確定申告が必要な人・不要な人の判定チャート
確定申告の要否は「所得の種類」と「金額」によって異なります。以下の判定表で自分のケースを確認してください。
| ケース | 確定申告の要否 | 主な理由・注意点 |
|---|---|---|
| 給与所得者(会社員・パート) 給与収入のみ・年末調整済み | 原則不要 | 年末調整で税金精算済み |
| 給与所得者 給与収入2,000万円超 | 必要 | 年末調整が適用されない |
| 給与所得者 副業所得(20万円超)あり | 必要 | 20万円以下でも住民税申告は別途必要 |
| 個人事業主・フリーランス 事業所得あり | 必要 | 利益がゼロでも申告が望ましい(純損失の繰越等) |
| 不動産所得あり | 必要 | 家賃収入−経費で計算 |
| 年金受給者 公的年金収入400万円超 | 必要 | 400万円以下でも医療費控除等を受けたい場合は申告 |
| 住宅ローン控除(初年度) | 必要 | 2年目以降は年末調整で可 |
| 医療費控除・ふるさと納税(5自治体超) | 必要 | 還付を受けるための申告(5年以内ならいつでも可) |
出典: 国税庁「令和7年分 確定申告特集」(2026-05-28確認)
令和7年分の申告期間
- 申告・納税期間: 2026年2月16日(月)〜2026年3月16日(月)
- e-Tax受付開始: 2026年1月5日(月)から(24時間受付)
- 還付申告: 2026年1月1日から5年間いつでも申告可能
- 消費税の申告期限: 2026年3月31日(火)
令和7年分の主要変更点(基礎控除95万円・給与控除65万円・160万円の壁)
令和7年(2025年)分の確定申告から、所得税の控除額が大幅に引き上げられました。 この改正は2026年(令和8年)分も継続して適用されます。
基礎控除の改正(令和7年分〜)
基礎控除は、従来の一律48万円から合計所得金額に応じた段階制に変わりました。
| 合計所得金額 | 令和7年分〜の基礎控除額 | 従来(〜令和6年分) |
|---|---|---|
| 132万円以下 | 95万円 | 48万円 |
| 132万円超〜336万円以下 | 88万円 | 48万円 |
| 336万円超〜489万円以下 | 68万円 | 48万円 |
| 489万円超〜655万円以下 | 63万円 | 48万円 |
| 655万円超〜2,350万円以下 | 58万円 | 48万円 |
| 2,350万円超〜2,400万円以下 | 48万円 | 48万円 |
| 2,400万円超〜2,450万円以下 | 32万円 | 32万円 |
| 2,450万円超〜2,500万円以下 | 16万円 | 16万円 |
| 2,500万円超 | 0円 | 0円 |
出典: 国税庁「令和7年分 基礎控除及び給与所得控除等の改正」(2026-05-28確認)
給与所得控除の改正(令和7年分〜)
給与所得控除の最低保障額が55万円から65万円に引き上げられました。
| 給与等の収入金額 | 令和7年分〜の控除額 | 従来(〜令和6年分) |
|---|---|---|
| 190万円まで | 65万円(最低保障) | 55万円 |
| 190万円超〜360万円以下 | 収入×30%+8万円 | 収入×30%+8万円 |
| 360万円超〜660万円以下 | 収入×20%+44万円 | 収入×20%+44万円 |
| 660万円超〜850万円以下 | 収入×10%+110万円 | 収入×10%+110万円 |
| 850万円超 | 195万円(上限) | 195万円(上限) |
出典: 国税庁「No.1410 給与所得控除」(2026-05-28確認)
所得税非課税ライン「160万円の壁」
改正後の給与所得者の所得税非課税ライン(いわゆる「壁」)は以下のとおりです。
- 給与所得控除(最低): 65万円
- 基礎控除(最大): 95万円(合計所得132万円以下の場合)
- 合計控除額: 65万円 + 95万円 = 160万円
- → 給与収入160万円以下の方は所得税非課税(令和7年分〜)
特定親族特別控除の新設(令和7年分〜)
令和7年分より「特定親族特別控除」が新設されました。19歳以上23歳未満の扶養親族(大学生等)の給与収入が150万円以下の場合、扶養者は最大63万円の控除を受けられます(収入に応じて段階的に逓減)。「学生アルバイトが130万円を超えると扶養から外れる」という従来の懸念が緩和されました。
出典: 国税庁「令和7年分 基礎控除及び給与所得控除等の改正」(2026-05-28確認)
青色申告vs白色申告の選び方(65万円控除の条件)
個人事業主・フリーランスが確定申告する場合、「青色申告」か「白色申告」かを選択できます。節税効果の観点からは、要件を満たせる方には青色申告が圧倒的に有利です。
| 比較項目 | 青色申告(65万円控除) | 青色申告(55万円控除) | 青色申告(10万円控除) | 白色申告 |
|---|---|---|---|---|
| 特別控除額 | 65万円 | 55万円 | 10万円 | なし |
| 記帳方式 | 複式簿記(必須) | 複式簿記(必須) | 簡易簿記でも可 | 簡易な帳簿でよい |
| e-Tax / 電子帳簿 | e-Tax申告 または 電子帳簿保存(必須) | どちらも不要 | 不要 | 不要 |
| 貸借対照表 | 要添付 | 要添付 | 不要 | 不要 |
| 赤字の繰越控除 | 3年間可 | 3年間可 | 3年間可 | なし |
| 専従者給与 | 全額経費可 | 全額経費可 | 全額経費可 | 上限あり |
| 申請書の提出 | 要(開業から2ヶ月以内 or 3月15日まで) | 同左 | 同左 | 不要 |
出典: 国税庁「No.2072 青色申告特別控除」(2026-05-28確認)
65万円控除を受けるための要件まとめ
- 不動産所得または事業所得を生ずる事業を営んでいる
- 複式簿記(借方・貸方)で仕訳・記帳している
- 貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付する
- 申告期限(3月15日または翌日)までに申告書を提出する
- e-Taxで申告 または 電子帳簿保存法に基づき帳簿を電子保存する(どちらか一方でよい)
確定申告の流れ4ステップ(書類準備→収入/経費集計→申告書作成→提出/納税)
- ステップ1: 書類・証明書を集める(〜1月末目安)
年明けから1月末にかけて各種書類が届きます。届いたら紛失しないよう一か所にまとめておきましょう。主な書類は後述の「必要書類チェックリスト」を参照してください。 - ステップ2: 収入・経費を集計する(1月〜2月中旬)
1年分の収入(売上・給与・副業等)と経費(事業に必要な支出)を集計します。会計ソフトを使っている場合は自動集計されます。個人事業主は事業所得=収入−経費で計算します。所得税の計算はkeisan-navi 所得税計算ツールでシミュレーションできます。 - ステップ3: 申告書を作成する(2月16日〜)
国税庁「確定申告書等作成コーナー」または会計ソフトから申告書を作成します。マイナポータル連携を事前に設定しておくと、保険料控除・医療費等の証明書を自動取得できます。e-Taxのスマホ申告なら1月5日から申告可能です。 - ステップ4: 提出・納税(〜3月16日)
e-Taxで送信(最も便利)、税務署への持参、郵送のいずれかで提出します。納税額がある場合は3月16日までに納付します。還付申告の場合は申告後3〜5週間で指定口座に振り込まれます。
申告方法の比較
| 申告方法 | 65万円控除 | マイナポータル連携 | 手間 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| e-Tax(スマホ) | ○(e-Tax要件を満たす) | ○(自動取得) | 最小 | ★★★ |
| e-Tax(PC) | ○ | ○ | 少 | ★★★ |
| 作成コーナー(印刷・持参) | ×(55万円止まり) | × | 中 | ★★ |
| 紙(書面)で提出 | × | × | 大 | ★ |
e-Tax・スマホ申告の手順(2026年最新UI対応)
2026年のスマホ申告では、iPhone(マイナンバーカードのiPhone登録)とAndroid(スマホ用電子証明書)の両方に対応し、カードリーダーなしで本人確認が完結するようになりました。
事前準備(申告前に必ず実施)
- マイナンバーカードの準備
マイナンバーカードの「署名用電子証明書パスワード(6〜16桁)」「利用者証明用電子証明書パスワード(4桁)」を手元に用意します。パスワードを忘れた場合は市区町村窓口でリセットできます。 - マイナポータルアプリのインストール
スマートフォンに「マイナポータル」アプリをインストールします。App Store / Google Play どちらでも無料です。 - マイナポータルとe-Taxの連携設定
マイナポータルにログイン→「外部サイトとの連携」→「e-Tax」を選択して連携を完了させます。この設定により、控除証明書が自動取得できるようになります(国税庁 e-Tax マイナポータル連携ガイド 2026-05-28確認)。 - 各機関との連携設定(任意・推奨)
生命保険会社・証券会社・銀行等をマイナポータルと連携しておくと、控除証明書が自動取得されます。連携できる機関は順次拡大しています。
スマホ申告の操作フロー(令和7年分)
| ステップ | 操作内容 |
|---|---|
| 1 | マイナポータルアプリ → 「e-Taxで確定申告をはじめる」をタップ |
| 2 | 「確定申告書等作成コーナー」に遷移 → 「マイナポータル連携について:連携する」を選択 |
| 3 | マイナポータルの認証(生体認証または4桁PIN)を行う |
| 4 | 収入・所得の入力(給与は源泉徴収票を見ながら入力。マイナポータル連携で自動取得の場合も確認) |
| 5 | 各種控除の入力(医療費・保険料・住宅ローン等。マイナポータル連携分は自動入力) |
| 6 | 税額の確認・還付/納付金額を確認 |
| 7 | 送信(電子署名付与)→ 受信通知を保存 |
| 8 | 納税がある場合:振替納税またはコンビニQRコード払いで納付 |
出典: 国税庁「e-Tax マイナポータル連携の方法」(2026-05-28確認)
必要書類チェックリスト(源泉徴収票・控除証明書・経費領収書)
確定申告で必要になる書類を、ケース別にまとめました。事前に揃えておくとスムーズに申告できます。
全員共通
- マイナンバーカード(e-Tax申告の場合)またはマイナンバー通知カード+本人確認書類
- 還付金受取用の銀行口座情報(口座番号・金融機関名・支店名)
- 前年の確定申告書の控え(2回目以降の方・繰越損失がある場合)
給与所得者・会社員
- 源泉徴収票(勤務先から1月末〜2月初に発行)
- 生命保険料・地震保険料控除証明書(1月末〜に届く)
- 住宅ローン年末残高証明書(ローン控除2年目以降は年末調整でも可)
- 医療費の領収書・医療費通知書(医療費控除を受ける場合)
- ふるさと納税の寄附金受領証明書(ワンストップ特例を使わない場合)
個人事業主・フリーランス
- 売上の帳簿・請求書控え(年間の収入合計が分かるもの)
- 経費の領収書・レシート(事業に関係するもの・月別に整理推奨)
- 事業用口座の通帳(銀行明細)
- 取引先から受け取った支払調書(源泉徴収票に相当するもの)
- 国民健康保険料の納付額通知書または領収書(社会保険料控除)
- 国民年金の控除証明書(11月に日本年金機構から郵送)
- 青色申告の方: 青色申告決算書(会計ソフトから自動生成)
副業がある方(追加書類)
- 副業の報酬明細・支払調書(源泉徴収が引かれている場合に還付の根拠になる)
- 副業の経費領収書
参考: 国税庁「令和7年分 確定申告特集」(2026-05-28確認)
副業20万円ルールの正確な理解(所得税のみ・住民税申告は別)
副業収入に関して「20万円以下なら申告不要」というルールが広く知られていますが、この特例は所得税(確定申告)のみに適用されます。住民税には同様の例外規定がありません。
| 税目 | 副業所得20万円以下の扱い | 申告先・期限 |
|---|---|---|
| 所得税(確定申告) | 申告不要(特例あり・給与所得者のみ) | 税務署 / 翌年3月16日 |
| 住民税 | 申告が必要(20万円以下の例外規定なし) | 市区町村 / 翌年3月15日 |
具体的な対処方法
- 所得税の確定申告を行った場合: 確定申告の情報が市区町村に共有されるため、住民税の申告は不要です(申告したとみなされます)
- 所得税の確定申告をしない場合(副業20万円以下の特例適用): 住民税申告を市区町村に別途行う必要があります
- 住民税の申告期限: 2026年分(2025年所得)は2027年3月15日(目安)
副業20万円ルールの適用条件(重要)
- 適用対象: 給与所得者のみ(個人事業主・年金受給者は対象外)
- 「所得」とは収入から経費を引いた後の金額です(交通費・機材費等は経費計上できます)
- 複数の副業がある場合は合算した所得額で判定します
- 株式・FX等の譲渡所得は別の基準が適用される場合があります
参考: freee「副業所得20万円以下でも確定申告と住民税の申告は必要?」・起業の「わからない」を「できる」に「副業の確定申告への影響」(2026-05-28確認)
還付申告・修正申告・期限後申告の違いと手順
| 種類 | 対象 | 期限 | 加算税・ペナルティ |
|---|---|---|---|
| 還付申告 | 源泉徴収で税金を多く払った方・医療費控除等で税金が戻る方 | 申告期限から5年以内(年中可) | なし |
| 修正申告 | 申告内容が誤りで税額が少なかった方(追加納税が必要) | 随時(気づいたらすぐ) | 延滞税(年利2.4〜8.7%)・過少申告加算税(条件次第) |
| 更正の請求 | 申告内容が誤りで税額を多く払った方(還付を求める) | 申告期限から5年以内 | なし |
| 期限後申告 | 申告期限(3月16日)を過ぎて申告した方 | 制限なし(できるだけ早く) | 無申告加算税(原則15%・高額は20%)+ 延滞税 |
期限後申告の手順
- 期限後でも申告は受け付けてもらえます
e-Taxまたは税務署窓口で申告書を提出します。申告そのものは年間を通じて受け付けています。 - 加算税・延滞税の計算
無申告加算税は原則「納税額の15%」(納税額300万円超の部分は20%)です。税務署から通知を受ける前に自主的に申告した場合は5%に軽減されます。 - 税務署への相談
申告方法に不安がある場合は、税務署の窓口相談や国税局電話相談センター(0570-00-5901)を活用できます。
出典: 国税庁「令和7年分 確定申告特集」(2026-05-28確認)
よくあるミス10選(医療費控除・扶養家族・源泉徴収票紛失)
初めて確定申告をする方がよく陥るミスをまとめました。申告前のチェックリストとして活用してください。
| # | ミスの内容 | 正しい理解 |
|---|---|---|
| 1 | 医療費控除「10万円以上から」という誤解 | 年収200万円未満の場合は「総所得金額等×5%」が閾値。年収200万円なら10万円ではなく5%(10万円)なので変わらないが、さらに低所得なら閾値が下がる |
| 2 | 医療費控除に「交通費」を含め忘れる | 通院のための公共交通機関代(バス・電車)は医療費控除の対象。タクシーは原則対象外(歩行困難等は例外) |
| 3 | 扶養控除の年齢を誤る | 扶養控除の対象は16歳以上(15歳以下は対象外)。特定扶養親族(19〜22歳)は控除額63万円と大きい |
| 4 | 源泉徴収票をなくす | 紛失したら勤務先に再発行依頼を。マイナポータル連携でデータ取得できる場合もある |
| 5 | 経費計上の基準を誤る(家事按分) | 自宅兼事務所の家賃・光熱費は「業務使用割合」で按分が必要。全額経費計上は認められない |
| 6 | 青色申告の申請を忘れる(開業初年度) | 青色申告承認申請書を開業から2ヶ月以内に提出しないと、その年は白色申告になる |
| 7 | 副業の住民税申告を忘れる | 副業20万円以下で確定申告不要でも、住民税の市区町村申告は別途必要 |
| 8 | 控除証明書の添付漏れ | e-Taxではデータ提出で代替可能だが、紙申告では控除証明書の原本添付が必要(生保・地震保険等) |
| 9 | 還付申告を知らずに放置 | 医療費控除・住宅ローン控除初年度は申告しないと損。5年以内ならさかのぼって申告できる |
| 10 | 令和7年分の改正前数値を使う | 基礎控除は48万円(旧)ではなく最大95万円(令和7年分〜)。会計ソフト・国税庁作成コーナーは自動で適用される |
無料計算ツールで税額シミュレーション(keisan-navi連携)
確定申告前に、以下の無料ツールで税額・控除額を事前シミュレーションできます。登録不要・スマホ対応です。