
- 内定通知書をWord・PDFで無料ダウンロードできる(内定承諾書・書き方ガイド付き)
- 内定の時点で労働契約が成立するという判例上の考え方(大日本印刷事件・最高裁昭和54年7月20日)
- 内定通知書と労働条件通知書の違い、それぞれの法的な位置づけ
- 内定取消しがどのような場合に問題となるか(解雇権濫用法理に準じた考え方)
内定通知書とは:内定の法的性質
内定通知書は、企業が採用選考の結果、応募者に対して採用内定を通知する書面です。単なる「お知らせ」ではなく、法的には重要な意味を持ちます。 労働契約法第6条 は「労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する」と定めています。
最高裁判決 昭和54年7月20日(大日本印刷事件)が示した考え方によれば、企業からの内定通知と、これに対する内定者の承諾(内定承諾書の提出等)が揃った時点で、「始期付解約権留保付労働契約」、すなわち入社日を始期とし、一定の事由が生じた場合に会社が解約(内定取消し)できる権利を留保した労働契約が、既に成立していると解されます。企業側は「まだ正式な雇用契約ではない」という感覚で内定通知書を扱いがちですが、法的には労働契約の一種として扱われる可能性が高い点に注意が必要です。
内定通知書と労働条件通知書の違い
| 比較項目 | 内定通知書 | 労働条件通知書 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 採用内定の事実と主要条件の概要を伝える | 賃金・労働時間・休日等の詳細な労働条件を明示する |
| 法的な交付義務 | 法令上の交付義務はない(任意の実務慣行) | 労働基準法第15条・職業安定法第5条の3により交付義務あり |
| 交付のタイミング | 採用選考通過時(内定時) | 入社日まで(労働契約締結時) |
| 記載内容の詳細度 | 概要(部署・入社予定日・想定給与等) | 詳細(賃金の内訳・所定労働時間・休日・退職に関する事項等を網羅) |
内定通知書だけで労働条件明示義務を果たしたことにはなりません。入社日までに、別途労働条件通知書を書面等で交付する必要があります。
内定通知書に記載すべき項目
| 項目 | 記載のポイント |
|---|---|
| 配属予定部署・職種 | 採用選考時に伝えていた部署・職種と齟齬がないか確認 |
| 雇用形態 | 正社員・契約社員等の区分 |
| 入社予定日 | 始期付労働契約の「始期」にあたる重要事項 |
| 就業場所 | 本社・支社・在宅勤務の可否等 |
| 想定給与 | 詳細は別途「労働条件通知書」で明示する旨を明記 |
| 内定承諾書の提出期限 | 内定者が承諾の意思表示をする期限を明確に設定 |
| 本内定の留保事項 | 卒業(見込)の確認・健康診断結果・提出書類の確認等、内定取消しの判断基準になりうる事項 |
内定通知書の書き方・送付方法
本テンプレートは、内定通知書本文・内定承諾書(切り取り式)・書き方ガイドの3部構成を1つのWordファイルに収録しています。書き方の基本的な流れは次のとおりです。
- 内定通知書の「記」欄に、配属予定部署・入社予定日・想定給与等の主要条件を記入する
- 内定承諾書とあわせて内定者に送付する(メール添付・郵送・内定式での手渡し)
- 内定者から署名済みの内定承諾書を回収する(返信用封筒の同封が丁寧)
- 入社日までに、別途「労働条件通知書」を交付する
送付方法別の注意点
| 送付方法 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|
| メール送付 | 迅速・記録が残りやすい | 開封確認・返信依頼を添える。添付ファイルはPDF化推奨 |
| 郵送 | 正式感がある・書面での証拠が残る | 内定承諾書の返送用封筒(切手貼付済み)を同封する |
| 内定式での手渡し | 新卒一括採用でまとめて対応できる | その場または後日、内定承諾書を確実に回収する |
内定取消しはできるのか
内定取消しは、法的には内定という労働契約に留保された解約権の行使にあたります。 労働契約法第16条 は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めており、判例上、内定取消しについてもこの解雇権濫用法理に準じた厳格な基準で判断される考え方が一般的です。
そのため、単に「他に良い人材が見つかった」「業績が悪化しそうだから」といった理由だけで一方的に内定を取り消すことは、無効と判断されるリスクがあります。内定通知書に、あらかじめ「卒業できなかった場合」「健康診断結果に重大な問題があった場合」「提出書類に虚偽があった場合」等の留保事項を具体的に明記しておくことが、内定取消しの正当性を裏付けるうえで重要になります。
内定辞退への対応
内定者側からの内定辞退(労働契約の解約の申し出)は、民法上は原則として自由に行うことができます。会社側が内定辞退に対して損害賠償を請求することは、入社直前の突然の辞退で明らかな損害が発生した等のよほど悪質なケースを除き、実務上は困難とされています。
内定辞退を防ぐには、法的な強制よりも、内定者懇親会・面談・社内報の共有等、内定者フォローによって入社意欲を維持する対応が現実的です。あわせて推薦状テンプレートなど、内定者との信頼関係づくりに役立つ書類も参考にしてください。
Word版とPDF版の使い分け
| 形式 | おすすめの用途 |
|---|---|
| Word(.docx) | 会社名・氏名・条件を編集して使いたい場合。人事担当者が個別に条件を入力するのに便利 |
| PDF(印刷用) | 手書きで記入して郵送する場合・レイアウトを固定したい場合 |
| PDF(記入例) | 書き方・文言の参考として閲覧する場合。実際の提出には使用しない |
関連テンプレート
- 労働条件通知書テンプレート(労基法15条準拠・入社日までに交付する書類)
- 雇用契約書テンプレート
- 推薦状テンプレート(内定者・採用選考での活用)
内定通知書と労働条件通知書はどちらを先に交付すればよい?
内定通知書を送っただけで労働契約は成立する?
内定を取り消すことはできる?
内定者から内定辞退の連絡があった場合、損害賠償を請求できる?
内定通知書はメールだけで送っても法的に問題ない?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-09-02 確認時点)。