労働・HR

IT エンジニア雇用契約書

ITエンジニア向け雇用契約書テンプレートを無料DL。著作権譲渡・職務発明規程(特許法35条)・秘密保持・OSS利用ポリシー・競業避止・副業・裁量労働制・ストックオプション条項に完全対応。正社員/契約社員・2024年改正準拠。

最終更新: 2026年5月12日 Word 会員登録不要・無料
2026年5月11日 時点の情報
著作権法15条(職務著作)e-Gov法令検索
全て無料・会員登録不要・即ダウンロード

テンプレート(空欄・編集可能)

IT業界向け雇用契約書テンプレートのプレビュー
著作権譲渡・職務発明・裁量労働制・OSS利用 等IT特有条項を完全収録

IT業界における雇用契約書の5特殊条項

ITエンジニアの雇用契約書は、一般的な雇用契約書と比較して5つの業界固有条項が必須です。これらが欠落すると、著作権紛争・職務発明訴訟・偽装請負摘発・競業避止の無効判断など、会社・労働者双方に深刻なリスクをもたらします。本テンプレートはすべての条項を網羅した上で、2024年4月施行の裁量労働制改正にも対応しています。

条項 根拠法令 リスク(欠落時)
著作権譲渡・職務発明規程 著作権法15条・特許法35条 コード・発明の帰属が曖昧になり訴訟リスク
秘密保持・OSS利用ポリシー 不正競争防止法2条6項 GPLコード混入・営業秘密漏洩で刑事責任
競業避止義務(代償措置付き) 民法90条・憲法22条 代償なし・期間過長で条項が無効になる
副業・OSS貢献ポリシー 厚労省副業ガイドライン2022 無断副業・競合OSS活動でトラブル多発
リモートワーク・裁量労働制 労基法38条の3(2024年改正) 本人同意未取得で裁量労働制が無効化

著作権譲渡・職務発明規程

業務で作成したコード・設計書・データモデルは、 著作権法15条(職務著作) の要件を満たせば著作権が最初から会社に帰属します。ただし「業務時間外・個人PCで作成したが業務と関連するコード」のような境界ケースでは帰属が争われます。

職務発明については 特許法35条 に基づき、あらかじめ「会社への特許権帰属」を定める場合は雇用契約書または就業規則への明示が必要です。2015年改正以降は「相当の利益」の算定基準も契約・規程で定めないと、社員から訴訟リスクが発生します(青色LED訴訟等の教訓)。

  • 業務著作物(コード・設計書・ドキュメント)→ 会社帰属を明示
  • 職務発明 → 会社承継 + 相当の利益(ライセンス収入の◯%等)の算定基準を記載
  • 業務外の個人著作物 → 個人帰属(業務利用時はライセンス許諾or譲渡の手続きを明記)
  • 入社前成果物(ポートフォリオ等)→ 帰属変更なし・返却ポリシーを明記

秘密保持・OSS利用

エンジニアが扱う技術情報(ソースコード・アーキテクチャ設計・顧客データ・インフラ構成)は 不正競争防止法2条6項 の営業秘密に該当します。保護には①秘密管理性(アクセス制御・表示)、②有用性、③非公知性の3要件が必要です。

OSS利用については、GPL系ライセンス(GPLv2・GPLv3・AGPL等)のコピーレフト条項が社内プロプライエタリコードに伝播するリスクを防ぐため、利用承認フローとライセンスホワイトリスト(MIT・Apache 2.0・BSD等の許容ライセンス)を雇用契約書の別紙OSSポリシーとして添付します。GitHub・npm・PyPIで取得したパッケージのライセンス確認義務も明記します。

競業避止義務

有効な競業避止条項の4要件(最高裁・地裁判例から確立):

  1. 保護すべき正当な利益: 技術ノウハウ・顧客情報・採用情報等の具体的利益を明示
  2. 労働者の地位: 管理職・コアエンジニアに限定(全社員一律は過広)
  3. 地域・期間・職種の限定: 期間1〜2年以内・競合企業数社程度・技術領域は限定しない
  4. 代償措置: 退職金上乗せ・在職中の特別手当・専任手当等を明記

代償措置がない競業避止条項は無効リスクが極めて高く(東京地判H24.1.13 リーディング事件等)、エンジニアへの損害賠償請求が認容されないケースがほとんどです。

副業・OSS貢献

厚労省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(2022年改定)に基づき、副業原則禁止から届出制(事前承認または事後報告)に移行する企業が増えています。IT業界のエンジニアはOSS貢献・技術ブログ・登壇・個人開発が日常的であり、これらを明確に許容・管理するポリシーが採用競争力にも直結します。

  • OSS貢献(無報酬)→ 届出推奨・競合OSS(競合プロダクトのコア部分)は事前承認要
  • 技術ブログ・登壇 → 原則許可・機密情報掲載禁止・事前確認フロー
  • フリーランス受注 → 競合他社案件は届出必須・労働時間通算(労基法38条1項)の管理
  • GitHub Sponsors・バウンティ → 報酬あり副業として届出対象

リモートワーク・裁量労働

2024年4月施行の労基法改正により、専門業務型裁量労働制の適用には本人の書面同意同意撤回手続きの明示が義務化されました(労基法38条の3第3項)。情報処理システムの分析・設計業務は裁量労働制19業務に該当しますが、以下の追加要件をすべて充足する必要があります。

  • 労使協定の締結(対象業務・みなし労働時間・健康・福祉確保措置・苦情処理措置)
  • 本人の書面同意(入社時 + 年度更新ごと)
  • 不同意の場合も不利益取扱いしない旨の明示
  • 同意撤回の申出先・撤回後の労働時間制度(通常勤務への復帰方法)の明記
  • 労基署への届出(改正後様式使用)

リモートワーク中の費用負担(通信費・光熱費)・労働時間管理方法(PC打刻・Slack報告等)・中抜け時間の取扱いも雇用契約書に明記します。

IT雇用契約書の必須記載10項目

一般雇用契約書の必須事項(労基法施行規則5条)に加え、IT業界固有の10項目が追加で必要です。

  1. 著作権帰属(職務著作の明示): 業務上作成したソフトウェア・ドキュメント・データベースの著作権は会社に帰属する旨(著作権法15条)
  2. 職務発明・相当の利益: 業務上の発明の特許権は会社に帰属し、相当の利益の算定方法を別紙規程で定める旨(特許法35条)
  3. 秘密保持対象の範囲: ソースコード・設計書・APIキー・インフラ構成・顧客データを営業秘密として指定(不正競争防止法2条6項)
  4. OSSライセンス遵守義務: 業務でのOSS利用前に承認フロー実施・GPL系の事前承認必須・ライセンス違反時の帰責を明示
  5. 競業避止条項(代償措置付き): 退職後○年間・特定競合企業○社への転職禁止・代償として退職金上乗せ○ヶ月分を明示
  6. 裁量労働制の本人同意: みなし労働時間・対象業務・同意撤回手続きを明示(2024年改正対応)
  7. 副業・OSS活動の届出制度: 届出先・承認基準・競合他社案件の禁止範囲を明示
  8. リモートワーク条件: 就業場所(在宅可)・通信費負担・機材貸与の有無・セキュリティ要件
  9. ストックオプション条項: 別紙SO契約を参照する旨・取締役会決議を条件とする付与の旨を明示
  10. 退職時引継ぎ・アクセス権限返却: GitHub Organization・AWS IAM・Slack等のアカウント削除義務と期限(退職日から○営業日以内)

SES契約との違い(雇用契約 vs 業務委託)

SES(システムエンジニアリングサービス)契約は準委任契約(民法656条)であり、雇用契約とは法的性質が根本的に異なります。

項目 雇用契約(正社員/契約社員) SES契約(業務委託・準委任)
指揮命令 会社(雇用主)が指揮命令 委託元(自社)が指揮命令(クライアントは不可)
労働法の適用 労基法・労契法・健保・厚年全適用 適用なし(事業主として活動)
報酬 月給・時給(賃金) 業務委託料(請求書払い)
残業代 労基法に基づき支払義務 発生しない(成果/時間で別途合意)
社会保険 健保・厚年・雇保に加入義務 国保・国民年金を自己負担
著作権 職務著作で会社帰属(著作権法15条) 契約に明示なければ委託者(個人/法人)帰属
偽装請負リスク なし クライアントが直接指示→偽装請負(労働者派遣法違反)

SES契約でクライアントが直接作業指示・勤怠管理を行う「偽装請負」は、受託側・発注側双方に行政指導・是正命令・刑事罰(労働者派遣法59条:1年以下の懲役または100万円以下の罰金)のリスクがあります。GitHub上の権限管理・Slackチャンネル・スプリント計画の主体者が誰かも判断材料になります。

ストックオプション付与条件

スタートアップ・上場準備企業では、ストックオプション(SO)が採用競争力の核心です。雇用契約書本文は概要のみ記載し、詳細は別紙SO契約書で定めます。

雇用契約書本文への記載例

「会社は、取締役会決議および所定の手続きを条件として、甲に対してストックオプションを付与することがある。付与条件・数量・権利行使価格・ベスティング条件は別紙ストックオプション契約書による。」

別紙SO契約書の必須事項

  • 付与株数・権利行使価格: 発行時の時価基準(税制適格要件)
  • ベスティング: 4年・1年クリフが国内スタートアップの最頻値
  • 権利行使期間: 税制適格SOは発行日から2〜10年以内(租税特別措置法29条の2)
  • 退職時の取扱い: Good Leaver(ベスト済分の行使権を保持)vs Bad Leaver(懲戒解雇等でSO消滅)
  • 税制適格要件: 年間行使額1,200万円以下(現行)・発行価額≦時価・譲渡制限の3要件
  • IPO前後の行使制限: 主幹事証券・取引所の要請によるロックアップ期間
項目 税制適格SO(措法29条の2) 非適格SO
課税タイミング 行使時は非課税→売却時に譲渡所得課税 行使時に給与所得課税(最大55%)
税率 売却益に20.315%(分離課税) 給与所得として累進課税(最大55%)
年間行使上限 1,200万円(改正議論あり→2,400万円) なし
要件 発行価額≦時価・譲渡制限・行使期間2〜10年 特になし

退職時のソースコード・データ取扱

ITエンジニアの退職時に最も多いトラブルが、ソースコード・設計書・顧客データの持ち出しと、アクセス権限の残置です。雇用契約書に明記することで、退職時のトラブルを予防できます。

禁止行為(雇用契約書への明記事項)

  • 退職前後を問わず、業務で作成・アクセスしたコード・データの社外への持ち出し禁止
  • 個人GitHubへのfork・clone・push禁止(業務リポジトリの内容)
  • 退職後の会社システム(AWS・Cloudflare・GitHub Organization等)への無断アクセス禁止
  • 顧客情報・ユーザーデータのローカル保存・外部送信禁止

引継ぎ義務チェックリスト(契約書添付を推奨)

  • GitHubのOrganizationオーナーシップ・リポジトリ権限の後任への移転
  • AWS IAMユーザー・ロール・アクセスキーの削除
  • Cloudflare・Vercel・Netlify等のアカウント権限の移転
  • Slack・Notion・Confluenceのアクティブセッション削除
  • SSH公開鍵の削除(サーバー・GitHub・各種SaaS)
  • APIキー・OAuthトークンの失効処理
  • ランブック・Architecture Decision Record(ADR)の最終更新

退職日から○営業日以内に上記を完了する義務と、完了報告書の提出義務を雇用契約書の退職条項に盛り込むことが推奨されます。引継ぎ未完了を理由とした退職金の一方的な減額は労基法24条(賃金全額払い)違反となるため不可です。

業界特化条項のNG/OK比較

IT業界の雇用契約書で実際に使われるが、法的リスクがある記載(NG)と適切な代替表現(OK)を比較します。

条項 NG記載例 OK記載例 理由
著作権帰属 「作成した全ての成果物の著作権は永久に会社に帰属する」 「業務上作成した著作物の著作権は著作権法15条に基づき会社に帰属する。業務外作成物は個人帰属とし、業務利用時は書面で合意する」 「全ての」は業務外・入社前成果物まで含むと主張されやすく過広
競業避止 「退職後3年間、IT業界での就業を禁止する」 「退職後1年間、別紙に定める競合3社へのエンジニアとしての転職を禁止する。代償として退職金に基本給3ヶ月分を上乗せする」 期間過長・範囲過広・代償なしで無効リスク大(東京地判H24.1.13等)
損害賠償 「情報漏洩が発生した場合、当該社員は全ての損害を賠償する」 「故意または重大な過失による情報漏洩については、会社の実損害の範囲内で賠償義務を負う」 損害賠償の予定・事前確定は労基法16条違反。故意・重過失に限定し実損額に限定する表現が必要
裁量労働 「本人の同意なく裁量労働制を適用する」 「専門業務型裁量労働制(みなし8時間)を適用する。本人の書面同意を取得し、同意撤回は○○部門へ申し出ることができる(2024年改正対応)」 2024年4月から本人同意義務化。同意なし適用は制度全体が無効化
副業禁止 「副業・兼業を一切禁止する」 「副業・兼業は事前届出制とし、競業他社案件・機密情報流出リスクのある案件は不承認とする場合がある」 厚労省ガイドライン2022改定で副業促進が基本方針。一律禁止は合理性を欠く
退職引継ぎ 「引継ぎが完了するまで退職を認めない」 「退職日の○週間前に申出・退職日までに引継ぎを実施する義務を負う。不履行の場合は実損害の範囲内で賠償義務が生じる場合がある」 退職を妨げる条項は民法627条・公序良俗(民法90条)に反する

よくある質問

IT雇用契約書で最も重要な条項はどれですか?
著作権譲渡と職務発明(特許法35条)の規程が最も重要です。エンジニアが業務で作成したコード・設計書は職務著作(著作権法15条)として原則会社に帰属しますが、明示規定がないと帰属が曖昧になります。特許法35条の「相当の利益」規程も2015年改正以降は就業規則または雇用契約書への記載が義務化されています。次いで重要なのが裁量労働制の適用要件(本人同意書・2024年4月義務化)と競業避止条項の代償措置の有無です。
著作権譲渡と職務著作の違いは何ですか?
職務著作(著作権法15条)は、法定の要件を満たせば著作権が最初から会社に帰属する制度です。要件は①法人等の発意による、②法人等の業務に従事する者が作成、③職務上作成するもの、④法人等の名義で公表、⑤契約・就業規則等に別段の定めなし、の5点です。一方、著作権譲渡は個人著作として発生した権利を会社へ移転する手続きです。業務外・プライベートで作成したコードは個人著作のため、会社に使用させる場合は別途ライセンス許諾または著作権譲渡契約が必要です。雇用契約書では「職務著作の認定・職務外著作の会社利用手続き・退職後の権利帰属」を明記することが重要です。
職務発明規程を就業規則と雇用契約書どちらに書けばよいですか?
特許法35条3項は「予め会社への承継を定める場合は、契約・勤務規則その他の定め」に基づく必要があります。就業規則・雇用契約書・別紙発明規程のいずれでも可ですが、実務では「雇用契約書で包括的に会社帰属を定め、職務発明規程(別途)で相当の利益の算定基準を詳細規定」する2段構成が一般的です。相当の利益の計算方法(ライセンス収入の◯%等)を定めず、後から社員に訴訟を起こされた事例(青色LED訴訟等)が多数あるため、採用時に明示することが重要です。
SES契約と雇用契約の偽装請負はどう見分けますか?
指揮命令の主体が判断の核心です。以下のいずれかに該当すれば偽装請負(労働者派遣法違反)のリスクがあります。①派遣先(クライアント)の社員が作業の指示・管理を直接行う、②労働時間・休憩時間を派遣先が管理する、③就業規則・服務規律が派遣先のものを適用される、④業務ツール(GitHub権限・Slackチャンネル等)を派遣先がすべて管理する。正規のSES(準委任契約)なら、作業指示は自社の上位SE・PMが行い、クライアントは成果物の確認のみ行います。偽装請負は発注側・受注側双方に行政指導・是正命令が科される重大リスクです(労働者派遣法4条・59条)。
裁量労働制を適用するための2024年改正の要件は?
2024年4月施行の改正労基法により、専門業務型裁量労働制の導入・継続には本人同意と同意撤回手続きの新設が義務化されました。具体的には①本人の書面による同意(入社時・年度更新時)、②同意しない場合も不利益取扱いしない旨の明示、③同意撤回の申出先・手続きの明示、④撤回後の取扱い(通常勤務への変更等)の4点が必要です(労基法38条の3第3項以下)。既存の労使協定のみで運用していた場合は個別の本人同意を追加取得する必要があります。労基署への届出様式も2024年4月版に更新が必要です。
OSS(GPL・MIT等)を業務で使う場合の雇用契約書上の注意は?
GPLv2・GPLv3等のコピーレフトライセンスは、派生物にも同ライセンスを適用する義務(コピーレフト条項)があります。社内のプロプライエタリコードにGPLライブラリをリンクした場合、社内コード全体をGPLで公開しなければならないリスクがあります。雇用契約書または別紙OSSポリシーで以下を定めることが重要です。①業務利用前の承認フロー(ライセンス種別確認)、②コピーレフト系(GPL/AGPL)の使用禁止または社内審査必須の明示、③外部OSSへの貢献時の会社コード混入防止義務、④ライセンス違反発生時の帰責(会社 vs 個人)の明確化。AWSやCloudflareのマネージドサービス経由での利用は一般的にOSSライセンス問題が生じません。
競業避止義務で「特定の技術スタック」への制限は有効ですか?
特定の技術スタック(例: Rustバックエンド開発業務)への従事制限は、職業選択の自由(憲法22条)への侵害として無効となるリスクが高いです。判例上、有効な競業避止の制限範囲は「企業名・業種」であり、使用する言語・フレームワーク・技術領域で制限するのは過度として無効と判断されやすいです(東京地判H24.1.13 リーディング事件参照)。有効な競業避止の書き方の例:「退職後1年間、特定の競合3社(別紙リスト)へのエンジニアとしての転職を禁止。違反した場合は代償として支払った退職金上乗せ分(月額基本給×3ヶ月分)の返還を求める」が実務上の目安です。
リモートワーク勤務中の通信費・光熱費はどう扱いますか?
在宅勤務の費用負担は労使間の合意事項で、法的義務はありませんが、費用を労働者に全額負担させると賃金控除(労基法24条)に問題が生じる場合があります。厚労省「テレワーク実施時の費用負担・情報通信機器等の取扱いについて」(2021年3月)では実費精算・定額補助(月額1,000〜3,000円が最多)・手当支給の3パターンが示されています。雇用契約書には①通信費(実費精算 or 月額○○円)、②光熱費(対象外 or 月額○○円)、③会社貸与PC/BYODの別、④消耗品(マウス・椅子等)の負担者を明記します。定額補助を固定残業代と誤解される表記は避けてください。
退職時にGitHub・AWSのアカウントはどう引き渡しますか?
雇用契約書または就業規則の退職条項に「アクセス権限の返却・抹消義務」を明記することが重要です。実務上のチェックリスト:①GitHubのOrganizationメンバーからの除外(Owner権限で実施)、②AWSのIAMユーザー・ロールの削除またはリセット、③Slackアカウントの無効化、④社内GitLab・Confluenceの権限剥奪、⑤SSH公開鍵の削除、⑥VPN証明書の失効処理。これらを退職日から○営業日以内に完了する旨と、退職者の協力義務(個人アカウントのキーペア削除等)を雇用契約書に盛り込んでください。退職後にアクセスが残ると、不正アクセス禁止法2条・不正競争防止法違反の問題が双方に発生します。
ストックオプションがある場合、雇用契約書にどこまで書きますか?
雇用契約書本文には「別紙ストックオプション契約に定める条件による付与の対象とする(付与は取締役会決議を条件とする)」程度の記載に留めるのが実務上の標準です。詳細は別紙SO契約書で定めます。重要な記載事項:①付与株数(または上限株数)、②権利行使価格(発行価額)、③ベスティングスケジュール(例: 4年・1年クリフ)、④権利行使期間(2〜10年)、⑤Good Leaver条項(自己都合退職でも按分ベスト)とBad Leaver条項(懲戒解雇でSO消滅)、⑥税制適格SO要件(租税特別措置法29条の2)の充足確認。2024年改正案では税制適格SOの年間上限が2,400万円に拡大される議論があります。現行は年間1,200万円上限に注意してください。
副業でOSS活動やフリーランス受注をする場合の届出は?
副業許可制(事前届出・事後報告)を採用する企業が2022年以降急増しており、雇用契約書に届出義務を明記するのが標準です(厚労省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」2022改定)。OSSコントリビューションは無報酬であれば一般的に副業(労働)には該当しませんが、以下は別途届出・承認を必要とする設計が望ましいです。①OSS活動で報酬(Sponsorsからの寄付・バウンティ等)を受ける場合、②業務と同一・近接の技術領域でのフリーランス受注、③競合他社のOSS(例: 競合プロダクトのエコシステム)への貢献。副業による過重労働(合算週60時間超)は使用者側の健康配慮義務(労契法5条)の観点からも管理が必要です。
入社前課題(コードテスト)の著作権は誰のものですか?
採用選考中(雇用契約締結前)に提出したコードは、労働者ではないため職務著作は成立せず、原則として応募者(個人)に著作権があります(著作権法17条)。会社が入社前課題のコードを業務に転用・流用する行為は著作権侵害となります。雇用契約書には「採用選考過程で提出した成果物の取扱い(返却・削除・転用禁止)」を明記し、入社後に同テーマで業務として再開発する場合は別途書面で合意することが重要です。採用選考時点でのNDA・成果物帰属合意書を別途締結する企業も増えています。

参考文献・出典

本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。