
- 全宅連・全日の標準書式に準拠した重要事項説明書の雛形を無料ダウンロードできる(5バリエーション同梱)
- 必須記載35項目・賃貸用と売買用の違い・都道府県条例の付記事項がわかる
- IT重説の進め方・電子署名対応・実務フロー全体像がわかる
全宅連版と全日版の雛形の違い
日本の宅建業界には2大団体があり、それぞれが独自の標準書式を提供しています。どちらも 宅建業法35条 の要件を満たしていますが、書式の構成・条文の表現が一部異なります。 全宅連(ハトマーク) と 全日(うさぎマーク) が代表的です。
| 比較項目 | 全宅連(ハトマーク) | 全日(うさぎマーク) |
|---|---|---|
| 正式名称 | 全国宅地建物取引業協会連合会 | 全日本不動産協会 |
| 会員数(概算) | 約10万業者 | 約3万業者 |
| 書式の入手先 | ハトマーク系協会の各都道府県支部 | 全日系協会の各都道府県本部 |
| 書式の特徴 | 全国統一書式が充実・都道府県付記版あり | シンプルな構成・特約記載欄が広め |
| デジタル化対応 | 電子書式・IT重説ガイドライン整備済み | 電子対応進行中 |
| 法的効力 | 同等(宅建業法の要件を満たしていれば書式不問) | 同等 |
所属していない団体の書式を使っても法律上は問題ありませんが、慣例として所属協会の書式を使うことが一般的です。
重要事項説明書 vs 37条書面(契約書)の違い
初学者が混同しやすい2つの書面の違いを整理します。重説は契約前、37条書面は契約後に交付する点が決定的に異なります。
| 比較項目 | 重要事項説明書(35条書面) | 37条書面(契約書) |
|---|---|---|
| 交付タイミング | 契約締結前 | 契約締結後(直ちに) |
| 説明義務 | 宅建士による口頭説明必須 | 説明義務なし(交付のみ) |
| 記名 | 宅建士の記名必須 | 宅建士の記名必須 |
| 主な目的 | 取引相手の判断材料の提供 | 契約内容の明確化と紛争予防 |
| 記載事項 | 物件・権利・法令・契約条件等(35条) | 当事者・代金・引渡時期・移転登記等(37条) |
| 違反時の処分 | 業務停止・指示処分の対象 | 業務停止・指示処分の対象 |
重要事項説明書の必須記載35項目
宅建業法第35条とその施行規則により、重要事項説明書に記載しなければならない事項が定められています。賃貸と売買で一部異なりますが、共通の主要項目は以下のとおりです。
| カテゴリ | 主な記載事項 |
|---|---|
| 物件の状況 | 所在地・地番・面積・構造・築年数・用途 |
| 権利関係 | 登記の状況・抵当権等の担保設定・差押えの有無 |
| 法令上の制限 | 都市計画区域・用途地域・建蔽率・容積率・接道状況 |
| ライフライン | 電気・ガス・水道・下水の供給状況 |
| 建物の設備 | 設備の内容・性能・瑕疵の有無 |
| 取引条件 | 代金・借賃・権利金・敷金・礼金の額と支払条件 |
| 契約期間・解除条件 | 契約期間・更新の条件・解除事由・違約金 |
| 損害賠償額の予定 | 損害賠償額の予定または違約金に関する事項 |
| 手付金等の保全措置 | 保全措置の有無・方法(売買のみ) |
| 石綿(アスベスト)調査 | 調査の実施状況・記録の内容 |
| 耐震診断 | 昭和56年5月以前着工の場合・耐震診断の有無と結果 |
| 津波・浸水リスク | ハザードマップ上の所在確認と説明 |
賃貸用と売買用の記載事項の違い
賃貸用と売買用では、記載が必要な事項が異なります。主な違いを整理しました。
| 記載事項 | 賃貸用 | 売買用 |
|---|---|---|
| 敷金・礼金・保証金 | 記載必須(額・返還条件) | 不要 |
| 更新の条件 | 記載必須(普通借家か定期借家か) | 不要 |
| 手付金の保全措置 | 不要 | 記載必須(5%または1,000万円超の場合) |
| 瑕疵担保責任の内容 | 不要(例外あり) | 記載必須 |
| ローン条項 | 不要 | 記載必須(融資利用の有無・条件) |
| 移転登記の申請時期 | 不要 | 37条書面に記載(35条書面では任意) |
各都道府県条例の付記事項
全国共通の記載事項に加え、各都道府県の条例によって追加記載が求められる場合があります。代表的な例を以下に示します。
| 都道府県 | 主な付記事項 |
|---|---|
| 東京都 | 住宅確保要配慮者(高齢者・障害者・外国人等)への対応可否 |
| 東京都 | 原状回復のトラブルを防ぐガイドラインへの準拠確認 |
| 大阪府 | 大阪府マンション管理適正化推進計画に基づく事項 |
| 神奈川県 | 土壌汚染に関する調査状況 |
| 全都道府県共通 | 洪水・高潮・津波のハザードマップ確認(国交省通達による) |
当サイトのテンプレートには東京都版の付記事項を収録しています。他の都道府県で利用する場合は、各都道府県の宅建協会が提供するガイドラインを参照してください。
IT重説(オンライン重説)の進め方
2022年5月の宅建業法改正により、IT重説(インターネットを活用した重要事項説明)が全物件で解禁されました。詳細は 国土交通省 IT重説運用ガイドライン に明記されています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 相手方の承諾取得 | IT重説の実施について書面または電磁的方法で承諾を得る |
| 2. 事前書面の送付 | 重要事項説明書を契約日の前日までに送付(十分な読み込み時間を確保) |
| 3. 映像・音声通信の確保 | 双方向でリアルタイムに映像・音声が確認できる環境を用意する |
| 4. 宅建士証の提示 | 宅建士証をカメラに向けて提示・相手方が確認できることを確認 |
| 5. 説明の実施 | 35条書面に記載の全事項を口頭で説明し、質疑応答を行う |
| 6. 記録の保存 | IT重説の実施記録(日時・参加者・通信手段)を保存する |
重要事項説明書作成の実務フロー
重要事項説明書の作成から交付までの流れは以下のとおりです。新人宅建士が最もつまずきやすいのは「物件調査」と「法令制限の確認」のステップです。
| フェーズ | 作業内容 | 担当 |
|---|---|---|
| 1. 物件調査 | 登記簿謄本・公図・測量図の取得・確認 | 担当者(宅建士でなくても可) |
| 2. 法令制限調査 | 都市計画・用途地域・建築確認の確認 | 担当者または宅建士 |
| 3. 設備確認 | ライフライン・設備の状況確認 | 担当者 |
| 4. 書類作成 | 雛形への記入・特約の追記 | 担当者(宅建士が最終確認) |
| 5. 宅建士の記名 | 内容確認・宅建士の記名 | 宅建士のみ |
| 6. 説明・交付 | 対面またはIT重説で説明・書面交付 | 宅建士のみ |
重要事項説明書の作成・管理を自動化する
宅建業者向けSaaSは全宅連・全日の標準書式に対応。都道府県条例付記事項も自動反映します。記載漏れを防ぎ、宅建士の確認工数を最小化します。
重説SaaSを比較する →関連テンプレート
全宅連と全日どちらの雛形を使うべき?
重要事項説明書は宅建士しか作れない?
都道府県によって書式が違う?
雛形を勝手に改変してもいい?
電子署名での重要事項説明書は有効?
雛形の保管期間と廃棄方法は?
重説書類で記載漏れがあった場合の処分は?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。