不動産

重要事項説明書と契約書の違い

重要事項説明書(35条書面)と契約書(37条書面)の違いを宅建業法準拠で完全比較。交付タイミング・必須記載事項13項目・IT重説要件・違反時の罰則・宅建士の責任を一覧表で図解。買主借主の権利と宅建試験頻出論点も網羅。

最終更新: 2026年5月7日 ExcelWord 会員登録不要・無料
2026年5月11日 時点の情報
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重要事項説明書と契約書の違い(Excel / Word・会員登録不要・無料DL)
このページでわかること
  • 重要事項説明書(35条書面)と契約書(37条書面)の法的な定義・違いがわかる
  • 交付タイミング・必須記載事項13項目・違反時の罰則を一覧表で比較できる
  • IT重説の要件・宅建試験頻出論点・買主/借主が知っておくべき権利がわかる

重要事項説明書(35条書面)とは

重要事項説明書は、 宅地建物取引業法第35条 に基づき、宅建業者が不動産取引の相手方に対して交付・説明しなければならない書面です。「35条書面」とも呼ばれます。

項目内容
根拠法令宅地建物取引業法 第35条
説明者宅地建物取引士(宅建士)が対面または映像通信で説明する義務あり
交付タイミング契約締結の前(署名・捺印より前)
目的買主・借主が物件の重要事項を理解したうえで契約できるようにする
対象者物件を取得または借りる側(買主・借主)に対して交付

宅建士は説明時に宅建士証を提示する義務があります。説明義務に違反した場合は、業務停止処分または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

契約書(37条書面)とは

37条書面は、 宅地建物取引業法第37条 に基づき、契約締結後に宅建業者が各当事者に交付しなければならない書面です。いわゆる「重要事項説明書とセットで使う契約書」として位置づけられます。

項目内容
根拠法令宅地建物取引業法 第37条
作成者宅建業者(宅建士の記名が必要・ただし2022年改正により押印不要)
交付タイミング契約締結後、遅滞なく
目的契約内容を書面で確認・記録する
交付先売主・買主(または貸主・借主)の双方に交付

重要事項説明書(35条書面)と契約書(37条書面)の違い

以下は、本ページの最重要セクションです。35条書面と37条書面は名前こそ似ていますが、目的・タイミング・効力が根本的に異なります。誤解すると契約トラブルに直結するため、必ず押さえてください。

一覧比較表で違いを一気に把握

比較項目35条書面(重要事項説明書)37条書面(契約書)
交付時期契約締結の契約締結の、遅滞なく
交付先買主・借主のみ(取得・賃借する側)売主・買主(または貸主・借主)双方
宅建士の関与説明義務あり・宅建士証の提示必須記名のみ(説明義務なし)
押印要件(2022年改正後)宅建士の記名は必要・押印不要宅建士の記名は必要・押印不要
電子化(IT重説)2022年5月より全面解禁2022年5月より電子書面交付が可能
記載事項物件・法令制限・設備・取引条件等13項目(詳細は下記)当事者・物件・代金・引渡日・移転登記等
違反時の処罰業務停止・免許取消・50万円以下の罰金業務停止・50万円以下の罰金
主たる目的判断材料の提供(情報の非対称性の解消)合意内容の固定化(証拠化)

重要事項説明書の交付タイミング(契約前に説明必須)

35条書面は、必ず売買契約書または賃貸借契約書への署名・捺印より前に交付・説明されなければなりません。順序を誤ると違反となります。

  • 正しい流れ: ①重要事項説明書の交付 → ②宅建士による対面(またはIT)説明 → ③相手方の理解確認 → ④契約書への署名・捺印
  • 違法な流れ: 契約書に署名した「後」で重要事項説明書を渡す(実質説明なし)
  • 事前送付の慣行: 当日初見では理解困難なため、契約3日〜1週間前のPDF/郵送送付を必ず依頼すべき
  • 当日の所要時間: 売買は最低60〜90分、賃貸は30〜45分が目安。極端に短い場合は「説明不十分」を疑う

国土交通省の 重要事項説明書ガイドライン でも「説明は契約の判断に十分な時間的余裕をもって行うこと」と明記されています。

宅地建物取引士の役割と責任

重要事項説明は宅建士の独占業務です。宅建士でない者が説明することは法律で禁じられています。

宅建士に課される義務内容
記名義務35条書面・37条書面の双方に宅建士が記名する必要あり(押印は2022年改正で不要)
口頭説明義務35条書面は対面またはIT重説で口頭説明する義務(書面交付だけでは違反)
宅建士証の提示義務説明開始時に宅建士証を提示。提示しないと10万円以下の過料
真実告知義務故意に事実を告げない・虚偽を告げる行為は禁止(宅建業法47条)
調査義務登記簿・法令制限・物件状態等を自ら調査して説明する義務

宅建士が説明義務を怠った場合、宅建業者の処分(免許取消・業務停止)に加え、宅建士本人にも事務禁止処分・登録消除処分が下される可能性があります。

IT重説(オンライン重要事項説明)の要件

IT重説は、テレビ電話・Web会議システム等を使ってオンラインで重要事項説明を行う制度です。コロナ禍を機に普及しました。

要件詳細
解禁時期賃貸: 2017年10月本格運用 / 売買: 2021年4月解禁 / 書面電子化: 2022年5月
相手方の同意必須。事前に承諾を得る必要あり(書面・メール記録推奨)
映像音声通信双方向で映像と音声をリアルタイムにやり取りできる環境
宅建士証の提示カメラに向かって宅建士証を提示。相手方が氏名・写真・有効期限を確認できる解像度
事前送付重要事項説明書を事前に郵送またはPDF送付し、相手方の手元にある状態で実施
記録説明内容を録画・録音することが推奨される

IT重説は遠方の物件取引・転勤族・忙しい買主に大きなメリットがある一方、通信トラブルで途中中断した場合は対面で再実施する必要があるため、安定した通信環境の確保が前提です。

重要事項説明書の必須項目13個

宅建業法35条で説明が義務付けられている重要事項は、大きく分けて13項目あります(売買・賃貸で一部異なる)。

#項目具体例
1登記記録に関する事項所有権・抵当権・差押え等の権利関係
2法令上の制限都市計画法・建築基準法・農地法・国土利用計画法等
3私道に関する負担私道の通行権・維持管理費等(売買時必須)
4飲用水・電気・ガス等の供給施設整備状況・整備予定・費用負担
5未完成物件の場合の完成時形状・構造建築確認申請内容・工事完了予定日
6区分所有建物の管理規約・修繕積立金マンションの管理組合・規約・大規模修繕計画
7代金・交換差金・賃料以外に授受される金銭手付金・敷金・礼金・更新料等
8契約の解除に関する事項手付解除・違約解除・ローン特約解除等
9損害賠償額の予定・違約金違約金の上限・予定額
10手付金等の保全措置業者売主の場合の保全方式
11支払金・預り金の保全措置の概要取引士の登録番号・保全先
12金銭の貸借(住宅ローン)の斡旋融資条件・斡旋金融機関・不成立時の措置
13瑕疵担保責任の履行措置住宅瑕疵担保責任保険・供託の状況

このほか、2020年4月以降は「水害ハザードマップ上の所在地」の説明義務が追加されました(国交省告示)。豪雨災害の頻発を受けた改正です。

重要事項説明違反時の罰則

35条書面と37条書面は、それぞれ違反時に異なる罰則が設けられています。宅建業者・宅建士本人・法人それぞれに処分が下されます。

違反の種類行政処分刑事罰
重要事項説明を行わなかった業務停止・指示処分50万円以下の罰金(法人は1億円以下)
宅建士以外が説明した業務停止・免許取消50万円以下の罰金
宅建士証を提示しなかった指示処分10万円以下の過料
37条書面を交付しなかった指示処分・業務停止50万円以下の罰金
重要事項に虚偽の記載業務停止・免許取消2年以下の懲役または300万円以下の罰金
水害ハザード説明漏れ指示処分・業務停止50万円以下の罰金

業務停止処分は最長1年間で、この間は新規契約の仲介業務ができません。免許取消後は5年間は再取得不可です。さらに買主・借主からの 民法562条(契約不適合責任) に基づく損害賠償請求の対象にもなります。

買主・借主が知っておくべきポイント

不動産取引を行う買主・借主として、重要事項説明書に関して以下の権利・注意点を知っておきましょう。

  • 署名前に熟読する権利:説明当日に初めて渡されることが多いですが、事前送付を求めることが可能です
  • 録音・メモの権利:説明中の録音は法的に禁止されていません。重要な点はメモを取りましょう
  • 確認質問の権利:わからない点はその場で必ず確認してください。「後から聞けばいい」は通じません
  • 撤回の時間的制約:署名・捺印後はクーリングオフの対象外になる場合があります(宅建業者が売主の場合はクーリングオフ適用あり)
  • 説明内容と異なる場合:引渡し後に説明内容と異なる事実が判明した場合は、都道府県の宅建業担当課に申告できます

宅建業者向け:重要事項説明の効率化

重要事項説明書の作成は、物件調査・法令確認・書類作成など多くのステップが必要です。SaaS(クラウド型業務支援ツール)を活用すると、作成時間を大幅に削減できます。

課題SaaS活用で解決できること
記載漏れ・ミス必須記載項目のチェックリスト自動生成・アラート機能
都道府県条例への対応都道府県ごとの付記事項を自動反映
IT重説の対応ビデオ通話連携・宅建士証の電子確認機能
書類の保管・共有クラウド保管・複数担当者での確認が可能
作成時間の短縮物件情報から自動生成で従来比50〜75%削減

重要事項説明書の作成を効率化する

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宅建士試験での頻出論点

35条書面と37条書面は、宅建士試験(宅地建物取引士資格試験)で毎年出題される最頻出テーマのひとつです。以下の論点は必ず押さえましょう。

頻出論点ポイント
35条書面の説明義務者宅建士が行う義務あり。宅建士でない者が説明すると違反
交付先の違い35条書面は取得者側のみ、37条書面は双方に交付
IT重説の要件相手方の承諾・映像音声通信・宅建士証の電磁的提示が必要
37条書面に記載が必要なもの代金額・引渡日・移転登記の申請時期等(35条書面とは異なる)
自己取引(業者が売主の場合)35条書面の交付義務あり・説明義務あり(対象は相手方のみ)
  • 35条書面は「説明義務あり」、37条書面は「交付義務のみ・説明義務なし」という違いが頻出
  • 「宅建士でなくても作成は可能・しかし説明は宅建士のみ」という点が試験で問われやすい
  • 電子書面化・IT重説の出題が2023年以降増加傾向にある

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関連テンプレート

重要事項説明はいつ受ける?
契約書への署名・捺印の前に必ず実施されます。宅地建物取引業法第35条により、宅建士が記名した書面(35条書面)を交付し、対面または書面確認のうえで説明することが義務付けられています。契約後に説明されても法的効力はありません。
IT重説(オンライン重説)とは?
テレビ電話等の映像・音声通信を使ってオンラインで行う重要事項説明のことです。2017年10月から賃貸取引で本格運用、2021年4月から売買取引も解禁、2022年5月の宅建業法改正で書面の電子交付も全面解禁されました。相手方が承諾した場合に利用可能で、宅建士はカメラに向かって宅建士証を提示する必要があります。
重要事項説明書のサインを断れる?
断ることは法的には可能ですが、その場合は契約に進めません。内容に疑問がある場合は、サインする前に宅建士に質問し、納得してから署名することを強くお勧めします。説明の録音や書面への追記を求めることも可能です。
37条書面に署名・押印は必要?
2022年5月の宅建業法改正により、37条書面への宅建士の押印は不要になりました。ただし貸主・借主(または売主・買主)双方の署名・押印欄は従来通り存在します。電子契約の場合は電子署名での対応が可能です。
重要事項説明書の内容が違った場合は?
説明された内容と実際の物件状況が異なる場合は、損害賠償請求・契約解除の対象となります。宅建業者には宅建業法違反として指示処分・業務停止処分・免許取消処分が下される可能性があります。都道府県の宅建業担当窓口または国土交通省に申告できます。
重要事項説明書の事前送付は請求できる?
法令上の義務ではありませんが、宅建業者に事前送付を依頼すれば多くは応じてくれます。当日に大量の専門用語を初見で理解するのは困難なため、契約3日前〜1週間前には書面(PDF・郵送)を入手し、不明点をリストアップしておくのが鉄則です。事前送付を拒む業者は要警戒です。
重要事項説明書と契約書の内容が食い違っていたらどちらが優先?
原則として後に作成された37条書面(契約書)が優先されます(民法522条 契約自由の原則・契約書面化)。ただし35条書面で説明されなかった重要事実が後から判明した場合は、宅建業者の説明義務違反として損害賠償・契約解除の根拠になります(民法562条 契約不適合責任)。署名前に必ず両書面を突き合わせてください。
個人間売買でも重要事項説明書は必要?
宅建業者を介さない個人間直接売買では、宅建業法35条の適用がないため法的義務はありません。ただし契約不適合責任(民法562条以降)は発生するため、物件の瑕疵・法令制限は売買契約書に明記すべきです。トラブル予防のため、個人間売買でも宅建士への調査依頼または重要事項説明書相当の書面作成を推奨します。

参考文献・出典

本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。