本記事は一般情報の提供を目的としています。個別の税務・会計判断は税理士等の専門家にご確認ください。
会計ソフト3強の概要(freee・マネーフォワード・弥生)
国内のクラウド会計ソフトでは、freee・マネーフォワード クラウド・弥生(やよいシリーズ)が主なサービスです。
| ソフト | 強み | こんな人に向く | 弱み |
|---|---|---|---|
| freee会計 | 操作が直感的・簿記知識不要・確定申告ウィザード | 簿記未経験・初めて開業・確定申告を早く済ませたい | 独自用語で混乱しやすい |
| マネーフォワード クラウド | 2,300以上のサービスと連携(2024年2月・同社調べ)・複式簿記に忠実・バックオフィス統合 | 銀行口座が多い・経理スタッフがいる・将来的に法人化検討 | 画面が情報量多め・初心者には複雑に見える場合がある |
| 弥生(やよい) | 青色申告に特化・初年度0円・クラウド申告ソフトウェアNo.1(MM総研「クラウド会計ソフトの利用状況調査」2026年3月末時点・弥生公式の記載) | コストを抑えたい・紙帳簿からの移行・シンプルに使いたい | スマホアプリでは申告書・決算書を作れない(PCが必要) |
出典: 各社公式サイト(freee・マネーフォワード・弥生 2026-10-18確認)
機能比較表(2026年最新)
確定申告・インボイス・電帳法・銀行連携・レシート撮影・サポートの主要6項目で比較します。
| 機能・対応項目 | freee会計 | MFクラウド | 弥生(青色) |
|---|---|---|---|
| 確定申告書の作成・提出 | 全プラン | 全プラン(青色・白色対応) | 全プラン対応 |
| 消費税申告 | スタンダード以上 | パーソナル以上 | 全プラン対応 |
| インボイス対応 | 消費税申告(インボイス制度対応)はスタンダード以上 | 消費税申告(インボイス制度対応)はパーソナル以上・請求書の作成は全プラン | 全プラン(インボイス対応) |
| 電帳法(電子取引保存)対応 | 公式で確認 | 証憑の保存(ミニは1,000件まで・パーソナル以上は無制限)。電帳法の対応範囲は公式で確認 | JIIMA の認証を取得(弥生公式の記載) |
| 銀行・クレカ自動連携 | あり(プランごとの差は公式で確認) | 2,300以上のサービスと連携(2024年2月・マネーフォワード調べ) | あり(プランごとの差は公式で確認) |
| レシート撮影(OCR) | スターター:月5枚 スタンダード以上:月10GBまで(容量) | ミニ:月15件 パーソナル:月30件 プラス:月100件 | レシート取込アプリあり(件数は公式で確認) |
| 電話サポート | プレミアム以上 | パーソナル プラス以上 | ベーシック以上(ベーシックはサポート契約期間中10回まで) |
| スマートフォンアプリ | iOS/Android対応 | iOS/Android対応 | iOS/Android対応(『弥生 申告』・レシート取込アプリ。申告書・決算書の作成はPC) |
| Mac対応 | クラウド版対応 | クラウド版対応 | クラウド版対応 |
| 複数人利用 | 条件は公式で確認(権限管理・仕訳承認フローはプレミアム以上) | パーソナル・パーソナル プラスでメンバー追加可(ミニは不可) | 公式で確認 |
出典: freee会計 個人事業主向け料金プラン・マネーフォワード クラウド確定申告 料金プラン・マネーフォワード よくある質問(プラン比較)・弥生 青色申告オンライン 料金プラン・弥生 スマートフォンアプリ(2026-10-18確認)。「公式で確認」は、各社の料金・機能ページに記載が見つからなかった項目です。
料金比較表(2026年最新・個人向け)
個人事業主・フリーランス向けの主なプランを、年払いの料金で比較します(税別表記)。
| ソフト・プラン名 | 月額(年払い) | 年額(年払い) | 初年度無料 | 電話サポート | 消費税申告 |
|---|---|---|---|---|---|
| 弥生 青色 セルフ | 約983円 | 11,800円 | あり(0円) | なし | あり |
| freee スターター | 980円 | 11,760円 | なし(30日間の無料お試し) | なし | なし |
| MF パーソナル ミニ | 900円 | 10,800円 | なし | なし | なし |
| MF パーソナル | 1,280円 | 15,360円 | なし | なし | あり |
| 弥生 青色 ベーシック | 約1,900円 | 22,800円 | あり(0円) | あり(サポート契約期間中10回まで) | あり |
| freee スタンダード | 1,980円 | 23,760円 | なし(30日間の無料お試し) | なし | あり |
| MF パーソナル プラス | 2,980円 | 35,760円 | なし | あり | あり |
| 弥生 青色 トータル | 約3,300円 | 39,600円 | 半額(19,800円) | あり | あり |
| freee プレミアム | 3,316円 | 39,800円 | なし(30日間の無料お試し) | あり | あり |
出典: freee公式料金ページ・マネーフォワード公式料金ページ・弥生公式料金ページ(公式確認日 2026-10-18)。表示は税別。弥生の月額は年額を12で割った目安(公式の表示は年額のみ)。弥生の初年度0円・半額は2027年3月15日までの申し込み分で、1事業者1回限りです。freee には月払いもあります(スターター月1,780円・スタンダード月2,980円。プレミアムは年払いのみ)。マネーフォワードのパーソナル プラスは年払いのみで、ほかのプランの月払いの金額は公式の料金ページで確認してください。
初年度の費用を抑えるなら:弥生の初年度無料
「まずコストを抑えて試したい」なら弥生(やよいの青色申告オンライン)のセルフプランが候補です。初年度0円・青色申告フル機能・消費税申告対応。2年目以降は年11,800円(税別)です。
ただし初年度無料の適用には、自動更新の決済方法として口座振替またはクレジットカードの登録が必要で、キャンセル忘れを防ぐためにカレンダーに更新日を登録しておくことを推奨します。
消費税申告が必要なら:弥生 青色 セルフかMFパーソナル
課税事業者でインボイス登録済みの方は、消費税申告に対応したプランを選びます。上の表では、弥生 青色 セルフ(年11,800円・税別・初年度0円)とマネーフォワード パーソナル(年払い月1,280円・年額15,360円・税別)が対応しています。freee はスタンダード(年払い月1,980円・年額23,760円・税別)から対応です(公式確認日 2026-10-18)。
個人事業主・フリーランスへのおすすめ(3パターン)
「絶対にこれ」という答えはありません。以下の3パターンで自分の状況に照らし合わせてください。
パターン1:簿記未経験・開業1年目 → freeeスタンダード
- 確定申告の「何から始めるか」を画面が教えてくれる
- 仕訳は「収入を受け取った」「経費を払った」を選ぶだけで自動生成
- freeeのサポート記事・YouTube解説が豊富で独学しやすい
- 年払い月1,980円(年額23,760円・税別)。消費税申告もできる。電話サポートはプレミアム以上
パターン2:銀行口座が複数・経理を効率化したい → マネーフォワード パーソナル
- 銀行やクレジットカードなど2,300以上のサービス(2024年2月・同社調べ)と連携して明細を取り込める
- 複数の事業用口座・プライベート口座・クレカを一元管理
- 複式簿記ベースの入力で、税理士との連携もスムーズ
- 月1,280円(年払い)で消費税申告まで対応
パターン3:コストを最小化・まず試したい → 弥生 青色 セルフ(初年度0円)
- 初年度0円で青色申告・消費税申告を含む全機能を使える(2027年3月15日までの申し込み分・1事業者1回限り)
- 操作がシンプルで、紙帳簿からの移行者でも馴染みやすい
- 2年目以降は年11,800円(税別)
- サポートが不要・ネットで自己解決できる人に向く
| 状況 | おすすめ | 年コスト(2年目以降) |
|---|---|---|
| 簿記未経験・開業1年目 | freee スタンダード | 23,760円/年 |
| 銀行口座が多い・経理効率化優先 | MF パーソナル | 約15,360円/年 |
| コスト最小・まず試したい | 弥生 青色 セルフ | 約11,800円/年 |
| 電話サポートが必要 | 弥生 青色 ベーシック | 約22,800円/年 |
副業会社員・最低限機能で十分なケース
副業・兼業の会社員の方は、まず「会計ソフトが必要か」から確認しましょう。
会計ソフト不要なケース(年間取引50件以下)
- 副業の所得(収入から経費を引いた額)が年20万円以下(年末調整を受けている会社員は所得税の確定申告が要らない場合がある。住民税の申告は必要。出典: 国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人)
- 年間の請求回数が月3〜4件以下・取引先が1〜2社
- 銀行口座が事業用・プライベートで分かれていて管理できている
このケースではfreee・マネーフォワード・弥生のいずれも不要です。 Excel・Wordの請求書テンプレートと国税庁のe-Taxで確定申告できます。
会計ソフトを導入すべきケース
- 副業の所得が年20万円を超え、確定申告が必要
- 請求書を月5件以上発行している
- 消費税の課税事業者(またはインボイス登録済み)
- 経費が多く、控除額を最大化したい
副業会社員で最低限の機能で十分な場合、マネーフォワード パーソナル ミニ(月900円・税別・年払い)が候補です。ただし消費税申告非対応のため、課税事業者はパーソナル以上を選んでください。
法人・複数人利用へのおすすめ
法人向けプランは個人向けより料金が上がり、複数ユーザー登録・部門管理・権限設定などが加わります。
| ソフト | 法人向け最安プラン(年払い) | 強み | 向くケース |
|---|---|---|---|
| freee会計 | 公式で確認 | 法人税・消費税申告・給与計算との連携が簡単 | 従業員が少ない・法人成り直後 |
| マネーフォワード クラウド | ひとり法人 月2,480円(1名)/複数人ならスモールビジネス 月4,480円(3名まで)(税抜・年払い/公式確認日 2026-10-16) | 会計・給与・請求書・経費精算が統合管理できる | バックオフィス業務を統合したい・経理担当が別にいる |
| 弥生会計 Next | 公式で確認 | 税務申告ソフト(やよい申告)との連携が強い・税理士事務所との共有実績が多い | 顧問税理士がいる・税務申告を外部委託している |
出典: freee法人向け料金・マネーフォワード法人向け料金・弥生会計Next料金(2026-05-28確認)
2026年法改正への対応比較
2026年は個人事業主・フリーランスに直接影響する法制度変更が重なっています。各社の対応状況を確認します。
電子帳簿保存法 電子取引データ保存の現在(宥恕措置は終了・猶予措置は継続)
電子データを出力した書面で保存する措置は令和4年1月1日以後の電子取引について廃止され(令和5年12月31日までは宥恕措置で事実上可能でした)、2024年1月以後の電子取引データは電子データそのものを保存します(国税庁 電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係〕(PDF) 2026-10-10確認)。ただし、原則的な保存ルール(検索要件・改ざん防止措置)に対応するまでの猶予措置が、電子帳簿保存法施行規則第4条第3項に期限の定めなく設けられています(所轄税務署長が「相当の理由」を認め、かつ税務調査時にデータと出力書面の提示・提出に応じられることが要件)。猶予措置でも電子データそのものの保存は必須です。
| 対応項目 | freee | MFクラウド | 弥生 |
|---|---|---|---|
| 電子取引データ保存 | 公式で確認 | 対応(JIIMA 認証。証憑添付は有料プランのみ) | JIIMA の認証を取得(弥生公式の記載) |
| タイムスタンプ付与 | 付与機能は2022年1月17日で終了(訂正・削除の履歴を残す方式で対応) | 有料プランの証憑添付で対応 | 公式で確認 |
| スキャナ保存(紙→電子) | 公式で確認 | 対応(JIIMA 認証) | 公式で確認 |
| 検索機能(日付・金額・取引先) | 公式で確認 | 公式で確認 | 公式で確認 |
出典: 弥生公式・マネーフォワード公式ガイド・freee サポートの案内(タイムスタンプ付与機能の終了)(確認日 2026-10-18)。「公式で確認」は、今回の確認でプランごとの対応を一次情報で確かめられなかった項目です。
インボイス制度 2026年10月〜経過措置縮小
2026年10月1日から、免税事業者からの仕入れに対する仕入税額控除の割合が80%から70%に縮小されました(令和8年度税制改正)。10月以降の仕入れを入力する前に、使っている会計ソフトが70%の計算に対応したかを各社のお知らせで確認してください。
ソフトごとに確かめておきたいのは、次の3点です。各社の対応状況は、この記事の確認時点(2026-10-18)では一次情報で確かめられなかったため、各社のお知らせ・ヘルプで確認してください。
- 免税事業者からの仕入れの控除割合が、取引日に合わせて70%で計算されるか
- 2割特例・3割特例(3割特例の対象は インボイス制度 2026年の変更点 を参照)で申告書を作れるか
- 簡易課税・本則課税を切り替えられるか
ソフト不要?テンプレート運用という選択肢【template-freeが正直に言います】
競合の比較記事は「どのソフトを使うべきか」しか書きません。でも私たちは請求書テンプレートを提供しているサイトとして、「ソフトが不要なケース」を正直に伝える義務があります。
テンプレート運用で十分なケース(年間取引50件以下)
- 月3〜4件の請求書発行で取引先が固定されている
- 売上が年200万円以下で消費税の課税事業者でない(免税事業者)
- 経費が少なく、帳簿管理が月1回の集計で済む
- 確定申告は国税庁のe-Tax(無料)で済ませられる
このケースではfreee・マネーフォワード・弥生のどれも「あれば便利だが、必須ではない」状態です。年10,000〜40,000円のソフト代を節約し、その時間と費用を本業に使う判断は合理的です。
会計ソフトなしで使える無料テンプレート
テンプレート運用からソフトへ移行するタイミング
以下のいずれかに当てはまったら、ソフト導入を検討しましょう。
- 月の請求件数が10件を超え始めた
- 消費税の課税事業者(またはインボイス登録)になった
- 税理士から「帳簿が不十分」と指摘された
- 銀行明細を手入力する時間が月2時間以上かかっている
- 法人化・従業員雇用を検討し始めた
乗り換え可能性と難易度
会計ソフトは一度使い始めると「乗り換えコスト」が発生します。主要な乗り換えパターンの難易度を確認しておきましょう。
| 乗り換えパターン | 難易度 | 主な作業 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| freee → マネーフォワード | 中 | 仕訳CSVエクスポート→MFにインポート | 勘定科目の名称が異なる・再マッピング必要 |
| マネーフォワード → freee | 中 | 仕訳CSVエクスポート→freeeにインポート | freeeの独自勘定科目体系への変換が必要 |
| freee / MF → 弥生 | 中〜高 | 仕訳CSVエクスポート→弥生形式に変換 | 弥生の仕訳フォーマットが独自・変換ツール活用を推奨 |
| 弥生 → freee / MF | 低〜中 | 弥生CSVエクスポート→各社インポート | 銀行連携の再設定が必要 |
| テンプレート運用 → 任意のソフト | 低 | 過去データの手入力 or Excelから取り込み | 期中から移行する場合は年度初頭の残高設定が必要 |
乗り換えを避ける方法:最初の選択が重要
「試してみて合わなかったら変える」は現実的ですが、乗り換えコスト(時間・データ移行・再設定)を考えると最初の選択で3〜5年使えるソフトを選ぶのが最も効率的です。無料トライアルを活用して、実際の操作感を体験してから決定してください。