
- 発注書テンプレートをExcel/Wordの2形式で無料ダウンロードできる(会員登録不要)。Googleスプレッドシートで編集したい場合は、ダウンロード後にGoogleドライブへアップロードして変換できます
- 製造業・小売業・サービス業・建設業・IT業の5業種対応・インボイス制度対応・自動計算式入り
- 発注書の書き方・注文請書との違い・電子帳簿保存法対応の基礎知識がわかる
1. 発注書とは(注文書・注文請書との違い)
実務上「発注書」と「注文書」は同義で使われることが多く、いずれも買い手側が発行する注文書面を指します。一方「注文請書」は売り手側が発行する受注承諾書で、両者がそろってはじめて 民法555条 が定める売買契約が双方の意思合致により成立します。
| 書類名 | 発行者 | タイミング | 役割・効力 |
|---|---|---|---|
| 発注書(注文書) | 発注側(買い手) | 取引開始時 | 購入意思の表明・取引条件の明示(申込み) |
| 注文請書 | 受注側(売り手) | 発注書受領後 | 受注の承諾・契約成立の証明(承諾) |
| 請求書 | 受注側(売り手) | 納品後 | 代金の請求・インボイス制度対応 |
2. 発注書の必須記載項目・書き方
発注書は法律上の様式自由ですが、トラブル防止と 国税庁 インボイス制度 対応の観点から、以下10項目の記載を推奨します。
- 書類のタイトル(「発注書」または「注文書」と明記)
- 発注番号(管理番号)
- 発注日(書類の作成日)
- 発注者の情報(社名・住所・担当者名・電話番号)
- 受注者の情報(取引先名・担当者名)
- 品名・規格・仕様
- 数量・単位
- 単価・金額(税抜単価・小計・消費税・合計)
- 納品希望日・納品場所
- 支払条件(月末締め翌月末払い等)
追加で、インボイス対応のため取引先のインボイス登録番号(T+13桁)を任意記入欄として設けると、後の請求書照合がスムーズになります。本テンプレートでは記入欄を標準装備しています。
3. 形式別の使い分け(Excel/Word/PDF)
発注書は3形式同梱していますが、取引規模・送付方法・保存要件によって最適な形式が異なります。下表を参考に、シーンに合わせて使い分けてください。
| 形式 | 強み | 最適なシーン | 注意点 |
|---|---|---|---|
| Excel版 | 自動計算・データ集計・大量明細処理 | 大量発注・月次集計・受発注データの一元管理 | 送付時はPDF化推奨(編集可能で誤改変リスク) |
| Word版 | レイアウト自由度・印影押印・契約書同梱 | 単発発注・押印済み紙運用・契約書添付発注 | 計算は手入力。明細10件以上は非効率 |
| PDF版 | 改ざん防止・電子契約対応・電子帳簿保存法対応 | 取引先送付・電子契約システム送付・電帳法保存 | 発行はExcel/Wordで行いPDF出力する運用が現実的 |
電子帳簿保存法対応はPDF保存が安全
2024年1月以降、電子取引で授受した発注書は 電子帳簿保存法 により電子データのまま保存が義務化されています。Excel/Wordはバージョン違いで開けなくなるリスクがあるため、送付・保存はPDFに統一し、編集元のExcel/Wordは別途バックアップ保管する運用が安全です。検索要件(取引日・取引先・金額)はファイル名規約(例: 20260512_株式会社○○_発注書_¥330000.pdf)で対応できます。
4. 業種別推奨フォーマット
- 製造業: Excel版(部品点数が多く、数量×単価×ロット計算が頻発)。取引先マスタ連携で品番管理を一元化
- IT・受託開発: Word版+PDF出力(成果物・納品仕様の文章記述が多く、契約書同梱が一般的)
- 小売・EC: Excel版(商品点数が多く、月次仕入集計が必要)。ピボットで仕入分析
- 建設業: Word版(注文書面に押印・現場別の特記事項記述が多い)。取適法の対象取引では、第4条の明示事項(後述の8号)を必ず記入
5. 作成のコツ・効率化(自動計算式・SaaS連携)
Excel版の自動計算式の使い方
本テンプレートのExcel版には、発注業務を効率化する自動計算式があらかじめ組み込まれています。SUM/SUMIFS関数による数量×単価の自動算出、IF関数を使った消費税10%/8%軽減税率の自動切替、VLOOKUP/XLOOKUPによる取引先マスタ連携まで対応しており、入力作業を最小化できます。
- 金額自動算出(SUM/SUMIFS): 明細行の小計列に
=SUMPRODUCT(数量列, 単価列)を設定し、税抜合計を自動算出。品目別集計は=SUMIFS(金額列, 品目列, "対象品目")で取得 - 軽減税率の自動切替(IF): 税率列に
=IF(軽減税率対象="○", 0.08, 0.1)、消費税列に=ROUNDDOWN(小計*税率, 0)を設定。インボイス制度の8%/10%混在取引にそのまま対応 - 取引先マスタ連携(VLOOKUP/XLOOKUP): 別シート「取引先マスタ」に取引先コード・社名・住所・インボイス登録番号を登録し、発注書側で
=XLOOKUP(取引先コード, マスタ!A:A, マスタ!B:B)を設定すればコード入力だけで全項目を自動展開 - 集計シート(ピボットテーブル): 月次集計シートに発注明細を蓄積し、ピボットテーブルで「取引先×月次」「品目×月次」のクロス集計を1クリックで生成。取適法の対象取引の発注額モニタリングにも活用可
- 印刷設定の最適化: 「ページレイアウト→印刷の向き=縦/用紙サイズ=A4/拡大縮小=1ページ幅に収める」を設定。明細行が多い場合は「改ページプレビュー」で2ページ目以降にも見出し行を繰り返す(タイトル行設定)
紙運用 vs 電子発注(SaaS活用)の比較
| 比較項目 | 紙の発注書 | 電子発注書(SaaS活用) |
|---|---|---|
| 発行にかかる時間 | 15〜30分 | 2〜5分 |
| ステータス確認 | 電話・メールで確認が必要 | システム上でリアルタイム確認 |
| 電子帳簿保存法対応 | スキャン保存要件あり | 電子データとして要件充足 |
| 月あたりコスト(目安) | 人件費・紙代・FAX代 計月2〜5万円 | SaaS月額¥3,000〜¥30,000 |
会計ソフト連携で仕訳まで自動化
| 手作業の流れ | SaaS活用後の流れ |
|---|---|
| 発注書をExcelで作成 | SaaSで発注書を作成・送信 |
| 請求書を受け取りメール確認 | 請求書を自動取り込み |
| Excelに手入力して仕訳 | AI仕訳で自動入力(要確認のみ) |
6. 発注後の変更・キャンセル時の対応
発注書送付後でも、受注者が承諾していない段階(=注文請書未発行)であれば撤回可能です。ただし注文請書発行後は契約成立後となるため、一方的なキャンセルは債務不履行責任を負うリスクがあります。
- 仕様変更: 「発注変更書」を書面で交付。変更箇所・新条件・適用日を明記し、受注者の承諾を得る
- キャンセル: 「発注取消通知書」を交付。すでに発生した費用(材料費・着手済み工数)の補償有無を協議
- 取適法の対象取引: 委託事業者の都合による給付内容の不当な変更・やり直しは取適法第5条第2項第3号で禁止。受領拒否は同条第1項第1号で禁止
- 納期変更: 双方合意のうえ「納期変更覚書」を作成。納期遅延が中小受託事業者の責めに帰すべき理由によらない場合、支払期日を後ろ倒しにすることはできない(取適法第3条)
7. 法令・実務基準(取適法・電帳法・インボイス)
取適法(旧下請法)の対象取引と取引条件の明示義務
従来の「下請法(下請代金支払遅延等防止法)」は、2026年1月1日施行の改正(令和7年法律第41号)で「中小受託取引適正化法(取適法)」へ改称されました。あわせて呼称も変わり、「親事業者」→「委託事業者」/「下請事業者」→「中小受託事業者」/「下請代金」→「製造委託等代金」となっています。条番号も繰り上がっており、旧「3条書面」は現行法では第4条の明示義務です( 中小企業庁 取引適正化 )。
中小企業庁 令和7年度中小受託取引適正化法テキスト の対象となる取引(製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託・特定運送委託)では、委託事業者は発注後直ちに、取引条件を書面または電磁的方法で明示する義務を負います(取適法第4条)。
- 明示すべき事項: 当事者の識別情報/委託日・給付の内容・受領期日・受領場所/検査完了期日/代金額・支払期日/一定の金融方式を用いる場合の事項/電子記録債権を用いる場合の事項/原材料等を購入させる場合の事項/未定事項がある場合の理由と確定予定日 — の8号( 取適法第4条の明示に関する規則 第1条第1項(令和7年公正取引委員会規則第8号) )。記載漏れは取適法違反となり、公正取引委員会・中小企業庁から勧告・公表の対象となります
- 明示のタイミングと方法: 発注後「直ちに」。書面でも電磁的方法(メール等)でもよく、電磁的方法で明示した場合に中小受託事業者から書面交付を求められたときは遅滞なく交付します(取適法第4条第2項)
- 支払期日: 給付の受領日から起算して60日以内、かつできる限り短い期間内に定める義務(取適法第3条)。検査の有無は問いません
- 禁止行為: 受領拒否・支払遅延・不当な減額・返品・買いたたき・購入強制・報復措置(第5条第1項の7類型)+ 原材料等対価の早期相殺・不当な経済上の利益の提供要請・不当なやり直し・協議に応じない一方的な代金決定(第5条第2項の4類型)の計11類型
- 2026年改正で加わった点: 適用基準に従業員数基準を追加(製造委託等は常時使用する従業員300人超→300人以下、情報成果物作成・役務提供委託は100人超→100人以下)/対象取引に特定運送委託を追加/手形払い等の禁止/協議を適切に行わない一方的な代金決定の禁止
- 資本金基準: 製造委託等は「資本金3億円超 → 3億円以下・個人」「資本金1,000万円超3億円以下 → 1,000万円以下・個人」、情報成果物作成委託・役務提供委託(政令指定分を除く)は「資本金5,000万円超 → 5,000万円以下・個人」「1,000万円超5,000万円以下 → 1,000万円以下・個人」(取適法第2条第8項)
- 遅延利息: 支払期日までに支払わなかった場合、受領日から60日を経過した日から年14.6%(取適法第6条・令和7年公正取引委員会規則第9号)
電子発注書(PDF送付)の法的有効性と電帳法
結論として、電子発注書(PDF・電子データ送付)は紙の発注書と同等の法的効力を持ちます。e-文書法により電子データでの合意は有効で、民法上も書面要件は不要です(売買契約は諾成契約)。
- 電子帳簿保存法対応: 2024年1月以降、電子取引で授受した発注書は 電子帳簿保存法 により電子データのまま保存が原則義務
- 保存要件: ①真実性確保(タイムスタンプ・訂正削除履歴・改ざん防止規程のいずれか)②検索性確保(取引日・取引先・金額で検索可能)
- 電子署名: 電子契約サービス(クラウドサイン・GMOサイン等)を利用すれば長期署名(PAdES)で改ざん防止が容易
- 印紙税: 電子データのみで完結する場合は課税文書扱いされないため印紙税が不要(注文請書も同様)
インボイス制度下での発注実務上の注意点
- 発注先が免税事業者かどうか確認する:免税事業者からの仕入れは仕入税額控除が制限されます(経過措置: 2026年9月まで80%、2026年10月〜2028年9月70%、2028年10月〜2030年9月50%、2030年10月〜2031年9月30%、2031年10月以降0%。令和8年度税制改正後)
- 適格請求書発行事業者番号欄を設ける:本テンプレートに任意記入欄(T+13桁)を設けています
- 電子帳簿保存法対応:電子データで受け取った発注書は電子データのまま保存が義務(2024年1月〜)
請求書の受け取り・仕訳を自動化したい方へ
マネーフォワード クラウド確定申告は、銀行・クレジットカードなど2,300以上のサービスと連携して明細を自動取得し、仕訳・帳簿づけまで自動化できます。紙のレシート・領収書はスキャナ保存、受け取った請求書などの電子取引データは電子帳簿保存にそのまま対応します。1ヶ月の無料トライアルはクレジットカードの登録なしで試せます(月々900円〜/パーソナルミニプラン・年払い一括10,800円/年・税抜)。
8. 関連テンプレート
発注書に印鑑は必要ですか?
電子発注書は法的に有効ですか?
発注書と請求書の違いは何ですか?
発注書を出さずに口頭発注しても大丈夫ですか?
インボイス制度で発注書の書き方は変わりますか?
発注書 vs 注文書 vs 注文請書 の違いは?
発注後に内容変更やキャンセルは可能ですか?
発注書の保存期間はどれくらい?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。