年末調整とは・対象者(誰が何のためにやるのか)

年末調整とは、会社が従業員に代わって所得税の正確な年税額を計算し直す手続きです。 毎月の給与から天引きされる源泉徴収税は「概算」であるため、 年間の正確な所得・控除を反映した「本来の税額」との差額を精算します。 この記事の「2026」は、2026年12月に行う年末調整(令和8年分)のことです。

本記事は一般情報の提供を目的としています。 個別の税務・申告判断は、税理士・公認会計士等の専門家にご確認ください。 一次ソース: 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(2026-10-11確認)

年末調整の対象者

区分 年末調整の対象
給与所得者(会社員・パート・アルバイト含む) 扶養控除等(異動)申告書を提出していて、1年を通じて勤務している人は対象
中途採用者(年内に入社した場合) 年の中途で就職し年末まで勤務していれば対象。前職の給与は前職の源泉徴収票で確認するため、提出が必要(確認できないと年末調整できず、確定申告になる)
年の中途で退職した人 原則として年末調整の対象外(確定申告で精算)。ただし、死亡退職・著しい心身の障害による退職・12月支給分の給与を受けた後の退職・パート等で年間の給与総額が136万円以下の退職などは、年の中途でも年末調整を行う
1年間の給与総額が2,000万円を超える人 12月に行う年末調整の対象外。確定申告が必須
複数の会社から給与を受けている人 扶養控除等申告書を提出している主たる給与の勤務先のみで年末調整。従たる給与の分は確定申告で精算

出典: 国税庁「No.2665 年末調整の対象となる人」・「No.2674 中途就職者の年末調整」(2026-10-11確認)

年末調整をすることで何が変わるか

  • 保険料控除・配偶者控除・住宅ローン控除など、毎月の源泉徴収では反映されない控除が適用される
  • 過剰に天引きされていた税額が「還付金」として、年末調整を行った月(通常は12月)の給与に反映される(国税庁 No.2675)
  • 年末調整が完了すると、年が明けてから「源泉徴収票」が交付される

令和8年分の主要変更点(基礎控除104万円・給与所得控除74万円・178万円の壁)

令和8年分(2026年の所得にかかる税)の年末調整では、基礎控除と給与所得控除の最低保障額がさらに引き上げられます。 令和7年分の「160万円の壁」は、令和8年分・令和9年分では178万円の壁になります。 令和7年分の数値が残っている古い解説と混ざらないよう、ここでは令和8年分を主にして、令和7年分は「参考」として並べます。

年分の取り違えに注意: 令和8年12月に行う年末調整は令和8年分です。 基礎控除は最大104万円、給与所得控除の最低保障額は74万円で、給与収入のみの人の課税最低限は178万円です(令和8年分・令和9年分)。 令和7年分は基礎控除最大95万円・最低保障65万円で160万円でした。 施行は令和8年12月1日で、令和8年11月までの源泉徴収事務に変更はなく、令和8年12月に行う年末調整で精算します。 出典: 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(2026-10-11確認)

変更点①: 基礎控除の引き上げ(合計所得金額に応じた段階制)

令和8年分・令和9年分の基礎控除は、合計所得金額489万円以下の人は一律104万円、 489万円超655万円以下は67万円、655万円超2,350万円以下は62万円です。 令和7年分は、所得が低い人ほど手厚い3段階(95万・88万・68万円)に分かれていました。

合計所得金額 令和8年分の基礎控除額 令和7年分(参考)
132万円以下 104万円 95万円
132万円超 336万円以下 104万円 88万円
336万円超 489万円以下 104万円 68万円
489万円超 655万円以下 67万円 63万円
655万円超 2,350万円以下 62万円 58万円
2,350万円超 2,400万円以下 48万円 48万円
2,400万円超 2,450万円以下 32万円 32万円
2,450万円超 2,500万円以下 16万円 16万円
2,500万円超 0円 0円

出典: 国税庁「No.1199 基礎控除」(令和8年4月1日現在法令等・2026-10-11確認)。非居住者は令和8年分以後、62万円が最高額です(同ページの注)。

令和10年分以後: 基礎控除は合計所得132万円以下で99万円、それ以外(2,350万円以下)は62万円になります。 給与所得控除は「収入×30%+8万円(69万円未満なら69万円)」に変わるため、最低保障額は69万円です。 給与収入のみの人の課税最低限は、99万円+69万円の168万円です(一次情報の控除額から計算した値)。

変更点②: 給与所得控除の最低保障額引き上げ(65万円 → 74万円)

給与所得控除の最低保障額が、65万円から74万円に9万円引き上げられます。 この74万円が適用される範囲も、給与収入190万円以下から220万円以下に広がります。

項目 令和8年分・令和9年分 令和7年分(参考)
給与所得控除・最低保障額 74万円(給与収入220万円以下) 65万円(給与収入190万円以下)
所得税がかからない給与収入の目安(給与収入のみの場合) 178万円の壁(= 104万円 + 74万円) 160万円の壁(= 95万 + 65万)

出典: 国税庁「No.1410 給与所得控除」・「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」(2026-10-11確認)。178万円は基礎控除と最低保障額の合計で、社会保険の「106万円・130万円」とは別の基準です。

変更点③: 特定親族特別控除の対象範囲(令和8年分は62万円超〜123万円以下)

「特定親族特別控除」は令和7年分に新設された控除です。 19歳以上23歳未満の親族で、合計所得金額が令和8年分は62万円超123万円以下の場合に適用されます(令和7年分は58万円超123万円以下)。 上限は同じ123万円ですが、給与収入に直すと188万円以下から197万円以下に動きます(給与所得控除が65万円から74万円になるため)。

特定親族の合計所得金額 控除額(最高63万円)
62万円超 85万円以下 63万円
85万円超 90万円以下 61万円
90万円超 95万円以下 51万円
95万円超 100万円以下 41万円
100万円超 105万円以下 31万円
105万円超 110万円以下 21万円
110万円超 115万円以下 11万円
115万円超 120万円以下 6万円
120万円超 123万円以下 3万円
123万円超 0円(適用外)

出典: 国税庁「No.1177 特定親族特別控除」(令和8年12月1日以後に支払う給与等・令和8年分以後の年末調整から。2026-10-11確認)

特定親族特別控除は「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の様式に統合されています。 大学生のアルバイト収入が扶養の範囲(62万円以下・給与収入のみなら136万円以下)を超えても、123万円(給与収入197万円)以下なら親が控除を受けられます。

変更点④: 扶養親族の所得要件変更

区分 令和8年分の要件 令和7年分(参考)
扶養親族・同一生計配偶者 合計所得金額62万円以下(給与収入のみなら136万円以下) 58万円以下(給与収入123万円以下)
配偶者特別控除の対象 配偶者の合計所得金額 62万円超133万円以下(給与収入のみなら136万円超207万円以下) 58万円超133万円以下
勤労学生 合計所得金額89万円以下(給与収入のみなら163万円以下) 85万円以下(給与収入150万円以下)

出典: 国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」・No.1180・No.1175(2026-10-11確認)。この改正は令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用され、新たに要件を満たす親族は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。

タイムライン(11月書類配布 〜 翌年1月源泉徴収票交付)

令和8年分(2026年の所得)の年末調整は、以下の流れで進みます。 従業員側の期限は11月〜12月上旬に設定されることが多く、実際の期限は勤務先の案内に従います。 基礎控除などの改正は令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用されます。

時期 誰が 何をするか
10月下旬〜11月上旬 会社(給与担当) 年末調整の申告書類を従業員に配布・案内
11月〜12月上旬 従業員 申告書4種に必要事項を記入・控除証明書を添付して提出(令和9年分の扶養控除等申告書もこの時期に出すのが一般的)
12月中旬 会社(給与担当) 令和8年分の控除額で年末調整計算・年税額の確定・過不足額の算出
12月給与支給日 会社→従業員 還付金を12月給与に反映(または不足額を徴収)
年が明けてから 会社→従業員 源泉徴収票の交付
年が明けてから 会社→税務署 源泉徴収票(一定基準以上)・法定調書の提出
翌年6月 市区町村→従業員 住民税決定通知書の送付(年末調整の結果が住民税に反映)
会社によって申告書の提出期限・還付の支払時期は異なります。 年末調整の過不足は、年末調整を行った月(通常は12月)の給与で精算されます。 不足額が大きいときは、一定の条件のもとで翌年1月・2月に分けて徴収する扱いもあります(国税庁 No.2675 2026-10-11確認)。 期限は必ず勤務先から案内される書類を確認してください。

提出書類4種の書き方(令和8年分・様式改訂対応)

令和8年分の年末調整でも、申告書は令和8年分の様式を使います。 「基礎控除申告書」は4控除を1枚に統合した様式で、基礎控除額の判定欄は令和8年分の金額(104万円・67万円・62万円・48万・32万・16万円)に変わっています。

書類① 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書

給与収入を受けているすべての人が提出します。 扶養家族の有無にかかわらず、主たる勤務先1社に提出が必要です。

  • 配偶者・親族の氏名・続柄・生年月日・合計所得見積額を記入
  • 扶養親族の所得要件は令和8年分から「62万円以下」(令和7年分は58万円以下)。新たに要件を満たす親族がいる場合は異動申告書で届け出る
  • 障害者・寡婦・ひとり親・勤労学生の各該当欄への記入
  • 年内に異動(扶養の増減・婚姻・離婚等)があった場合は異動事項欄に記入
  • 令和8年12月の年末調整の時期には、翌年(令和9年)の毎月の源泉徴収に使う令和9年分の扶養控除等(異動)申告書も別に提出する

書類② 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

4つの控除を1枚にまとめた統合様式です。 合計所得金額が2,500万円以下の人が基礎控除を受けるために提出します(給与の総額が2,000万円を超える人は年末調整の対象外です)。

記入セクション 対象・記入内容
基礎控除 合計所得金額の見積額を計算し、その金額に当てはまる「判定」欄にチェックして、控除額(104万円・67万円・62万円・48万円・32万円・16万円のいずれか)を「基礎控除の額」欄に記入する
配偶者控除等 配偶者の氏名・個人番号・合計所得金額を記入。判定が(A)〜(C)に当たる人は「区分Ⅰ」欄に区分(A〜C)も記入する。控除額は本人と配偶者の所得の組み合わせで決まる
特定親族特別控除 19歳以上23歳未満で、所得62万円超〜123万円以下の親族がいる場合に記入
所得金額調整控除 給与収入850万円超で、本人が特別障害者、または同一生計の特別障害者・23歳未満の扶養親族がいる場合に記入
合計所得見積額の計算: 給与収入のみの場合は「給与収入 − 給与所得控除」が合計所得の概算になります。 給与所得控除は収入に応じた計算式で、年収300万円なら「収入×30%+8万円=98万円」です。 このとき合計所得は約202万円になります(国税庁の記載要領の計算式でも、給与収入300万円の給与所得は2,020,000円)。 年収が220万円以下なら給与所得控除は最低保障の74万円です。 出典: 国税庁 No.1410・令和8年分 基礎控除申告書(記載要領)(2026-10-11確認)

書類③ 給与所得者の保険料控除申告書

生命保険料控除・地震保険料控除・社会保険料控除・小規模企業共済等掛金控除を申告します。

  • 生命保険料控除: 一般生命保険・介護医療保険・個人年金保険の3区分で、合計最大12万円(各区分最大4万円)。 令和8年分・令和9年分に限り、23歳未満の扶養親族がいる人は、新制度の一般生命保険料だけ上限が6万円に上がります(3区分の合計は12万円のまま)。 保険会社から届く控除証明書またはマイナポータル連携で取得したデータを使う (国税庁 No.1140 2026-10-11確認)
  • 地震保険料控除: 地震保険料は支払額の全額(上限5万円)が所得税の控除になります。 旧長期損害保険料は、支払額が1万円以下なら全額、1万円超2万円以下なら「支払額×1/2+5,000円」、2万円超なら一律15,000円です。 地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合は、合計で最高5万円 (国税庁 No.1145 2026-10-11確認)
  • 社会保険料控除: 国民健康保険料・国民年金保険料等を自分で支払った場合に記入。 国民年金は日本年金機構から控除証明書が届くので添付
  • 小規模企業共済等掛金控除: iDeCo(個人型確定拠出年金)・企業型DCの掛金も含む。 証明書を添付

書類④ 住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除・2年目以降)

住宅ローン控除は初年度のみ確定申告が必須で、2年目以降は年末調整で申請できます。

  • 確定申告をした後、税務署から送られてくる「住宅借入金等特別控除申告書」(控除を受けることとなる各年分)を使用
  • 住宅借入金等特別控除証明書(税務署から届く)を添付。金融機関が税務署へ年末残高を提出する「調書方式」の場合は、年末残高等証明書の添付は不要です。調書方式でない「証明書方式」の場合は、金融機関から届く「年末残高等証明書」(またはマイナポータル連携のデータ)も添付する
  • 所得税で控除しきれない分は、翌年度の住民税から控除できる場合があります(住民税の取り扱いは市区町村に確認)

参照: 国税庁「各種申告書・記載例(扶養控除等申告書など)」・国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」(2026-10-11確認)

電子化手順(マイナポータル連携・控除証明書のデジタル取得・XML)

国税庁は、控除証明書等をデータ(XML形式)で取得して年末調整に使う方法を用意しています。 マイナポータル連携でデータを取得し、国税庁の無料ソフト「年調ソフト」(令和8年分の正式版は2026年10月1日公開)や勤務先の年末調整ソフトに取り込むと、 紙の証明書の紛失や転記ミスを減らせます。

マイナポータル連携でできること

  • 生命保険料控除証明書(各生命保険会社)
  • 地震保険料控除証明書
  • 国民年金保険料の控除証明書(日本年金機構)。ねんきんネットの事前利用手続が10月中旬までに必要
  • 国民年金基金の掛金
  • 小規模企業共済・iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金
  • 住宅借入金等の年末残高等証明書・住宅借入金等特別控除証明書(データでの交付を希望した人。例年10月下旬ごろから)

マイナポータル連携の手順(従業員側)

  1. 事前準備をする
    マイナンバーカードと、そのパスワード(利用者証明用の数字4桁、署名用の英数字6〜16桁)を用意。 カードを読み取れるスマートフォン、またはICカードリーダを接続したパソコンで、マイナポータルの「年末調整の事前準備」に沿って設定します。 家族分のデータを取得する場合は、代理人登録も必要です。
  2. 控除証明書等データを取得する
    マイナポータル連携で、保険会社・金融機関・日本年金機構などの控除証明書等データを取得します。 国民年金保険料は、ねんきんネットの事前利用手続(10月中旬まで)をしておきます。
  3. 年調ソフトまたは勤務先のソフトにデータを取り込む
    国税庁の「年調ソフト」(無料)か、勤務先が用意した年末調整ソフトに控除証明書等データを取り込み、画面の案内に沿って申告書データを作成します。
  4. 申告書データと控除証明書等データを勤務先に提供する
    作成した申告書データと控除証明書等データを勤務先に渡します。 勤務先の給与システムがデータの取り込みに対応している必要があるため、提供方法は勤務先の案内に従ってください。
対応している保険会社・金融機関の範囲はマイナポータルや各社の案内で確認してください。 連携に対応していない会社の控除証明書や、勤務先がデータでの受け取りに対応していない場合は、従来どおり紙の申告書・控除証明書での提出になります。 手順の詳細は国税庁の年調ソフトのページと操作マニュアルを確認してください。

出典: 国税庁「マイナポータルと連携した年末調整手続」・「年末調整手続の電子化に向けた取組」(2026-10-11確認)

よくあるミス10選(年末調整の失敗パターン)

年末調整で多くの人が犯すミスとその対処法をまとめました。 提出前にこのリストで確認しましょう。

# ミスの内容 対処法・注意点
1 配偶者控除と配偶者特別控除の取り違え 令和8年分は、配偶者の所得が62万円以下なら配偶者控除、62万円超133万円以下なら配偶者特別控除(段階的)。令和7年分の「58万円」で判断しないよう注意
2 扶養親族の所得要件の誤解(令和7年分の数値で記入) 令和8年分は「62万円以下」(給与収入136万円以下)。令和7年分の「58万円・123万円」や、改正前の「48万円・103万円」で判断しない
3 生命保険料控除証明書の添付漏れ 証明書がないと控除が受けられない。紛失した場合は保険会社に再発行を依頼(またはマイナポータル連携でデータ取得)
4 社会保険料控除の記入漏れ(国民年金・国民健康保険) 自分で支払った国民年金・国民健康保険は保険料控除申告書の社会保険料欄に記入。証明書(国民年金は年金機構から届く)を添付
5 住宅ローン控除の書類紛失・未提出 申告書と控除証明書の両方が必要。年末残高等証明書は証明書方式の場合のみ必要(調書方式は不要)。紛失は税務署(申告書・控除証明書の再交付)・金融機関(残高証明)に依頼。マイナポータル連携も活用可
6 副業収入の申告漏れ(確定申告との混同) 副業の所得(収入−経費)が20万円超なら、年末調整とは別に確定申告が必須。「年末調整したから確定申告不要」は誤り
7 配偶者の年収見積額の過小・過大記入 配偶者の年収が確定前に提出する場合は見込み額で申告。確定後に差異が大きければ確定申告で訂正
8 扶養控除等申告書の未提出(2社目への提出) 申告書は主たる勤務先1社のみに提出。2か所以上で提出すると「二重申告」になる
9 個人番号(マイナンバー)の記入漏れ 申告書には、本人・配偶者・扶養親族などの個人番号(マイナンバー)を記載する欄がある。一定の要件のもとで記載が不要になる場合があるので、勤務先に確認する(令和8年分の扶養控除等申告書の記載要領)
10 特定親族特別控除の記入漏れ 19〜22歳の子・親族のアルバイト収入が扶養の範囲(令和8年分は所得62万円・給与収入136万円)を超えても、123万円(給与収入197万円)以下なら特定親族特別控除(最高63万円)が使える。扶養から外れたと思い込んで申告しないのは損

年末調整できない人・確定申告が必要な人

以下のケースに該当する場合、年末調整のみでは対応できず確定申告が必要です。

ケース 対応
1年間の給与の総額が2,000万円超 12月の年末調整の対象外。確定申告が必須(国税庁 No.1900)
副業・アルバイト等の所得が20万円超 年末調整後に確定申告で副業分を申告。「20万円」は収入から必要経費を引いた所得の額(住民税は20万円以下でも要申告のことあり)
医療費控除を受けたい 年末調整の申告書には医療費控除の欄がなく、確定申告で受ける。年間の医療費が10万円超(総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額等の5%超)の場合に適用(国税庁 No.1120)
住宅ローン控除の初年度 1年目は確定申告が必須。2年目以降は年末調整に切り替え可能
ふるさと納税の寄附金控除(6自治体超またはワンストップ特例未利用) 年末調整では適用不可。確定申告で申告(5自治体以内のワンストップ特例を使い、確定申告をしない場合は申告不要。確定申告をするとワンストップ特例は無効になる)(国税庁 No.1155)
退職所得・不動産所得・株式譲渡益等の収入がある 給与以外の所得は年末調整の対象外。所得の種類と金額によって確定申告が必要になる
年内に離婚・婚姻・扶養の異動があった(かつ会社への申告が間に合わなかった) 年末調整のあとで扶養親族などが変わった場合は、年末調整をやり直すか、確定申告で精算できる(国税庁 No.2671)
確定申告の申告期間は原則として翌年2月16日〜3月15日です。 e-Tax(電子申告)を使えばスマートフォンやPCから申告できます。

還付金はいつ・いくら?金額目安と振込タイミング

年末調整で還付金が発生する仕組みを正しく理解しましょう。

還付金の計算式

項目 内容
1年間の源泉徴収税額(概算) 毎月の給与・賞与から天引きされた所得税の合計(年間通算)
年調年税額(正確な税額) 給与収入 − 給与所得控除 − 各種所得控除(基礎控除・保険料控除・扶養控除等)= 課税所得 → 税率を掛け、税額控除を引く
還付金 or 追徴 源泉徴収税額 − 年調年税額がプラス → 還付 / マイナス → 追加徴収

令和8年分で控除がいくら増えるか(令和7年分との比較)

令和8年分は基礎控除と給与所得控除の最低保障額が引き上げられるため、令和7年分より所得控除(給与所得控除+基礎控除)が増える会社員が多くなります。 増える控除額に、その人の所得税率(5%〜)を掛けた額が、おおよその減税額です。 下の表は、独身・保険料控除なしの単純なモデルで、国税庁が公表している控除額から計算した「控除の増加額」です。

ケース(給与収入) 令和7年分の控除(給与所得控除+基礎控除) 令和8年分の控除 控除の増加額
200万円 68万円+95万円=163万円 74万円+104万円=178万円 15万円
400万円 124万円+88万円=212万円 124万円+104万円=228万円 16万円
700万円 180万円+63万円=243万円 180万円+67万円=247万円 4万円
1,000万円 195万円+58万円=253万円 195万円+62万円=257万円 4万円
給与所得控除は、給与収入200万円が令和7年分68万円(収入×30%+8万円)・令和8年分74万円(最低保障)、400万円が124万円(収入×20%+44万円)、700万円が180万円(収入×10%+110万円)、1,000万円が上限の195万円です(400万円以上は両年分とも同額)。 基礎控除は、給与収入からこの給与所得控除を引いた額を「合計所得金額」として、上の基礎控除の表で当てはめました。 例えば増加額16万円のケースで所得税率が10%なら、減税額は約1.6万円です(復興特別所得税は別。実際の税率は課税所得によって5%〜)。 社会保険料控除・扶養控除・保険料控除などで課税所得が変わるため、実際の金額は人によって異なります。 令和8年11月までの毎月の源泉徴収は従来どおりのため、増えた控除は令和8年12月の年末調整で精算されます。 税率は国税庁 No.2260、給与所得控除はNo.1410、基礎控除はNo.1199(2026-10-11確認)。

還付金の振込タイミング

  • 最も多いケース: 年末調整を行った月(通常は12月)の給与で、納める税額から差し引く形で精算
  • 会社によっては1月給与・賞与支給時に合算するケースもある
  • 還付金ではなく不足額になる場合は、年末調整を行った月の給与から徴収(一定の条件で1月・2月に分けて徴収する扱いもある)

よくある質問(FAQ)

年末調整を忘れた(期限を過ぎた)場合はどうすればよいですか?
確定申告で対応できます。年末調整の申告書の提出を忘れたり、会社が年末調整を終えた後で控除の申告が漏れていた場合は、翌年の確定申告(2月16日〜3月15日)で各種控除を申請できます。控除証明書・源泉徴収票を用意して、e-Taxまたは税務署窓口で申告してください。還付を受けるための申告(還付申告)は翌年1月1日から5年間できます(国税庁 No.2030 2026-10-11確認)。提出済みの申告に誤りがあった場合の「更正の請求」も、法定申告期限から5年以内です(国税庁 No.2026 2026-10-11確認)。
転職した場合(2社以上から給与を受けた場合)の年末調整はどうなりますか?
年内に転職した場合、年末に在籍している勤務先で年末調整を行います。前職の源泉徴収票を新しい勤務先に、勤務先が指定する期限までに提出してください。年末調整は前職分の給与も合算して計算するため、前職の源泉徴収票で確認できないと年末調整はできず、確定申告で精算することになります(国税庁 No.2674 2026-10-11確認)。また、副業・アルバイトの所得(収入から必要経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は確定申告が別途必要です(国税庁 No.1900 2026-10-11確認)。
育児休業中(育休中)でも年末調整の申告書を提出する必要がありますか?
育休中でも、年内に勤務先から給与の支払を受け、年末まで在籍している場合は、他の従業員と同じく年末調整の対象です。年末調整の対象は、扶養控除等(異動)申告書を提出している人のうち、1年を通じて勤務している人と、年の中途で就職して年末まで勤務している人です(国税庁 No.2665 2026-10-11確認)。社会保険料控除は「実際に支払った金額または給与から差し引かれた金額」が対象で、育休中に保険料が免除されている期間は、支払っていない保険料を控除に含めることはできません(国税庁 No.1130 2026-10-11確認)。育児休業給付金(雇用保険)は非課税で、給与収入には含まれません(国税庁 No.1191 Q&A 2026-10-11確認)。
扶養家族の収入が増えて扶養を外れる場合、年末調整でどう対応しますか?
令和8年分の扶養親族の要件は、合計所得金額62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)です。令和7年分は58万円以下(給与収入123万円以下)でした。この改正は令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用され、新たに要件を満たす親族は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要になります(国税庁「令和8年4月 源泉所得税の改正のあらまし」 2026-10-11確認)。扶養から外れる場合も、同じ異動申告書で異動事項を会社に届けてください。配偶者の分は「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」で、配偶者の収入の見積額を正しく記入します。
配偶者の年収の確認方法と配偶者控除・配偶者特別控除の違いを教えてください。
配偶者控除は配偶者の合計所得金額が62万円以下(給与収入のみなら136万円以下)の場合に適用されます。配偶者特別控除は、令和8年分は配偶者の合計所得金額が62万円超133万円以下の場合に段階的に適用されます(令和7年分は58万円超133万円以下)。いずれも本人の合計所得金額が1,000万円以下であることが要件です(国税庁 No.1191・No.1195 2026-10-11確認)。配偶者の年収は「1〜12月の合計収入見込み額」で記入します。見込みが外れて控除額が変わったときは、確定申告で精算できます。
控除証明書等のデータをマイナポータル連携で取得する方法を教えてください。
マイナポータルと連携すると、生命保険料・地震保険料・国民年金保険料などの控除証明書等データをまとめて取得できます。流れは①マイナンバーカードとパスワード、カードを読み取れるスマートフォンまたはICカードリーダを用意(マイナポータルの「年末調整の事前準備」に沿って設定)②マイナポータル連携で控除証明書等データを取得③国税庁の「年調ソフト」または勤務先の年末調整ソフトにデータを取り込み、申告書データを作成④申告書データと控除証明書等データを勤務先に提供、の4ステップです。勤務先のシステムがデータの取り込みに対応しているかは、勤務先の案内で確認してください。国民年金保険料は、ねんきんネットの事前利用手続が10月中旬までに必要です(国税庁 マイナポータル連携 2026-10-11確認)。
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)1年目と2年目以降の手続きの違いは何ですか?
1年目は確定申告が必須・2年目以降は年末調整で完結します。住宅ローン控除の初年度は、税務署への確定申告(2月16日〜3月15日)が必要です。確定申告の後、税務署から「住宅借入金等特別控除申告書」が、控除を受けることとなる各年分まとめて送付されます(年数は控除期間によって異なります)。2年目以降は毎年この申告書と「住宅借入金等特別控除証明書」を会社に提出します。「年末残高等証明書」の添付は、金融機関が税務署へ年末残高の情報を提出する「調書方式」の場合は不要で、調書方式でない「証明書方式」の場合に必要です(国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」2026-10-11確認)。どちらの方式かは、届いた控除証明書の記載で確認してください。
還付金はどのように計算しますか?いくら戻りますか?
還付金 = 年間に源泉徴収された所得税額 − 年調年税額(正しい所得税額)です。年調年税額は「課税所得(給与収入 − 給与所得控除 − 各種所得控除)に税率を掛け、税額控除を引いた額」で計算します。毎月の源泉徴収は概算のため、扶養控除・保険料控除などを年末に反映すると差額が出ます。令和8年分は基礎控除が最大104万円、給与所得控除の最低保障が74万円になるため、令和7年分より控除が増える人が多くなります。ただし、この改正は令和8年12月1日以後に支払う給与等から適用され、令和8年11月までの毎月の源泉徴収は従来どおりです。増えた控除は令和8年12月の年末調整で精算されます。控除の増加分に所得税率を掛けた額がおおよその減税額です。
副業収入が20万円を超える場合、年末調整と確定申告はどう使い分けますか?
会社員で副業の所得(収入から必要経費を引いた額)が年間20万円を超える場合は、年末調整とは別に確定申告が必要です。会社では主たる給与の年末調整を行い、副業分は確定申告(翌年2月16日〜3月15日)で申告します(国税庁 No.1900 2026-10-11確認)。「20万円」は収入ではなく所得の金額です。副業の所得が20万円以下でも、住民税の申告が市区町村で必要になる場合があります。
控除証明書が間に合わない・紛失した場合はどうすればよいですか?
各保険会社・金融機関に再発行を依頼するか、マイナポータル連携で控除証明書等データを取得するかで対応できます。紙の控除証明書を紛失した場合は、保険会社・金融機関の問い合わせ窓口に再発行を依頼してください。住宅借入金等特別控除証明書を紛失した場合は、税務署に再交付を申請します。年末調整の時点で証明書類が手元にない場合でも、翌年1月末日までに提出または提示することを条件に、勤務先が年末調整をしてよいことになっています(国税庁「年末調整のしかた」2026-10-11確認)。勤務先の運用が優先されるので、先に勤務先へ相談してください。