請求書に必要な記載項目(適格請求書7項目)

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入以降、 発注者側が仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」の要件を満たす請求書が必要です。 消費税法で定められた必須記載事項は次の7項目です。

本記事は一般情報の提供を目的としています。 個別の税務・会計判断は、税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
# 記載事項 記載例・補足
発行者の氏名・名称と登録番号 「山田太郎 T1234567890123」。登録番号は「T+法人番号13桁 or 個人用13桁」
取引年月日 「2026年5月31日」「2026/05/31」等。請求日ではなく取引(役務提供・商品引渡し)日
取引内容(軽減税率対象品目は明記) 「Webデザイン制作」「食料品(※軽減税率8%対象)」等。軽減税率対象品目は「※」等で識別
税率ごとに区分した対価の合計額(税抜 or 税込) 「10%対象:50,000円」「8%対象:5,000円」のように税率別に合計する
適用税率(8%・10%) 「10%」「8%(軽減)」を明記
税率ごとに区分した消費税額等 「10%消費税:5,000円」「8%消費税:400円」のように区分して記載
書類を受け取る事業者の氏名・名称 「株式会社〇〇 御中」等

出典: 国税庁「適格請求書等保存方式の概要」(2026-05-28確認)

上記に加えて、実務上は「請求書番号(通し番号)」「振込先口座情報」「振込期日」「振込手数料の負担者」も記載するのが一般的です。

インボイス登録番号がない場合(免税事業者): ①の登録番号を除いた「区分記載請求書」として発行できます。 ただし受取側は仕入税額控除の一部しか受けられません(経過措置あり。後述)。
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消費税の記載方法(10%・8%区分)

日本の消費税は標準税率10%と軽減税率8%の2段階です。 適格請求書では、それぞれの税率ごとに対価と消費税額を区分して記載することが義務づけられています。

税率区分のルール

税率 対象品目 請求書への記載方法
10%(標準税率) 一般的な商品・サービス・役務・電子サービス等 「10%対象:○○円(消費税○○円)」
8%(軽減税率) 飲食料品(外食・酒類を除く)・週2回以上発行される定期購読新聞 「8%対象:○○円(消費税○○円)※」で識別マーク必須

消費税の計算例(税込・税抜)

計算方式 税抜価格 消費税(10%) 税込価格
税抜 → 税込 50,000円 5,000円 55,000円
税込 → 税抜 45,455円(= 50,000 ÷ 1.1) 4,545円 50,000円

請求書の「合計欄」は税抜合計・消費税額・税込合計の3段構成で記載するのが最もわかりやすいです。

源泉徴収税の記載方法(個人事業主への報酬)

法人や個人事業主が個人(フリーランス・個人事業主)に特定の報酬を支払う場合、源泉徴収が必要です。 デザイン・ライティング・コンサルティング・翻訳・講演料等が主な対象です。

源泉徴収税率(2026年現在)

支払額(1回あたり) 源泉徴収税率 計算式
100万円以下の部分 10.21%(所得税10% + 復興特別所得税0.21%) 支払額 × 10.21%
100万円を超える部分 20.42%(所得税20% + 復興特別所得税0.42%) (支払額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

出典: 国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」(2026-05-28確認)

請求書への記載例(報酬100,000円の場合)

項目 金額
役務提供費(Webサイト制作) 100,000円(税抜)
消費税(10%) 10,000円
小計(税込) 110,000円
源泉徴収税(10.21%) △10,210円
差引ご請求額(お振込額) 99,790円
源泉徴収の対象となる主な報酬: 原稿料・デザイン料・翻訳料・通訳料・講演料・モデル報酬・ソフトウェア設計料・税理士・社労士・弁護士・司法書士等への報酬が対象です。 商品売買・物品販売は対象外です(国税庁 2026-05-28確認)。

2026年のインボイス制度変更点(2割特例終了・経過措置)

2026年はインボイス制度において重要な変更年です。 令和8年度税制改正により、2割特例の終了・新たな3割特例の創設・仕入税額控除の段階的引き下げが行われました。

2026年9月30日:2割特例が終了
インボイス登録をした小規模事業者向けの「2割特例」(売上税額の2割を消費税として納付できる特例)が、2026年9月30日の課税期間をもって終了しました。個人事業主の場合、2026年分(1月〜12月)が最後の適用年です。

2割特例終了後の選択肢

制度・特例 対象者 適用期間 概要
2割特例 免税事業者からのインボイス登録者 〜2026年9月30日(終了) 売上税額の20%を消費税として納付
3割特例(新設) 個人事業主のみ(法人は対象外) 2027〜2028年分(令和9・10年分) 売上税額の30%を消費税として納付
簡易課税制度 前々年売上5,000万円以下の課税事業者 選択届出後(継続) 業種別みなし仕入率(第5種:50%等)で計算
本則課税 全ての課税事業者 常時(原則的方法) 売上税額 − 仕入税額で計算

免税事業者からの仕入税額控除スケジュール(令和8年改正後)

免税事業者に発注する側(課税事業者)の仕入税額控除割合は、 以下のスケジュールで段階的に引き下げられます。

期間 仕入税額控除割合 受取側への影響
〜2026年9月30日 80%控除(経過措置・現行) 免税事業者からの仕入れでも80%の消費税額を控除可能
2026年10月〜2028年9月 70%控除(令和8年改正で新設) 控除割合が下がる → 発注側の実質コスト増
2028年10月〜2030年9月 50%控除 コスト増が拡大
2030年10月〜2031年9月 30%控除 さらに拡大
2031年10月以降 0%(控除不可) 経過措置終了。仕入税額控除なし

出典: 令和8年度税制改正大綱(財務省)・国税庁インボイス制度(2026-05-28確認)

インボイス登録を検討すべきタイミング: 2026年10月以降、免税事業者への発注者の実質負担が増すため、 取引先から登録を促されるケースが増える見込みです。 登録の是非は取引金額・業種・取引先の課税事業者比率によって異なります。 不明点は税理士または国税局のインボイス専用相談窓口にご確認ください。

電子請求書と電帳法対応(2024年義務化)

2024年1月1日以降、電子データでやり取りした請求書・領収書は電子のまま保存することが義務化されました。 電子帳簿保存法(電帳法)の改正により、メール添付のPDF・クラウドサービス上の請求書等を プリントアウトして保存する方法は原則として認められません。

電帳法における電子取引データ保存の要件

要件 概要
真実性の確保 タイムスタンプの付与 or 訂正・削除の防止に関する事務処理規程の整備 等
可視性の確保 PC・ディスプレイ・プリンタを整備し、ダウンロードに応じられる状態にすること
検索要件 「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目で検索できること(前々年売上1,000万円以下は緩和あり)

出典: 国税庁「電子帳簿等保存制度特設サイト」(2026-05-28確認)

電子請求書の送付フロー

  1. PDFまたはクラウド会計ソフトで請求書を作成・発行する
  2. メール添付またはクラウドリンクで取引先に送付する
  3. 発行した請求書の控えを電子データのままシステム or フォルダに保存する(7年間)
  4. 受取側も電子データのまま電帳法の保存要件に従って保存する
クラウド会計ソフトを使えば電帳法対応が自動化されます。 freee・マネーフォワード クラウド・弥生クラウドは電子帳簿保存法対応の保存・検索機能を標準搭載しています。 紙での管理から移行を検討している場合は、下のセクションも参考にしてください。

送付マナー(送付状・封筒・メール)

請求書の送付方法は郵送・メール・クラウド共有の3パターンが主流です。 どの方法でも「相手がすぐ確認・処理できること」を最優先に考えます。

郵送する場合

  • 封筒は角形2号(A4が折らずに入るサイズ)が基本
  • 封筒の表に「請求書在中」と朱書きまたはスタンプで明記する
  • 送付状(添え状)を同封し、請求金額・振込期日・振込先口座を簡潔に記載する
  • 大切な書類のため、簡易書留・特定記録郵便を利用するのが安心

メール送付する場合

  • 件名: 「【請求書送付】〇〇(業務名)/ 山田太郎」のように明確に
  • 本文に請求金額・振込期日・振込先口座を記載する(添付の前に目に入るよう)
  • PDFにパスワードをかける場合は、別メールまたは別手段でパスワードを通知する
  • 電帳法対応のため、送信したメールとPDFの添付ファイルを電子保存する(2024年1月〜義務)

送付状のポイント

送付状(添え状)に記載すべき内容は以下の通りです。

  • 日付・宛先(会社名・部署名・担当者名)
  • 発行者情報(氏名・会社名・連絡先)
  • 標題(「請求書送付のご案内」等)
  • 請求金額・振込期日・振込先口座(簡潔に)
  • 「ご査収のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」等の一文
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クラウド会計ソフトで請求書管理を自動化する

請求書の作成・送付・保存・支払管理を手動で行うと、ミス・漏れ・法令違反のリスクが生じます。 クラウド会計ソフトを使えば、インボイス対応・電帳法対応・消費税計算が自動化されます。

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上記はいずれもインボイス制度(適格請求書)・電子帳簿保存法(電帳法)に対応しています。 無料トライアルがあるため、まず試してみることをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

請求書に必ず書かなければならない項目は何ですか?
適格請求書(インボイス)の必須記載事項は消費税法で7項目定められています。①発行事業者の氏名・名称と登録番号(T+13桁)、②取引年月日、③取引内容(軽減税率対象品目は「※」等で明記)、④税率ごとに区分した対価の合計額(税抜または税込)、⑤適用税率(8%・10%)、⑥税率ごとに区分した消費税額等、⑦書類を受け取る事業者の氏名・名称の7つです。インボイス登録番号がない場合は①を除いた「区分記載請求書」として発行できます(経過措置あり)(国税庁 2026-05-28確認)。
源泉徴収税は誰が払いますか?請求書にどう書けばよいですか?
源泉徴収税は支払者(発注者・法人等)が報酬から天引きして納付します。受注者(フリーランス・個人事業主)は差し引かれた額を受け取ります。請求書には「源泉徴収税(10.21%):○○円」「差引支払額:○○円」のように記載するのが一般的です。100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%が適用されます(国税庁 No.2792 2026-05-28確認)。源泉徴収税の正確な計算はkeisan-navi 所得税計算ツールでご確認ください(2026-05-28確認)。
インボイス登録番号がない場合(免税事業者)でも請求書を送れますか?
はい、請求書の発行自体は可能です。ただし、発行した請求書は「適格請求書(インボイス)」ではなく「区分記載請求書」として扱われます。受取側(発注者)は仕入税額控除の全額を受けられません。経過措置として2026年9月30日までは免税事業者からの仕入れで80%控除可能ですが、2026年10月以降は70%に引き下げられます(令和8年改正)。登録番号の取得は国税庁インボイス公表サイトで確認できます(2026-05-28確認)。
2割特例はいつ終わりましたか?
2割特例(小規模事業者の消費税負担軽減措置)は2026年9月30日に終了しました。対象は免税事業者からインボイス登録をした小規模事業者で、売上税額の2割を納付できる措置でした。終了後は、個人事業主を対象に「3割特例」(2027〜2028年分)が創設されています。法人は3割特例の対象外です(令和8年改正・2026-05-28確認)。
消費税の記載方法(10%・8%区分)がわかりません。
適格請求書では税率ごとに対価と消費税額を区分して記載することが必要です。例えば「10%対象:商品A 10,000円(消費税1,000円)」「8%対象:食品B 5,000円(消費税400円)」のように記載します。10%は標準税率、8%は軽減税率(飲食料品・新聞等)が対象です。消費税額の計算はkeisan-navi 消費税計算ツールでできます(2026-05-28確認)。
請求書をPDFでメール送信するだけで大丈夫ですか?
電子データでの送付は認められていますが、保存ルールに注意が必要です。2024年1月1日以降、電子でやり取りした請求書・領収書等は「電子帳簿保存法(電帳法)」により電子データのまま保存することが義務化されています。紙に印刷した保存は原則不可です。送信側(発行者)も電子発行した請求書の控えを電子保存する必要があります(国税庁 電子帳簿保存法特設サイト 2026-05-28確認)。
請求書に通し番号は必要ですか?
法律上の義務はありませんが、管理上は必須です。「請求書番号」「INV-2026-001」のような通し番号を付けることで、発行記録の追跡・重複防止・会計ソフトとの連携が容易になります。クラウド会計ソフト(freee・マネーフォワード等)は自動で通し番号を付与します。
請求書の保存期間はどのくらいですか?
発行者・受取者ともに7年間の保存が義務づけられています。所得税法(青色申告)・消費税法・電子帳簿保存法のいずれも7年間保存が必要です。個人事業主で白色申告の場合も5年間(一部は7年間)の保存が必要です。2024年1月以降、電子でやり取りした請求書は電子データで保存することが原則義務です(国税庁 2026-05-28確認)。
請求書と領収書の違いは何ですか?
請求書は「代金の支払いを求める書類」、領収書は「代金の受取を証明する書類」です。請求書は入金前に発行し、領収書は入金後に発行するのが一般的です。どちらもインボイス制度の対象になり得ますが、領収書に登録番号を記載した場合は「適格簡易請求書」として扱われます。テンプレートは請求書テンプレート(無料)からダウンロードできます。
請求書の送付状(添え状)は必要ですか?
法律上の義務はありませんが、ビジネスマナーとして添付を推奨します。送付状には「請求書在中・請求金額・対象期間・振込期日・振込先口座」を簡潔に記載します。メール送付の場合は本文に同等の情報を記載することで代用できます。送付状のテンプレートは送付状テンプレート(無料)からダウンロードできます。