請求書に必要な記載項目(適格請求書6項目)

インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入以降、 発注者側が仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(インボイス)」の要件を満たす請求書が必要です。 消費税法57条の4第1項で定められた記載事項は次の6項目です。

本記事は一般情報の提供を目的としています。 個別の税務・会計判断は、税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。
# 記載事項 記載例・補足
① 発行者の氏名・名称と登録番号 「山田太郎 T1234567890123」。法人番号を持つ課税事業者は「T+法人番号」、個人事業者などはマイナンバーを使わない「T+13桁」(インボイスQ&A 問18)
② 取引年月日 「2026年5月31日」「2026/05/31」等。請求日ではなく取引(役務提供・商品引渡し)日
③ 取引内容(軽減税率対象品目は明記) 「Webデザイン制作」「食料品(※軽減税率8%対象)」等。軽減税率対象品目は「※」等で識別
④ 税率ごとに区分した対価の合計額(税抜 or 税込)と適用税率(8%・10%) 「10%対象:50,000円」「8%(軽減)対象:5,000円」のように税率別に合計し、税率も書く
⑤ 税率ごとに区分した消費税額等 「10%消費税:5,000円」「8%消費税:400円」のように区分して記載
⑥ 書類を受け取る事業者の氏名・名称 「株式会社〇〇 御中」等

出典: 国税庁 特集 インボイス制度(2026-05-28確認)

上記に加えて、実務上は「請求書番号(通し番号)」「振込先口座情報」「振込期日」「振込手数料の負担者」も記載するのが一般的です。

登録を受けていない免税事業者: 請求書は出せますが、登録番号は書けません(消費税法57条の5)。 取引先の仕入税額控除は、経過措置の割合までになります(後述)。
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消費税の記載方法(10%・8%区分)

日本の消費税は標準税率10%と軽減税率8%の2段階です。 適格請求書では、それぞれの税率ごとに対価と消費税額を区分して記載することが義務づけられています。

税率区分のルール

税率 対象品目 請求書への記載方法
10%(標準税率) 一般的な商品・サービス・役務・電子サービス等 「10%対象:○○円(消費税○○円)」
8%(軽減税率) 飲食料品(外食・酒類を除く)・週2回以上発行される定期購読新聞 「8%対象:○○円(消費税○○円)※」で識別マーク必須

消費税の計算例(税込・税抜)

計算方式 税抜価格 消費税(10%) 税込価格
税抜 → 税込 50,000円 5,000円 55,000円
税込 → 税抜 45,455円(= 50,000 ÷ 1.1) 4,545円 50,000円

請求書の「合計欄」は税抜合計・消費税額・税込合計の3段構成で記載するのが最もわかりやすいです。

源泉徴収税の記載方法(個人事業主への報酬)

個人(フリーランス・個人事業主)に特定の報酬を支払う場合は、支払う側が源泉徴収をします。(所得税法204条) 原稿料・デザイン料・翻訳料・講演料などが主な対象です。

源泉徴収税率(2026年現在)

支払額(1回あたり) 源泉徴収税率 計算式
100万円以下の部分 10.21%(所得税10% + 復興特別所得税0.21%) 支払額 × 10.21%
100万円を超える部分 20.42%(所得税20% + 復興特別所得税0.42%) (支払額 − 100万円)× 20.42% + 102,100円

出典: 国税庁「No.2795 報酬・料金等に係る源泉徴収税額の計算方法」・国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」(2026-10-12確認)

請求書への記載例(報酬100,000円の場合)

項目 金額
役務提供費(Webサイト制作) 100,000円(税抜)
消費税(10%) 10,000円
小計(税込) 110,000円
源泉徴収税(10.21%) △10,210円
差引ご請求額(お振込額) 99,790円
源泉徴収の対象となる主な報酬: 原稿料・デザイン料・翻訳料・通訳料・講演料・モデル報酬のほか、弁護士・税理士・社会保険労務士・司法書士などへの報酬が対象です(所得税法204条1項、同施行令320条)。 プログラミング・システム開発は、条文に挙がっていないので、対象ではありません(2026-10-12確認)。

2026年のインボイス制度変更点(2割特例終了・経過措置)

2026年は、2割特例が最後の年になり、登録していない人からの仕入れの仕入税額控除の割合が下がり始める年です。 2027年分・2028年分には、個人事業者向けの3割特例があります(令和8年度税制改正)。

2割特例は「2026年9月30日を含む課税期間」まで
インボイス登録をした小規模事業者向けの「2割特例」(売上税額の2割を消費税として納付できる特例)は、2026年9月30日を含む課税期間までで終わります。9月30日で使えなくなるわけではありません。個人事業主は課税期間が暦年なので、2026年分(1月〜12月)が最後の適用年です。法人は2026年9月30日を含む事業年度が最後です。

2割特例終了後の選択肢

制度・特例 対象者 適用期間 概要
2割特例 免税事業者からのインボイス登録者 2026年9月30日を含む課税期間まで 売上税額の20%を消費税として納付
3割特例(新設) 個人事業主のみ(法人は対象外) 2027〜2028年分(令和9・10年分) 売上税額の30%を消費税として納付
本則課税 全ての課税事業者 常時(原則的方法) 売上税額 − 仕入税額で計算

免税事業者からの仕入税額控除スケジュール(令和8年改正後)

免税事業者に発注する側(課税事業者)の仕入税額控除割合は、 以下のスケジュールで段階的に引き下げられます。

期間 仕入税額控除割合 受取側への影響
〜2026年9月30日 80%控除(経過措置・現行) 免税事業者からの仕入れでも80%の消費税額を控除可能
2026年10月〜2028年9月 70%控除 控除割合が下がる → 発注側の実質コスト増
2028年10月〜2030年9月 50%控除 コスト増が拡大
2030年10月〜2031年9月 30%控除 さらに拡大
2031年10月以降 0%(控除不可) 経過措置終了。仕入税額控除なし

出典: 国税庁 インボイスQ&A 問113(2026-10-12確認)。一の免税事業者等からの課税仕入れの合計額が、令和8年10月1日以後に開始する課税期間は税込1億円を超える部分には、この経過措置を使えません。

登録を検討するとき: 登録の是非は、取引金額・業種・取引先の課税事業者の割合によって異なります。 不明点は税理士または税務署にご確認ください。

電子請求書と電帳法対応(2024年1月以後の電子取引は電子データを保存)

2024年1月1日以降に電子データでやり取りした請求書・領収書は、電子データそのものを保存します(電子帳簿保存法7条)。 電子データを出力した書面で保存する措置は令和4年1月1日以後の電子取引について廃止され、令和5年12月31日までは宥恕措置で事実上認められていました。2024年1月以後の猶予措置の対象でも、出力書面だけの保存は認められていません(国税庁 電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係〕(PDF) 2026-10-10確認)。

電帳法における電子取引データ保存の要件

要件 概要
真実性の確保 次のいずれかの措置を行います(規則4条1項)。①タイムスタンプが付された後に授受する。②速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す。③データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム、又は訂正削除ができないシステムを利用して、授受と保存を行う。④訂正削除の防止に関する事務処理規程を定め、備付け、運用する
可視性の確保 見読可能装置の備付け等です(規則2条2項2号)。電子計算機、プログラム、ディスプレイ、プリンタの備付けも、保存時に満たす要件に含まれます。自社開発のプログラムを使う場合は、電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付けも要ります
検索機能の確保 検索できる状態で保存します(規則2条6項5号)。個人事業者は電子取引が行われた日の属する年の前々年の売上高が、法人は前々事業年度の売上高が5,000万円以下の場合、又は電磁的記録を出力した書面を取引年月日その他の日付及び取引先ごとに整理して提示・提出できる場合は、検索機能の確保は不要です(どちらも、税務調査の際にダウンロードの求めに応じられる必要があります)

出典: 国税庁 電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係〕(PDF) 問18・問21・問30(2026-10-10確認)

電子請求書の送付フロー

  1. PDFまたはクラウド会計ソフトで請求書を作成・発行する
  2. メール添付またはクラウドリンクで取引先に送付する
  3. 発行した請求書の控えを電子データのままシステム or フォルダに保存する(個人事業主は5年間。法人と、適格請求書を交付した登録事業者は7年間)
  4. 受取側も電子データのまま電帳法の保存要件に従って保存する
電子データを保存する方法は、使う道具によって違います。 会計ソフトに取り込む場合は、そのソフトの電子取引データの保存の説明を確かめてください。

送付マナー(送付状・封筒・メール)

請求書の送付方法は郵送・メール・クラウド共有の3パターンが主流です。 どの方法でも「相手がすぐ確認・処理できること」を最優先に考えます。

郵送する場合

  • 封筒は角形2号(A4が折らずに入るサイズ)が基本
  • 封筒の表に「請求書在中」と朱書きまたはスタンプで明記する
  • 送付状(添え状)を同封し、請求金額・振込期日・振込先口座を簡潔に記載する
  • 大切な書類のため、簡易書留・特定記録郵便を利用するのが安心

メール送付する場合

  • 件名: 「【請求書送付】〇〇(業務名)/ 山田太郎」のように明確に
  • 本文に請求金額・振込期日・振込先口座を記載する(添付の前に目に入るよう)
  • PDFにパスワードをかける場合は、別メールまたは別手段でパスワードを通知する
  • 電帳法対応のため、送信したメールとPDFの添付ファイル(電子取引のデータ)を電子データのまま保存する(電子データを出力した書面で保存する措置は令和4年1月1日以後の電子取引について廃止)

送付状のポイント

送付状(添え状)に記載すべき内容は以下の通りです。

  • 日付・宛先(会社名・部署名・担当者名)
  • 発行者情報(氏名・会社名・連絡先)
  • 標題(「請求書送付のご案内」等)
  • 請求金額・振込期日・振込先口座(簡潔に)
  • 「ご査収のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」等の一文
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よくある質問(FAQ)

請求書に必ず書かなければならない項目は何ですか?
適格請求書(インボイス)の記載事項は消費税法57条の4第1項で6項目定められています。①発行事業者の氏名・名称と登録番号(T+13桁)、②取引年月日、③取引内容(軽減税率対象品目は「※」等で明記)、④税率ごとに区分した対価の合計額(税抜または税込)と適用税率(8%・10%)、⑤税率ごとに区分した消費税額等、⑥書類を受け取る事業者の氏名・名称の6つです。登録を受けていない人は、適格請求書を交付できません。登録番号は書かず、請求書として出します(消費税法57条の5)(国税庁 No.6625 適格請求書等の記載事項 2026-10-07確認)。
源泉徴収税は誰が払いますか?請求書にどう書けばよいですか?
源泉徴収税は、報酬を支払う側が差し引いて納めます。受注者(フリーランス・個人事業主)は、差し引かれた額を受け取ります。請求書には「源泉徴収税(10.21%):○○円」「差引支払額:○○円」のように書きます。1回の支払が100万円以下の部分は10.21%、100万円を超える部分は20.42%です。請求書で報酬の金額と消費税額が分けて書かれているときは、報酬の金額だけに税率を掛けます(国税庁 No.2795 2026-10-12確認)。源泉徴収の対象になる報酬は、所得税法204条1項に挙がっています。
インボイス登録番号がない場合(免税事業者)でも請求書を送れますか?
はい、請求書は出せます。ただし適格請求書(インボイス)ではないので、登録番号は書けません(消費税法57条の5)。取引先の仕入税額控除は、経過措置で、2026年9月30日までは80%、2026年10月1日から2028年9月30日までは70%、2030年9月30日までは50%、2031年9月30日までは30%、そのあとは0%です(国税庁 インボイスQ&A 問113 2026-10-12確認)。登録番号は国税庁インボイス公表サイトで確認できます(2026-05-28確認)。
2割特例はいつ終わりますか?
2割特例(小規模事業者の消費税負担軽減措置)の適用対象期間は2026年9月30日を含む課税期間までです。個人事業主は令和8年(2026年)分(1〜12月)が最後の適用年になります。対象は免税事業者からインボイス登録をした小規模事業者で、売上税額の2割を納付できる措置でした。終了後は、個人事業者を対象に「3割特例」が設けられました。令和9年分・令和10年分(2027年分・2028年分)の消費税の確定申告で、納付税額を売上税額の3割にできます。基準期間(2年前)の課税売上高が1,000万円以下であることなどが要件で、法人は対象外です(国税庁 インボイス制度の見直し 2026-10-12確認)。
消費税の記載方法(10%・8%区分)がわかりません。
適格請求書では税率ごとに対価と消費税額を区分して記載することが必要です。例えば「10%対象:商品A 10,000円(消費税1,000円)」「8%対象:食品B 5,000円(消費税400円)」のように記載します。10%は標準税率、8%は軽減税率(飲食料品・新聞等)が対象です。
請求書をPDFでメール送信するだけで大丈夫ですか?
電子データでの送付は認められていますが、保存ルールに注意が必要です。電子でやり取りした請求書・領収書等(電子取引のデータ)は、「電子帳簿保存法(電帳法)」により電子データのまま保存します。電子データを出力した書面で保存する措置は令和4年1月1日以後の電子取引について廃止され(令和5年12月31日までは宥恕措置で事実上認められていました)、2024年(令和6年)1月以後は相当の理由がある場合の猶予措置がありますが、その場合も出力書面だけの保存は認められていません(国税庁 電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係〕(PDF) 2026-10-10確認)。送信側(発行者)も電子発行した請求書の控えを電子保存する必要があります(国税庁 電子帳簿保存法特設サイト 2026-05-28確認)。
請求書に通し番号は必要ですか?
法律上の義務はありませんが、管理上は必須です。「請求書番号」「INV-2026-001」のような通し番号を付けることで、発行記録の追跡・重複防止・会計ソフトとの連携が容易になります。
請求書の保存期間はどのくらいですか?
保存期間は事業形態によって異なります。青色申告法人は法人税法施行規則59条により、取引に関して受け取った書類と自分で作った書類の写しを、起算日から7年間保存する義務があります。個人事業主(青色申告・白色申告とも)は所得税法上、請求書は原則5年間の保存で足ります(帳簿や決算書類は7年間ですが、請求書のような取引書類は所得税法施行規則63条・102条により5年間です)。ただしインボイス発行事業者(消費税の課税事業者)の場合は、消費税法上、交付した適格請求書の写しを7年間保存する義務があります(消費税法施行令70条の13)。電子でやり取りした請求書は、電子データそのものを保存します。電子データを出力した書面で保存する措置は令和4年1月1日以後の電子取引について廃止されており、要件に従って保存できない相当の理由がある場合の猶予措置でも、出力書面だけの保存は認められていません(国税庁 電子帳簿保存法一問一答〔電子取引関係〕(PDF) 2026-10-12確認)。
請求書と領収書の違いは何ですか?
請求書は「代金の支払いを求める書類」、領収書は「代金の受取を証明する書類」です。請求書は入金前に発行し、領収書は入金後に発行するのが一般的です。どちらもインボイス(適格請求書)になり得ますが、登録番号を書いただけでは「適格簡易請求書」にはなりません。適格簡易請求書は、適格請求書発行事業者が、小売業・飲食店業・タクシー・駐車場業など政令で定める事業(消費税法施行令第70条の11)で交付し、消費税法第57条の4第2項の記載事項(発行者の氏名又は名称及び登録番号・取引の年月日・内容・税率ごとの合計額・消費税額等か適用税率)をそろえたものです。詳しくは領収書テンプレートのインボイスの節にあります。テンプレートは請求書テンプレート(無料)からダウンロードできます。
請求書の送付状(添え状)は必要ですか?
法律上の義務はありませんが、ビジネスマナーとして添付を推奨します。送付状には「請求書在中・請求金額・対象期間・振込期日・振込先口座」を簡潔に記載します。メール送付の場合は本文に同等の情報を記載することで代用できます。送付状のテンプレートは送付状テンプレート(無料)からダウンロードできます。