
- 賃金規程(給与規程)をWord・PDFで無料ダウンロードできる(11条構成・書き方ガイド付き)
- 労働基準法第89条2号が定める絶対的必要記載事項(賃金の決定・計算・支払方法・締切り・支払時期・昇給)
- 就業規則との関係(別規程にする場合の委任規定の書き方)と労基署への届出要否
- 賃金からの控除に関するルール(法定控除と協定控除の違い・労基法24条1項ただし書)
- 割増賃金の率・非常時払・休業手当・デジタル払いの定め方(労基法25・26・37条、施行規則7条の2・20条・21条)
賃金規程とは
賃金規程(給与規程)は、従業員の賃金の決定方法・計算方法・支払方法・締切日・支払日・昇給に関するルールを定めた規程です。 労働基準法第89条2号 は、これらの事項を就業規則の絶対的必要記載事項(必ず定めなければならない事項)と定めています。
厚生労働省のモデル就業規則は、賃金に関する事項を単体の規程としてではなく、就業規則本体の第6章「賃金」に内包する構成で配布しています。同章の冒頭には「賃金に関する事項については、就業規則本体とは別に定めることもできます。その場合、別に定めた規程も就業規則の一部になりますので、所轄の労働基準監督署長への届出が必要となります」とあります(モデル就業規則 50頁)。2026年10月12日に 厚生労働省「モデル就業規則について」 を見た時点で、掲載されていたのは全体版(Word・PDF)、外国語版、やさしい日本語版で、賃金規程だけの版は掲載一覧にありませんでした。別規程として整備したい会社は、このテンプレートのような書式を自社用に書き換えて使うことになります。
【最重要】絶対的必要記載事項(労基法89条2号)
労働基準法第89条2号は「賃金(臨時の賃金等を除く。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」を就業規則の絶対的必要記載事項としています。常時10人以上の労働者を使用する事業場は、これらを必ず定めなければなりません。
| 記載事項 | 内容 |
|---|---|
| 賃金の決定方法 | 基本給・諸手当の構成、決定の基準 |
| 賃金の計算方法 | 時間外・休日・深夜労働の割増賃金の算定方法等 |
| 賃金の支払方法 | 通貨払い・直接払い・全額払いの原則(労基法24条1項) |
| 賃金の締切り及び支払の時期 | 毎月1回以上、一定の期日を定める(労基法24条2項) |
| 昇給に関する事項 | 昇給の時期・基準 |
就業規則との関係(別規程にする場合の書き方)
賃金規程を別規程として切り出す場合は、就業規則本体に次のような委任規定を置いてください。
「従業員の賃金に関する事項は、別に定める『賃金規程』による。」
厚生労働省のモデル就業規則は、就業規則本体とは別に定めた規程も就業規則の一部になるとしています。常時10人以上の労働者を使用する事業場は、就業規則本体の変更と同様に、 労働基準法第90条 に基づき過半数代表者の意見を聴き、意見書を添付したうえで、就業規則本体とあわせて労働基準監督署へ届け出る必要があります。
賃金規程を改定するとき、旧版と新版を見比べる
手当を新しくしたり、締め日や支払日を動かしたりして賃金規程を書き換えるときも、手続きは就業規則本体の変更と同じです。その前に、旧版と新版を貼って、変わった所を確かめてください。賃金規程は、割増率・締め日・支払日のような数字が1つ入れ替わっただけで意味が変わります。全文を目で追うより、色の付いた行だけを見るほうが速く、直したつもりの数字の直し忘れも見つかります。
「変わった行だけ表示する」にチェックを入れると、同じ行は畳まれます。「変更点を表でコピー」で出る旧・新の2列は、過半数代表者に変更点を見せる資料の下書きに使えます。
改定前と改定後を見比べる
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従業員数による届出義務の違い
| 事業場の規模 | 賃金の事項を就業規則等に定めること | 労基署への届出 |
|---|---|---|
| 常時10人未満 | 任意(就業規則自体の作成義務がないため) | 不要 |
| 常時10人以上 | 義務(就業規則の絶対的必要記載事項。別規程にするか、本体に書くかは自由) | 必要(就業規則本体と併せて届出) |
賃金からの控除ルール(労基法24条1項ただし書)
賃金は通貨で直接従業員にその全額を支払うのが原則です( 労働基準法第24条1項 )。社会保険料・源泉所得税・住民税等の法令に基づく控除は協定なしで行えますが、社宅費・親睦会費・財形貯蓄等の任意項目を天引きする場合は、従業員の過半数代表者との書面協定(賃金控除に関する労使協定)が必要です。協定を締結せずに任意項目を控除すると、全額払いの原則に違反する可能性があります。
この規程に入れた賃金のルール(割増率・非常時払・休業手当・デジタル払い)
法律が下限を決めている数字や定めは、規程の条文に入れてあります。自社用に書き換えるときは、下の数字を下回らないようにしてください。
| 項目 | 規程の条 | 法律が決める下限 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 時間外労働の割増賃金 | 第7条 | 25%以上 | 労働基準法第37条第1項 ・ 割増率の政令 |
| 1か月60時間を超えた時間外労働 | 第7条 | 50%以上 | 労働基準法第37条第1項ただし書 |
| 休日労働の割増賃金 | 第7条 | 35%以上 | 労働基準法第37条第1項・割増率の政令 |
| 深夜(午後10時〜午前5時)の割増賃金 | 第7条 | 25%以上 | 労働基準法第37条第4項 |
| 使用者の責に帰すべき事由による休業の休業手当 | 第8条 | 平均賃金の60%以上 | 労働基準法第26条 |
時間外労働が深夜に及ぶ時間は50%以上(そのうち1か月60時間を超える時間外労働に当たるものは75%以上)、休日労働が深夜に及ぶ時間は60%以上です(労働基準法施行規則第20条)。第7条はこの重なる場合の率と、割増賃金の算定基礎に入れない手当(家族手当・通勤手当のほか、別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金。労働基準法第37条第5項・同法施行規則第21条)を、条文では「労働基準法及び労働基準法施行規則の定めるところによる」としています。数字と除外の対象は、ダウンロードできる運用ガイドの第6項にまとめてあります。
非常時払(第4条): 従業員が出産、疾病、災害その他の非常の場合の費用に充てるために請求したときは、支払日前でも、すでに働いた分の賃金を支払います( 労働基準法第25条 )。非常の場合の範囲は、労働基準法施行規則第9条が定めています。
デジタル払い(第5条の任意の項): 指定資金移動業者の口座への賃金の支払は、会社が採用すると決めたときだけ使う項です。従業員の同意を得ること、口座振込みなど他の方法も選べるようにすること、法令が定める要件を説明して同意を得ることが、労働基準法施行規則第7条の2第1項に定められています。採用しない会社は、Word版でこの項を削除してください。
Word版とPDF版の使い分け
| 形式 | おすすめの用途 |
|---|---|
| Word(.docx) | 自社の賃金体系に合わせて条文を編集したい場合 |
| PDF(印刷用) | 労基署への届出書類として印刷したい場合 |
| PDF(記入例) | 条文の記入イメージを参考にしたい場合(会社名・施行日・手当の金額は架空) |
関連テンプレート
- 就業規則テンプレート(10人未満・10〜50人・50人以上の3段階)
- 労使協定パック(賃金控除協定を含む)
- 給与明細テンプレート
- 退職金規程テンプレート(退職金を別規程にするときの Word と、支給率から額を出す計算エクセル)
賃金規程は必ず作らなければなりませんか?
賃金規程は就業規則とは別に作るべきですか?
別規程にした場合、労基署への届出は必要ですか?
給与から社宅費や親睦会費を天引きしてもよいですか?
退職金(退職手当)の定めも賃金規程に含めるべきですか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-12 確認時点)。
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