と「ringi-sho」はどう読みますか?
稟議書の件名はどう書けばいいですか?
少額の場合も稟議書は必要ですか?
電子稟議システムと紙の稟議書、どちらが良いですか?
稟議書に添付すべき書類は何ですか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-08-25 確認時点)。
このテンプレートの改訂履歴
- エクセルの6シート(汎用・物品購入・採用・システム導入・経費精算・契約締結)の記入済みの例文を本文に追加。配布している記入例PDFを画像にしたプレビューを追加
- 「6パターンの書き方ガイド」の6つ目を、配布のエクセルに無い「不動産・リース申請」から、エクセルの6シート目にあたる「汎用」に直した(不動産・リース専用のシートは無い旨を明記)
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