個人事業主とは — 法人との違い・税務上の定義・社会保険の扱い

本記事は一般情報の提供を目的としています。 個別の税務・法務判断は、税理士・社会保険労務士等の専門家にご確認ください。 数値は国税庁・厚生労働省等の一次情報(2026-05-28確認)に基づいています。

個人事業主とは、法人を設立せずに自ら事業を営む個人のことです。 税務上は「所得税法上の事業所得または不動産所得を生ずる事業を営む個人」と定義されます。 フリーランス・自営業・副業のうち事業所得に該当する方も含まれます。

項目 個人事業主 法人(株式会社等)
設立費用 0円(開業届提出のみ) 株式会社: 約20〜25万円 / 合同会社: 約6〜10万円
課税方式 所得税(累進課税・最高55%) 法人税(実効税率約23〜33%)
社会保険 国民健康保険 + 国民年金(任意加入の場合) 健康保険 + 厚生年金(原則強制加入)
赤字処理 青色申告で3年間繰越可 10年間繰越可
信用度 低め(個人名義での取引が中心) 高め(法人名義・登記情報が公開される)
廃業・解散 廃業届を出すだけ(費用なし) 清算手続きが必要(費用・時間がかかる)
経費の範囲 事業に直接関係する支出のみ 役員報酬・福利厚生費等で範囲が広い

社会保険の扱い(個人事業主の場合)

個人事業主は、会社の健康保険・厚生年金から外れるため、自分で国民健康保険と国民年金に加入する義務があります。 ただし、常時5人以上の従業員を雇用する事業所(一部業種を除く)は、社会保険の適用事業所となり、事業主本人も健康保険・厚生年金に加入できる場合があります。

  • 国民健康保険: 前年所得に基づいて計算(市区町村ごとに異なる)
  • 国民年金: 一律月額16,980円(令和7年度)
  • 国民年金基金 / iDeCo: 任意加入で老後の年金を上乗せ可能

出典: 国税庁「No.2090 新たに事業を始めたときの届出など」(2026-05-28確認)

開業に必要な書類一覧(5種類の届出書と提出期限)

個人事業主として開業する際に提出が必要・推奨される主要書類を一覧にまとめました。 最低限「開業届」と「青色申告承認申請書」の2つが最重要です。

書類名 必須度 提出先 提出期限 主な目的
個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) 必須 所轄税務署 翌年の確定申告期限まで(2026年1月1日以降開業)
旧: 開業から1ヶ月以内
事業開始の申告・屋号の登録・各種申請の根拠
所得税の青色申告承認申請書 強く推奨 所轄税務署 開業日から2ヶ月以内(1月15日以前の開業は3月15日まで)
※開業届の期限延長の対象外
青色申告特別控除(最大65万円)・純損失の繰越など
青色事業専従者給与に関する届出書 家族に給与を払う場合 所轄税務署 専従者給与を支払い始めた年の3月15日まで(当年開業なら2ヶ月以内) 配偶者・家族への給与を全額経費計上するための届出
源泉所得税の納期特例の承認申請書 従業員・専従者がいる場合 所轄税務署 随時(適用開始月の前月末日まで) 源泉徴収の納付を毎月→年2回(1月・7月)に変更して事務を軽減
消費税課税事業者選択届出書 インボイス登録する場合など 所轄税務署 適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日まで 免税事業者が意図的に課税事業者となる場合(インボイス登録等)
重要: 開業届と青色申告承認申請書の期限は別物です。
2026年1月以降の改正で開業届の提出期限は「翌年の確定申告期限まで」に延長されましたが、 青色申告承認申請書の期限は従来通り「開業から2ヶ月以内」です。 開業届だけを先延ばしにすると、青色申告承認申請書の期限も過ぎてしまう可能性があります。 実務上は開業届と青色申告承認申請書を同時提出することを強くお勧めします。

出典: 国税庁「個人で事業を始めたとき」(2026-05-28確認)

開業届の書き方・提出方法 — 2026年1月改正「提出期限の延長」

2026年1月改正の概要(一次確認済み)

2026年1月1日以降に開業した個人事業主について、開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の提出期限が大幅に延長されました。

項目 改正前(2025年12月31日以前の開業) 改正後(2026年1月1日以降の開業)
提出期限 開業から1ヶ月以内 事業開始日の属する年分の確定申告期限まで
(例: 2026年開業 → 2027年3月15日まで)
改正理由 ネット販売・フリーランス等で開業日特定が困難なケースの増加に対応。開業届は税額に直接影響しない管理用書類のため、期限を緩和して実務の混乱を解消。
遅延罰則 なし(従来も罰則なし) なし
ただし青色申告承認申請書の提出期限は延長されていません。 開業届の提出を翌年に先延ばしにすると、青色申告承認申請書の「開業から2ヶ月以内」という期限も同時に過ぎてしまいます。 その場合、開業した年の確定申告は白色申告になります(青色申告65万円控除が受けられなくなります)。

開業届の書き方(主な記入項目)

記入項目 記入内容・注意点
提出先税務署 納税地(住所地)の所轄税務署名を記入。国税庁ウェブサイトで所轄税務署を検索できます。
提出年月日 実際に提出する年月日を記入
納税地 原則として住所地。事業所がある場合は事業所の所在地も記載可。
氏名・生年月日・個人番号 マイナンバー(12桁)を記入
職業・屋号 職業は「ウェブデザイナー」「コンサルタント」等の具体的な職種名。屋号は任意(なしでも可)。
開業日 最初に売上・収入が発生した日。または事業の準備が整った日。
事業の概要 「ウェブサイト制作・保守」「企業向けコンサルティング」等、具体的に記入
青色申告承認申請 開業届と同時に提出する場合はチェックボックスにチェック(別途申請書も必要)

提出方法と注意点

  • e-Tax(電子申請): マイナンバーカードがあればオンラインで提出可。確認書類の郵送不要で最も便利。
  • 税務署への持参: 控え(受付印付き)をその場でもらえる。提出者確認書類(マイナンバーカード等)を持参。
  • 郵送: 控え返送用の切手付き封筒を同封する。到着確認に1〜2週間かかる場合あり。
  • freee・マネーフォワード経由: 各クラウドサービスから開業届をオンライン作成・送信できるサービスが無料で提供されています。

出典: 国税庁「個人で事業を始めたとき」(2026-05-28確認)

青色申告承認申請書 — 同時提出の重要性・期限・3段階の控除額

青色申告承認申請書は、個人事業主が最大65万円の青色申告特別控除を受けるために必須の申請書です。 開業届と同時に提出しないと、期限を逃して白色申告にしか対応できなくなるリスクがあります。

青色申告特別控除の3段階

控除額 要件 節税効果(課税所得300万円の場合)
65万円控除 ①複式簿記で記帳
②貸借対照表・損益計算書を申告書に添付
③e-Taxで申告 または 電子帳簿保存(どちらか一方)
④申告期限内に申告
65万円×約33%(最高税率)= 最大約21万円の節税
55万円控除 ①複式簿記で記帳
②貸借対照表・損益計算書を申告書に添付
③申告期限内に申告(e-Tax不要)
55万円×税率に応じて最大約18万円の節税
10万円控除 ①不動産所得または事業所得がある
②簡易な記帳でも可
10万円×税率に応じて最大約3万円の節税
白色申告(参考) 特別控除なし 節税効果なし

青色申告承認申請書の提出期限(重要)

  • 1月16日以後に開業した場合: 開業日から2ヶ月以内
  • 1月15日以前に開業した場合: その年の3月15日まで
  • 開業届の提出期限延長(2026年1月改正)の対象外のため、期限管理に注意が必要
freee・マネーフォワード クラウドは複式簿記の仕訳を自動生成し、貸借対照表・損益計算書も自動作成します。 e-Tax連携も標準搭載のため、65万円控除の3要件を最小の手間で満たせます。 詳細な比較は会計ソフト比較 2026をご覧ください。

出典: 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(2026-05-28確認)

個人事業主 vs 法人設立の選択基準(年収500万円目安・比較表)

「いつ法人化すべきか」は個人事業主が必ず直面する課題です。 一般的な目安は年間の課税所得が500万円前後ですが、業種・家族構成・社会保険の状況によって最適解は異なります。

税負担・コストの比較

比較項目 個人事業主(青色申告) 法人(株式会社・合同会社)
所得税 / 法人税の実効税率 所得税5〜45%+住民税10%(累進課税)
課税所得900万円超で税率43%超
法人税実効税率:約23〜33%(中小法人)
設立・維持コスト 0円(開業届のみ) 設立費用: 株式会社約20〜25万円・合同会社約6〜10万円
会計費用・法人住民税7万円(赤字でも)
社会保険料 国民健康保険+国民年金(所得比例)
年100万円前後の場合が多い
健康保険+厚生年金(役員報酬に比例)
役員報酬設定で調整可能
役員報酬・給与所得控除 なし(事業主自身には給与控除なし) 役員報酬として給与所得控除が適用される
(令和7年分は65万円〜195万円)
退職金 小規模企業共済を活用(月最大7万円) 法人の役員退職金として計上可(節税効果大)
経費の範囲 事業に直接関係する費用のみ 役員報酬・社宅・法人保険・福利厚生費等で広い
社会的信用 やや低い(個人名義取引が中心) 高い(登記情報が公開・取引安心感あり)

法人化を検討するタイミングの目安

  • 課税所得500〜600万円超: 所得税の最高税率(33%〜)が法人税実効税率(23〜33%)を上回り始める
  • 課税売上高が1,000万円を超えた: 個人事業主はその2年後(前々年が基準期間)から消費税の課税事業者になります(前年1〜6月の課税売上高と給与支払額がともに1,000万円を超えた場合はその翌年から)。課税事業者になる前に法人化を検討する場合あり
  • 社会保険料の最適化を図りたい: 役員報酬を低く設定することで社会保険料を抑えられる場合がある
  • 信用が必要な業種・取引先: 建設業・医療・不動産・大企業との取引は法人化が有利な場合がある
個人vs法人の最適解は「課税所得・家族構成・社会保険料・業種・将来の事業規模」を総合的に判断する必要があります。 所得税・社会保険料のシミュレーションは keisan-navi 所得税計算ツール・ 社会保険料計算ツール で無料試算できます。

業種別の開業時チェックリスト(6業種)

開業時の必要書類・手続きは業種によって異なります。 以下のチェックリストで、自分の業種に必要な対応を確認してください。

全業種共通チェックリスト

  • 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出した
  • 青色申告承認申請書を開業から2ヶ月以内に提出した
  • 屋号付き事業用銀行口座を開設した
  • 会計ソフトを導入し、日々の帳簿記録体制を整えた
  • 国民健康保険に加入した(退職翌日から14日以内)
  • 国民年金への切り替え手続きをした(市区町村窓口)
  • 確定申告の準備として必要書類のファイリング体制を作った

業種別の追加チェックリスト

業種 開業時の追加確認事項 注意・参考
ライター・編集者 ・源泉徴収税(10.21%)の控除確認
・支払調書の受け取り体制
・インボイス登録の要否判断(取引先の要求確認)
・フリーランス新法の書面明示義務確認
個人事業税は「文筆家」として対象外の場合あり(都道府県税事務所に確認)
エンジニア・デザイナー ・業務委託契約書のひな形準備(フリーランス新法対応)
・PC・ソフトウェア等の開業費への組み入れ
・クラウドサービス費用の経費化
・インボイス登録の要否判断
業務委託契約書テンプレートはフリーランス新法対応テンプレートを活用
コンサルタント・士業 ・資格・免許の登録状況確認(士業は登録申請が別途必要)
・プロフェッショナル賠償責任保険の検討
・インボイス登録(B2B取引は登録必須の場合多い)
・源泉徴収の取り扱い確認
弁護士・税理士・社労士等は各資格の登録手続きが開業届より優先
物販(EC・ハンドメイド等) ・古物商許可の要否確認(中古品を仕入れて販売する場合は必須)
・在庫の棚卸し体制
・特定商取引法の表記(ECサイト運営の場合)
・消費税の課税・非課税区分の把握
前々年(基準期間)の課税売上高が1,000万円超、または前年1〜6月の課税売上高と給与支払額がともに1,000万円超で消費税の課税事業者。インボイス登録と合わせて判断。
建設業 ・建設業許可の要否確認(1件請負が500万円超で許可必要)
・労災保険の特別加入(任意)
・元請けへのインボイス登録番号提供
・建設業退職金共済(建退共)への加入検討
建設業許可は都道府県知事許可(知事)または国土交通大臣許可(大臣)。申請に数ヶ月かかる場合あり。
飲食業 ・食品衛生責任者の配置・講習受講
・飲食店営業許可の申請(保健所)
・防火管理者の選任(収容人員30人以上)
・深夜酒類提供飲食店営業届(深夜0時以降提供の場合)
・雇用保険・労災保険の加入(従業員を雇う場合)
飲食店営業許可は申請から取得まで2〜3週間かかる場合あり。厨房設備完成後に保健所検査が必要。

e-Tax提出の手順(マイナンバーカード活用・スマホ提出)

開業届・青色申告承認申請書はe-Taxでオンライン提出できます。 マイナンバーカードがあればカードリーダーなしでスマホから完結します。

e-Taxで開業届を提出するステップ

  1. マイナポータルにアクセス・ログイン
    スマートフォンの「マイナポータル」アプリを開き、マイナンバーカードでログインします。 iPhoneは2026年からマイナンバーカードのWallet登録に対応し、物理カード不要で認証できます。
  2. e-Taxの「所得税・消費税の申請・届出」へ移動
    マイナポータルまたは国税庁の「e-Tax」サービスにアクセスし、 「個人事業の開業・廃業等届出書」の提出メニューを選択します。
  3. 必要事項を入力
    納税地・氏名・個人番号・開業日・職業・屋号・事業の概要等を入力します。 入力内容は自動保存されるため、途中保存して後から再開することも可能です。
  4. 青色申告承認申請書を同時提出(推奨)
    開業届の提出画面から、青色申告承認申請書も同時に作成・送信できます。 「同時に提出する」を選択し、帳簿の種類(複式簿記を推奨)・備付帳簿の種類を選択します。
  5. 電子署名を付与して送信
    マイナンバーカードで電子署名を付与し、送信します。 送信完了後、受信通知(メッセージボックス)を保存しておきましょう。
freee・マネーフォワード クラウドの「かんたん開業」サービス: 各クラウドサービスでは、開業届・青色申告承認申請書の作成から電子申請まで無料でサポートするサービスを提供しています。 e-Taxの操作に不安がある方は、これらのサービスを利用するのが最も手軽です。

出典: 国税庁「個人で事業を始めたとき」(2026-05-28確認)

開業後すぐにやること(口座・会計ソフト・社会保険・小規模企業共済・iDeCo)

開業届・青色申告申請書の提出後、スムーズに事業をスタートするために以下の5点を優先的に対応しましょう。

1. 屋号付き銀行口座の開設

事業用口座をプライベート口座と分けることで、帳簿作成が大幅に楽になります。 屋号付き口座(例: ○○デザイン事務所)は、 個人の通帳と区別でき、取引先からの信頼も高まります。 開業届の控え(受付印付き)を持参すると口座開設がスムーズです。

2. 会計ソフトの導入と帳簿体制の整備

青色申告65万円控除を受けるには複式簿記での記帳が必要です。 freee・マネーフォワード クラウド等を使えば、 銀行口座・クレジットカードの明細が自動取得され、仕訳も自動生成されます。

3. 国民健康保険・国民年金への切り替え

会社員から独立した場合、退職翌日から14日以内に以下の手続きが必要です。

  • 国民健康保険: 市区町村の窓口で加入手続き(退職証明書または健康保険喪失証明書が必要)
  • 国民年金: 市区町村の窓口または日本年金機構で「第1号被保険者への切り替え」手続き
  • 任意継続保険の検討: 退職前の健康保険を2年間継続できる制度。保険料が国保より低い場合あり(退職後20日以内に申請が必要)

4. 小規模企業共済への加入検討

小規模企業共済は個人事業主・フリーランス向けの退職金制度です。 掛け金月額1,000〜70,000円(全額所得控除・課税所得から直接控除可能)で、 廃業・退職時に一括または分割で受け取れます。 年間最大84万円の所得控除は、青色申告特別控除65万円と組み合わせると非常に強力な節税手段です。

5. iDeCoの加入検討

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、個人事業主の場合年間最大81万6,000円(月6万8,000円)まで掛け金全額が所得控除になります。 老後資金の準備と節税を同時に実現できるため、開業初年度から加入することを検討してください。

インボイス登録の判断(2026年10月経過措置縮小の影響)

開業時にインボイス(適格請求書発行事業者)登録をすべきかは、取引先の属性と自分の売上規模によって判断します。

インボイス登録の判断フロー

ケース 取引先の属性 推奨判断 理由
B2B(法人・個人事業主への販売が中心) 取引先が課税事業者(インボイス登録済み) 登録推奨 未登録だと取引先が仕入税額控除できず、取引から外される・値下げ要求のリスクがある
B2C(一般消費者への販売が中心) 最終消費者のみ 未登録でも可 消費者はインボイス不要なため、登録しなくても取引に支障なし。消費税納税も不要(前々年の課税売上高が1,000万円以下などの条件を満たす免税事業者の場合)
混在(B2B・B2Cの両方) 混在 個別に判断 B2Bの売上割合・金額によって登録メリットとデメリットを比較

2026年10月経過措置縮小の影響

インボイス未登録(免税事業者)との取引における仕入税額控除の経過措置が、2026年10月1日から縮小されました。

期間 免税事業者からの仕入れに係る控除割合
〜2026年9月30日 80%控除可
2026年10月1日〜2028年9月30日
(令和8年10月1日から2年間)
70%控除可
2028年10月1日〜2030年9月30日
(令和10年10月1日から2年間)
50%控除可
2030年10月1日〜2031年9月30日
(令和12年10月1日から1年間)
30%控除可
2031年10月1日〜
(令和13年10月1日以降)
控除不可(0%)

令和8年度税制改正で経過措置の適用期限が2年間延長され、控除可能割合が「8割 → 7・5・3割」に見直されました。 改正前は令和8年10月から3年間50%、その後0%となる予定でした。 なお7・5・3割控除は、一のインボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れの合計額(税込み)が その年または事業年度で1億円(改正前:10億円)を超える場合、超えた部分には適用できません (令和8年10月1日以後に開始する課税期間から適用)。

この変更により、2026年10月以降は取引先(課税事業者)が免税事業者への外注費について仕入税額控除を受けられる割合が減っています。 B2B取引が多い場合は、取引先から登録を求められる可能性が高まります。 インボイス制度の詳細はインボイス制度 2026年の変更点 完全ガイドをご覧ください。

出典: 国税庁 令和8年度税制改正特集(7・5・3割控除)(2026-08-26確認)

フリーランス新法対応(2026年1月改正ガイドライン・業務委託契約書の備え)

フリーランス・事業者間取引適正化等法(フリーランス新法)は2024年11月1日に施行され、 2026年1月1日には解釈ガイドラインが改定されました。

フリーランス新法の主な義務

義務の種類 内容 対象
書面等による明示義務(9項目) 業務の内容・報酬額・支払期日・業務実施場所・業務期間等9項目を書面または電磁的方法で明示 フリーランスに業務委託する全ての事業者
報酬の支払期日 給付を受けた日から60日以内に報酬を支払う 従業員を使用している事業者
中途解除・不更新の事前告知 継続業務委託の中途解除・不更新は原則として30日前までに通知 6ヶ月以上の継続業務委託をする事業者
7つの禁止行為 買いたたき・受領拒否・返品・報酬減額・一方的な給付内容変更等を禁止 従業員を使用している事業者

2026年1月改正ガイドラインの実務影響

  • インボイス未登録を理由とした報酬減額の明確化: インボイス登録しない免税事業者への消費税相当額の不払いは「報酬の減額」(フリーランス新法第5条第1項第2号)の禁止行為に該当すると位置づけ
  • 電磁的明示の拡充: LINEやSlackでの業務委託条件の明示がより広く認められるようになった

個人事業主(フリーランス)として開業する場合、取引先企業から書面明示を受ける権利があります。 一方、自分自身が他のフリーランスに外注する場合は、書面明示義務を守る必要があります。

FREE TEMPLATE
フリーランス新法対応 業務委託契約書・取引条件明示書テンプレート(無料)
書面明示9項目・7つの禁止行為対応済み。Word形式で即使用可能。2026年1月改正ガイドライン対応版。

フリーランス新法の詳細はフリーランス新法(取適法)2026年完全解説をご覧ください。

出典: 公正取引委員会「フリーランス・事業者間取引適正化等法」(2026-05-28確認)

よくある質問(FAQ)

開業届を出さないとどうなりますか?
法律上の罰則はありませんが、青色申告特別控除(最大65万円)が受けられなくなります。また、屋号付き銀行口座の開設・各種補助金の申請・社会的信用の証明にも開業届が必要です。2026年1月以降の開業では提出期限が翌年の確定申告期限まで延長されましたが、青色申告承認申請書の期限(2ヶ月以内)は変わっていないため、実質的に早期提出が必須です(国税庁 2026-05-28確認)。
開業日はいつにすればよいですか?
最初に収入が発生した日(最初の取引日)を開業日とするのが一般的です。開業日は遡って設定することも可能です。開業日が早いほど経費の計上期間が長くなります(開業前の準備費用は開業費として計上可)。一方で、開業日が早いと青色申告承認申請書の提出期限も早くなるため注意が必要です。副業からの切り替えタイミングは専門家に相談することをお勧めします。
副業から専業個人事業主への切り替えタイミングはいつがよいですか?
副業所得が事業所得と認められ、かつ安定した収益が見込める段階が目安です。国税庁の取扱いでは「収入金額300万円超かつ帳簿書類保存あり」が事業所得の一つの基準とされています(2022年改正)。社会保険の観点では、会社を退職して独立する場合は健康保険と国民年金への切り替えが発生するため、収入の安定性と社会保険料の負担を試算した上で判断することが重要です。keisan-navi 社会保険料計算ツールで事前にシミュレーションできます。
開業届の屋号はどう決めればよいですか?
屋号は法律上の制限はほぼなく、自由に決められます。ただし、既存の有名企業・ブランドと混同されやすい名称は商標権侵害のリスクがあります。口座開設・名刺・請求書に使う名前として、事業内容が伝わりやすく覚えやすい名前が実用的です。屋号なしでも開業届の提出・事業運営は可能です。後から変更することも可能ですが、取引先への周知や口座変更が必要になります。
個人事業税の対象業種はどれですか?
個人事業税は第1〜3種の法定業種(70業種)が対象で、年間事業所得290万円超の部分に3〜5%が課税されます。フリーランスのライター・エンジニア・デザイナーの多くは「第1種事業(請負業・サービス業等)」として5%が課税されますが、「コンサルタント」「SE」「ライター」が個人事業税の対象になるかは都道府県税事務所の判断によります。農業・林業・水産業等は非対象です。詳細は都道府県税事務所に確認してください。
開業時に必要な初期資金はどのくらいですか?
業種・形態によって大きく異なりますが、デスクワーク系(ライター・エンジニア・コンサル)は最低10〜30万円程度が目安です。主な初期費用の例:PC・周辺機器(5〜20万円)、会計ソフト年額(1〜3万円)、ビジネス口座開設手数料(0〜数千円)、名刺・ウェブサイト(数万円〜)。開業費は「繰延資産」として5年で均等償却か任意償却(初年度一括計上)が可能です。飲食業・小売業は内装・設備に100〜500万円以上かかる場合があります。
失業保険の受給中に開業することはできますか?
失業保険の受給中に開業届を提出すると、「就職・自営を開始した」とみなされ、受給が終了します。ただし「再就職手当」「常用就職支度手当」の対象になる場合があります。開業届を出す前に、ハローワークに自営業開始の意向を伝え、再就職手当の受給可否を確認することをお勧めします。再就職手当は所定給付日数の3分の1以上の残日数がある段階で手続きが必要です(厚生労働省 2026-05-28確認)。
扶養から外れる基準は何ですか(個人事業主の場合)?
配偶者の扶養(健康保険・年金)に入るためには、年間の見込み収入が130万円未満(60歳以上・障害者は180万円未満)であることが必要です。個人事業主の場合、事業収入から必要経費を引いた「事業所得」が基準になります(健康保険組合によって判断基準が異なる場合があります)。所得税の配偶者控除は、令和8年(2026年)分は配偶者の合計所得金額62万円以下(給与のみなら136万円以下)が条件です(令和7年分は58万円以下=給与123万円以下、令和6年分以前は48万円以下=103万円以下)。なお健康保険の被扶養者認定は、19歳以上23歳未満(配偶者を除く)に限り年間収入150万円未満に緩和されています。年収の壁の詳細は年収の壁 2026年改正 完全解説をご覧ください。
廃業届の手続きはどうすればよいですか?
廃業の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」の廃業欄に記入して税務署に提出します。提出期限は廃業から1ヶ月以内です。青色申告承認申請書を提出している場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」も同時提出が必要です。給与を支払っていた場合は「給与支払事務所等の廃止届出書」も必要です。廃業した年の確定申告(翌年3月15日まで)は通常通り必要です。消費税課税事業者の場合は消費税の廃業届も別途必要です。