
- 特別教育の実施記録をエクセル・PDFで無料ダウンロードできる(対象業務の代表例一覧・記入例つき)
- 安衛則36条が列挙する危険・有害業務(全59項目)の分類と代表例
- 【最重要】記録の作成・保存は安衛則38条による明文の義務。3年間保存(記録ごと)
- 罰則(法119条1号)と、記録義務が明文ではない雇入れ時等の教育(別ページ)との違い
特別教育とは
労働安全衛生法第59条3項 は、事業者に対し、危険又は有害な業務で厚生労働省令で定めるものに労働者をつかせるときは、当該業務に関する安全又は衛生のための特別の教育を行うよう義務づけています。対象となる業務の具体的な内容は 労働安全衛生規則第36条 が号ごとに列挙しています。
労働安全衛生規則は2026年10月1日に改正が施行され、2027年1月1日・2027年4月1日・2028年4月1日にも改正が施行される予定です(施行日は4つ、改正省令は8本)。いずれの改正でも、本ページが根拠とする第36条・第38条の文言は変わりません(2026-10-17にe-Gov法令APIで現行版と2027年1月1日・2027年4月1日・2028年4月1日施行版を突合)。
【最重要】記録の作成・保存は明文の義務です(119条と120条の取り違えに注意)
労働安全衛生規則第38条は「事業者は、特別教育を行なつたときは、当該特別教育の受講者、科目等の記録を作成して、これを三年間保存しておかなければならない」と明文で定めています。この点は、雇入れ時・作業内容変更時の教育(安衛則35条には記録条項が無い)とは条文レベルで異なります。
- 特別教育の実施は法59条3項による明文の義務
- 特別教育の記録の作成・保存は安衛則38条による明文の義務(3年間)
- 特別教育そのものの未実施は法119条1号(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金)の対象
- 法119条・120条は安衛則38条を直接挙げていない(119条4号の省令違反は法61条4項の省令が対象)。ただし法120条1号は法103条1項(書類の保存等)の違反を挙げており(50万円以下の罰金)、記録を保存しないことがこれにあたると判断されるおそれがある(安衛則38条が103条1項を受けた規定かは条文の文言だけでは決まらない)
特別教育の未実施は労働安全衛生法第119条1号、雇入れ時等の教育の未実施は同法第120条1号と、罰則の条番号・重さがそれぞれ異なります。119条と120条を混同しないよう注意してください。
対象業務の分類(安衛則36条・全59項目)
労働安全衛生規則第36条は、対象業務を第1号から第41号まで(枝番を含む号の数は60、うち第12号は「削除」のため業務は59項目)列挙しています(2026-10-12にe-Gov法令API v2の本文で、第36条の号60個のうち第12号の本文が「削除」だけであることを確認)。代表的な分類は次のとおりです。
| 分類 | 代表例(号) |
|---|---|
| 機械・工具の交換調整 | 研削といしの取替え(一号)、動力プレスの金型交換等(二号) |
| 電気関係 | 高圧・特別高圧の充電電路の敷設・点検・修理・操作(四号) |
| 小型車両系荷役運搬機械(道路上を除く) | フォークリフト1トン未満運転(五号)、ショベルローダー等1トン未満運転(五号の二) |
| 木材伐採・集材 | チェーンソーによる立木の伐木(八号)、機械集材装置の運転(七号) |
| クレーン・玉掛け | クレーン5トン未満運転(十五号)、移動式クレーン1トン未満運転(十六号)、玉掛け(十九号) |
| 高圧室内・酸素欠乏等の有害業務 | 高圧室内作業(二十四号の二)、酸素欠乏危険場所の作業(二十六号) |
| 化学設備・放射線 | 特殊化学設備の取扱い(二十七号)、エックス線装置の取扱い(二十八号) |
| 粉じん・トンネル | 特定粉じん作業(二十九号)、ずい道等の掘削作業(三十号) |
| 産業用ロボット | 可動範囲内での教示等(三十一号)、検査等(三十二号) |
| 高所作業 | 足場の組立て・解体・変更(三十九号)、フルハーネス型墜落制止用器具を用いる作業(四十一号) |
これはあくまで代表例です。号ごとの正確な要件(対象車両の重量・電圧の範囲・場所の条件等)は、条文本文で確認してください。同梱の印刷用PDFにも代表例の一覧を「別紙」として収録しています。
記録に残す事項と教育時間数について
安衛則38条は「受講者、科目等の記録」の作成・保存を義務づけていますが、記録すべき項目を号などで具体的に列挙しているわけではありません。本テンプレートのエクセル・PDF版は、実務上一般的に必要とされる「実施年月日」「業務(該当する号)」「受講者氏名」「科目」「実施時間数」「実施者(講師)氏名」を記録できる形式にしています。
教育の具体的な科目・時間数は、安衛則36条・38条自体には定めがありません。科目・時間数は、業務の種類ごとに安全衛生特別教育規程(昭和47年労働省告示第92号)が定めています。記入例のフォークリフト(最大荷重1トン未満)の運転は、同規程第7条で、学科が走行装置に関する知識2時間・荷役装置に関する知識2時間・運転に必要な力学1時間・関係法令1時間(計6時間以上)、実技が走行の操作4時間・荷役の操作2時間(計6時間以上)とされ、合わせて12時間以上です。記入例の12時間は、この最低ラインにあたります。足場の組立て等(安衛則36条39号)は同規程第22条で学科のみ、足場及び作業の方法に関する知識3時間・工事用設備、機械、器具、作業環境等に関する知識0.5時間・労働災害の防止に関する知識1.5時間・関係法令1時間(計6時間以上)で、記入例の6時間も同じです。ほかの業務は、規程で該当する条を確認してください。規程に定めの無い業務や判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署にご確認ください。規程の全文は安全衛生特別教育規程(厚生労働省法令等データベース)で読めます。
雇入れ時・作業内容変更時の教育(別ページ)との違い【比較表】
| 比較項目 | 特別教育(本ページ) | 雇入れ時・作業内容変更時の教育 |
|---|---|---|
| 実施義務の根拠 | 安衛法59条3項 | 安衛法59条1項・2項 |
| 対象業務 | 安衛則36条が列挙する危険・有害業務(59項目) | 原則すべての業務 |
| 記録の作成・保存義務 | 安衛則38条により明文で3年間保存義務あり | 条文に明文なし(安衛則35条に記録条項がない) |
| 未実施の罰則 | 法119条1号(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金) | 法120条1号(50万円以下の罰金) |
自社の業務が特別教育の対象業務に該当せず、雇入れ時・作業内容変更時の教育のみで足りるかを確認したい場合は、雇入れ時・作業内容変更時 安全衛生教育 実施記録テンプレートもあわせてご確認ください。
様式について
労働安全衛生規則第38条は記録すべき事項(受講者・科目等)を定めているのみで、「別記様式第◯号による」といった様式の指定がありません。2026-09-07時点で当サイトが確認した範囲では、厚生労働省の安全衛生関係主要様式ダウンロードコーナー、中央労働災害防止協会・建設業労働災害防止協会・陸上貨物運送事業労働災害防止協会の各トップページ、都道府県労働局5局の様式ページ、及び関連マニュアル配布ページを確認しましたが、特別教育に特化した記録様式の配布は見当たりませんでした。本テンプレートは施行規則38条の記載事項を満たす独自レイアウトです。
記録を作成・保存しないと法律違反になりますか?
対象業務はどうやって確認すればよいですか?
保存期間の3年はいつから数えますか?
教育の時間数はどこで確認できますか?
雇入れ時・作業内容変更時の教育とはどう違いますか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-10-07 確認時点)。
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