
- 雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育 実施記録をExcel・PDFで無料ダウンロードできる(記入例つき)
- 安衛則35条1項が定める教育すべき8つの事項と、省略できる場合(同条2項)
- 【最重要】記録の作成・保存は法律上の明文の義務ではない点と、それでも記録を残すべき理由
- 罰則(法120条1号)と、明文の記録義務がある特別教育(別ページ)との違い
雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育とは
労働安全衛生法第59条1項 は、事業者に対し、労働者を雇い入れたときは、その従事する業務に関する安全又は衛生のための教育を行うよう義務づけています。同条2項は、労働者の作業内容を変更したときについてもこの規定を準用すると定めています。教育すべき事項の具体的な内容は、 労働安全衛生規則第35条1項 が1号から8号で列挙しています。
労働安全衛生規則には2026年10月1日以降も複数の改正が予定されていますが、現在公布されている改正(2026年10月1日・2027年1月1日・2027年4月1日・2028年4月1日施行)のいずれにおいても、本ページが根拠とする第35条・第38条は改正の対象ではありません(2026-09-07にe-Gov法令APIで現行版と各施行日指定版を突合して確認)。
【最重要】記録の作成・保存は明文の義務ではありません
労働安全衛生規則第35条には「記録を作成し、これを保存せよ」という条文がありません。したがって、このページの教育記録について「記録の作成・保存が法的義務」と説明すると誤りになります。正しくは次のとおりです。
- 教育の実施は法59条1項(雇入れ時)・2項(作業内容変更時)による明文の義務
- 未実施は法120条1号により50万円以下の罰金の対象
- 教育の記録の作成・保存そのものは条文上の明文義務ではない
- ただし記録は、教育を実施した事実を立証できる、実務上ほぼ唯一の手段
労働基準監督署の調査(臨検)では、教育を実施したことの証拠を求められるのが実務上一般的です。記録が無いと実施の事実を確認できず、未実施とみなされるリスクがあります。本テンプレートは、この「立証手段としての記録」という位置づけで作成しています。同じ「安全衛生教育」という言葉でも、後述する特別教育は記録の保存義務が条文で明文化されている点で本ページの教育とは性質が異なります。
教育すべき8つの事項(安衛則35条1項各号)
労働安全衛生規則第35条1項は、教育すべき事項を次の8点に列挙しています。
| 号 | 教育すべき事項 |
|---|---|
| 一号 | 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること |
| 二号 | 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること |
| 三号 | 作業手順に関すること |
| 四号 | 作業開始時の点検に関すること |
| 五号 | 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること |
| 六号 | 整理、整頓及び清潔の保持に関すること |
| 七号 | 事故時等における応急措置及び退避に関すること |
| 八号 | 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項 |
本テンプレートのExcel版は、この8つの事項のうち実際にどれを実施したかを記録できる「教育した事項(該当する号)」欄と、「一部省略の有無」欄を用意しています。
教育を省略できる場合(安衛則35条2項)
労働安全衛生規則第35条2項 は「前項各号に掲げる事項の全部又は一部に関し十分な知識及び技能を有していると認められる労働者については、当該事項についての教育を省略することができる。」と定めています。同業種からの転職者や、関連資格の保有者などが典型例として想定されますが、「十分な知識及び技能を有していると認められる」かどうかの具体的な判断基準は条文に示されていません。判断に迷う場合は所轄の労働基準監督署にご確認ください。本テンプレートの記入例(Excel・PDF)は、配置転換に伴う作業内容変更時に、前配属先での実施済み事項(5号〜8号)を省略した記入例を収録しています。
対象となる労働者・実施タイミング
労働安全衛生法第59条1項は雇用形態を限定せず「労働者を雇い入れたとき」と定めているため、正社員に限らずパート・アルバイト・契約社員を含むすべての労働者が対象です。実施タイミングは次の2つです。
| タイミング | 根拠条文 |
|---|---|
| 雇入れ時 | 法59条1項 |
| 作業内容を変更したとき | 法59条2項(1項の規定を準用) |
「作業内容を変更したとき」の具体的な範囲は条文に号などで列挙されていません。配置転換や部署異動によって従事する業務が変わり、新たな業務に伴う危険又は有害性が生じる場合が典型例と考えられます。
罰則(法120条1号)
労働安全衛生法第120条 は「次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、五十万円以下の罰金に処する。」と定め、同条1号に「第五十九条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)」の規定に違反したときと明記しています。この罰則は教育そのものを実施しなかった場合のものであり、記録の未作成自体を処罰する規定ではありません。
特別教育(別ページ)との違い【比較表】
安衛則36条が列挙する危険・有害業務に労働者を従事させる場合は、本ページの教育とは別に「特別教育」が必要です。同じ「安全衛生教育」の一種ですが、記録義務の重さが条文レベルで異なります。
| 比較項目 | 雇入れ時・作業内容変更時の教育(本ページ) | 特別教育(対象業務のみ) |
|---|---|---|
| 実施義務の根拠 | 安衛法59条1項・2項 | 安衛法59条3項 |
| 対象業務 | 原則すべての業務 | 安衛則36条が列挙する危険・有害業務(60項目・第12号は削除により欠番。2026-09-07 e-Gov法令API本文実測) |
| 記録の作成・保存義務 | 条文に明文なし(安衛則35条に記録条項がない) | 安衛則38条により明文で3年間保存義務あり |
| 未実施の罰則 | 法120条1号(50万円以下の罰金) | 法119条1号(6月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金) |
自社の業務が特別教育の対象業務(研削といしの交換、フォークリフト運転、アーク溶接、高圧の充電電路作業、クレーン運転、玉掛け、チェーンソーによる伐木、足場の組立て等)に該当するかを確認したい場合は、特別教育の実施記録テンプレートで対象業務の一覧と記録様式を解説しています。
様式について
労働安全衛生規則第35条は教育すべき事項(1号〜8号)を列挙しているのみで、「別記様式第◯号による」といった様式の指定がありません。2026-09-07時点で当サイトが確認した範囲では、厚生労働省の安全衛生関係主要様式ダウンロードコーナー、及び「長時間労働者への医師による面接指導実施マニュアル」等の関連マニュアル配布ページを含めて確認しましたが、雇入れ時・作業内容変更時の安全衛生教育に特化した記録様式の配布は見当たりませんでした。本テンプレートは施行規則35条1項の記載事項を満たす独自レイアウトです。
記録を作成・保存しないと法律違反になりますか?
教育を省略できる場合はありますか?
パート・アルバイトも教育の対象になりますか?
「作業内容を変更したとき」とは、どのような場合ですか?
特別教育(安衛則36条が定める業務)とはどう違いますか?
参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-09-07 確認時点)。