
- 個人間不動産売買契約書テンプレートを5パターン・落とし穴30項目チェックリスト付きで無料ダウンロードできる
- 親子間・親族間売買での贈与税回避・離婚時の不動産分与の手順がわかる
- 個人間売買で住宅ローンを組む方法と所有権移転登記の進め方がわかる
個人間不動産売買のメリットと3大トラブル
個人間売買の最大のメリットは仲介手数料の節約です。売買代金3,000万円の場合、 宅建業法46条 に基づく仲介手数料は売主・買主双方合計で最大193万円かかりますが、個人間売買では不要です。一方で 民法562条 契約不適合責任 の処理を当事者間で完結する必要があります。
3大トラブルと対策
- 契約不適合責任のトラブル(雨漏り・シロアリ等の隠れた瑕疵)
対策: 物件状況確認書(告知書)を作成して告知義務を果たす。特約で責任範囲を明確化する - 住宅ローン否認による契約解除
対策: 住宅ローン特約を必ず入れる。期限は余裕を持って1〜2ヶ月程度に設定する - 所有権移転登記の遅延・忘れ(二重譲渡リスク)
対策: 残代金支払いと同日に司法書士に依頼して登記を完了させる
個人間売買のトラブルを防ぐ|弁護士に事前相談する
個人間不動産売買は仲介手数料を節約できる反面、トラブル時の保護が少なくなります。弁護士への事前相談(契約書チェック)で安全性を高めることができます。
弁護士に無料相談する →個人間売買契約書の書き方(個人間特有の5条項)
- 現状有姿売買の明記:「現状のまま引き渡す」旨を明確に記載する。修繕・クリーニングの義務を負わないことを合意事項として盛り込む
- 物件状況確認書(告知書)の添付:雨漏り・シロアリ・給排水管の不具合等、知っている瑕疵を全て開示する書類を別紙として添付する
- 契約不適合責任の任意特約:個人間売買では「引渡し後の契約不適合責任は負わない(免責)」または「○年以内の告知外の瑕疵に限り責任を負う」等の特約を入れられる
- 所有権移転登記の手順を明記:「残代金支払い同日に売主の司法書士への委任状交付を行い、登記申請を行う」旨を明記する
- 印紙税負担の明記:「売主・買主各自が1通ずつ保管し、各自が自己保管分の印紙税を負担する」等と記載する
個人間売買の印紙税額(国税庁基準)
国税庁 印紙税額一覧表 に基づく不動産売買契約書の印紙税は次の通りです(軽減税率適用前)。2024年4月以降の契約は軽減後の税率が適用されます。
| 記載金額 | 本則税率 | 軽減税率(〜2027年3月) |
|---|---|---|
| 500万円超〜1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超〜5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超〜1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 1億円超〜5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
個人間不動産売買契約書 14条逐条解説
個人間不動産売買契約書は、一般的に14条構成で作成されます。各条文の意味と実務上の注意点を逐条で解説します。仲介業者を介さない個人間売買では、当事者双方がこれら全条項の意味を正しく理解しておくことが安全な取引の前提となります。
| 条文 | 条名 | 要点 |
|---|---|---|
| 第1条 | 売買目的物 | 登記簿と完全一致した物件特定(所在・地番・地目・地積・家屋番号)が必須。曖昧な記載は契約無効リスク |
| 第2条 | 売買代金 | 総額表記し、土地・建物・消費税の内訳を明記。建物部分は税込/税抜を必ず区別する |
| 第3条 | 手付金 | 売買代金の10〜20%が目安。 民法557条 に基づく解約手付であることを明記 |
| 第4条 | 残代金支払 | 残代金支払と所有権移転・引渡しを同時履行とする。支払期日と支払方法(銀行振込推奨)を特定 |
| 第5条 | 所有権移転 | 残代金完済時を所有権移転時期とするのが原則。先行移転は売主側のリスクが極大化 |
| 第6条 | 引渡し | 鍵・付属設備の説明書・関係書類一式の引渡しを明記。引渡し完了確認書面の作成を推奨 |
| 第7条 | 公租公課等の精算 | 固定資産税・都市計画税・管理費等を引渡日基準で日割り精算する。起算日(1月1日 or 4月1日)を明記 |
| 第8条 | 契約不適合責任 | 民法562-564条 準拠。個人間売買では責任期間(引渡しから3ヶ月程度)の特約が一般的 |
| 第9条 | 手付解除 | 履行着手前は買主は手付放棄、売主は手付倍返しで解除可能。期限を明記する |
| 第10条 | 融資特約 | 住宅ローン否決時の白紙解除条件。承認期限・金融機関名・融資予定額を必ず特定 |
| 第11条 | 境界明示 | 土地売買では境界確認書(境界標の位置を確定した書面)の添付を推奨。後の越境トラブルを防止 |
| 第12条 | 反社会的勢力排除 | 双方が反社でないことの表明保証。違反時の解除条項。現代の不動産契約では必須条項 |
| 第13条 | 協議事項 | 契約書に定めのない事項は信義誠実の原則に従い協議で解決する旨を規定 |
| 第14条 | 管轄裁判所 | 物件所在地の地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする。紛争時の遠隔地訴訟リスクを回避 |
特に第8条(契約不適合責任)と第10条(融資特約)は、個人間売買において最もトラブル化しやすい条項です。条文を曖昧に作成すると後の紛争で不利になるため、高額物件では弁護士による契約書チェックを強く推奨します。
14条全文の作成・チェックを弁護士に依頼する
個人間売買契約書は1条でも記載漏れがあると数百万円の損失につながります。弁護士による契約書作成・チェックで安全な取引を実現できます。
弁護士に無料相談する →親子間・親族間売買の特別な注意点
- 贈与税みなし課税の回避:市場価格(実勢価格)で売買することが必須です。路線価(市場価格の約80%)での売買は差額が贈与とみなされる可能性があります( 国税庁 No.4423 参照)
- 実勢価格の確認方法:不動産会社への査定(一括査定サービスが便利)または不動産鑑定士への鑑定依頼で確認します
- 親族間ローンの注意点:金利の記載(年1.6%程度が目安)・返済スケジュールの明記・通帳等による返済実績の証拠保存が必要です。無利子・返済実績なしの場合は贈与とみなされる可能性があります
離婚に伴う不動産分与の場合
- 財産分与か売買かの選択:財産分与は贈与税が非課税ですが、譲渡所得税は課される場合があります。どちらが有利かは税理士への確認をお勧めします
- 共有名義の解消方法:①売却して代金を分ける②一方の名義に統一する(売買または財産分与)③そのまま共有を続ける(離婚後はトラブルが多いため非推奨)
- 住宅ローン残債がある場合:金融機関の承諾なしに名義変更はできません。オーバーローン(残債が売却価格を上回る)の場合は任意売却を検討する必要があります
個人間売買で住宅ローンを組む方法
- 対応している金融機関:一部の地方銀行・ネット銀行が個人間売買向けの住宅ローンを取り扱っています。大手メガバンクは対応していない場合が多いです
- 必要書類:売買契約書(個人間用)・物件の登記簿謄本・固定資産評価証明書・物件の図面等が必要です
- 審査通過のコツ:物件の担保評価(固定資産評価額・実勢価格)と申込人の年収・勤続年数が審査の主要因です
所有権移転登記は司法書士に依頼する
個人間売買でも所有権移転登記は司法書士への依頼が一般的です。費用は5〜10万円程度ですが、二重譲渡防止・書類の正確性確保という安全面での価値があります。
仲介売買 vs 個人間売買 vs 公正証書化の比較
| 比較項目 | 仲介売買 | 個人間売買 | 個人間+公正証書 |
|---|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売買代金×3%+6万円×双方 | 0円 | 0円 |
| 重要事項説明 | 宅建士による義務 | なし(買主が自衛) | なし |
| 契約不適合責任 | 原則あり(特約調整可) | 免責特約が一般的 | 免責特約が一般的 |
| 強制執行可能性 | 裁判が必要 | 裁判が必要 | 公正証書で即可能 |
| 所有権移転登記 | 司法書士が代行 | 本人申請可・司法書士推奨 | 同左 |
| 追加費用 | 仲介手数料のみ | 司法書士費用5〜10万円 | +公正証書化費用(売買代金の0.05〜0.3%) |
| 適したケース | 初めての売買・第三者間 | 親族間・知人間で信頼関係あり | 分割払い・代金未払いリスクあり |
個人間売買の落とし穴チェックリスト30項目(抜粋)
契約前チェック(5項目)
- 登記簿謄本で現在の所有者・抵当権の状況を確認した
- 不動産の市場価格(実勢価格)を一括査定等で確認した
- 物件の現状(雨漏り・シロアリ・給排水管等)を売主に確認した
- 住宅ローンを使う場合、対応している金融機関を確認した
- 固定資産税・都市計画税の年額を売主から確認した
契約時チェック(5項目)
- 物件の表示が登記簿謄本と完全に一致している
- 手付金の性質(解約手付)を明記した
- 住宅ローン特約の承認期限を明記した
- 物件状況確認書(告知書)を別紙として添付した
- 印紙税の負担方法を明記した
引渡し後チェック(5項目)
- 残代金支払いと同日に所有権移転登記を完了させた
- 固定資産税の名義変更を市区町村役場に届け出た
- 火災保険の名義変更を完了させた
- 鍵の引渡し数(スペアキー含む)を確認した
- 残置物がないかを引渡し時に確認した
全30項目はPDFダウンロードでご確認いただけます。
個人間売買契約書のNG例10個
実際にトラブルとなった個人間売買契約書のNG例を10パターン紹介します。各NGの実害と回避策をセットで把握し、契約書作成時の漏れチェックに活用してください。
- NG1: 物件特定が曖昧(地番だけ・登記簿不参照)
実害: 隣地と取り違え発覚→契約無効・登記やり直しで数十万円の追加費用
回避策: 登記簿謄本を取得し、所在・地番・地目・地積・家屋番号を完全一致でコピーする - NG2: 売買代金の税込/税抜不明
実害: 引渡し時に消費税分(建物価格の10%)の支払義務で揉める→数十〜数百万円の負担争い
回避策: 「総額○○円(うち建物○○円・消費税○○円・土地○○円)」と内訳を明記する - NG3: 手付金と内金の混同
実害: 手付解除のつもりが内金扱いされ解除不可・違約金発生
回避策: 「本手付は解約手付とする」と明記。民法557条準拠を契約書内で示す - NG4: 残代金支払時期の不明確
実害: 売主の引越し計画が崩れる・買主の住宅ローン実行日とズレて二重金利発生
回避策: 「○年○月○日までに振込」と確定日付を明記。同時履行原則を確認 - NG5: 所有権移転時期と引渡時期の不一致
実害: 所有権移転後に売主が居座り→明渡訴訟で半年以上の遅延
回避策: 残代金支払・所有権移転・引渡しを同日同時履行とする条項を入れる - NG6: 公租公課精算規定なし
実害: 固定資産税・都市計画税の負担で揉める→年額10〜30万円の負担争い
回避策: 引渡日基準で日割り精算する旨と起算日(1月1日 or 4月1日)を明記 - NG7: 契約不適合責任の期間記載なし
実害: 引渡し1年後の不具合でも責任追及される→修繕費数百万円の負担
回避策: 「引渡しから3ヶ月以内に通知された不具合に限り責任を負う」等の特約を入れる - NG8: 融資特約の期限記載なし
実害: 住宅ローン否決でも解除不可・手付金放棄・違約金発生
回避策: 「○年○月○日までに融資承認が得られない場合は白紙解除」と承認期限を特定 - NG9: 反社条項なし
実害: 司法書士が登記受託拒否・金融機関がローン承認拒否→契約頓挫
回避策: 双方の表明保証・違反時の解除権・損害賠償条項を必ず入れる - NG10: 管轄裁判所未定(紛争時に困る)
実害: 売主東京・買主大阪で物件が福岡の場合、訴訟提起場所で揉める→訴訟費用増・遠隔地出廷負担
回避策: 「物件所在地を管轄する地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とする」と明記
これら10項目はいずれも、契約書作成時に1分で確認できる項目ばかりです。しかし1項目でも漏れると数十〜数百万円の損失につながります。テンプレートをそのまま使うのではなく、必ず10項目チェック後に署名捺印してください。
個別事情に対応した契約書を弁護士に依頼する
NG10項目を全てクリアした契約書テンプレートが必要な方は、弁護士に直接作成依頼するサービスの利用が確実です。費用は3〜5万円程度で、数百万円の損失を防げます。
弁護士に無料相談する →関連テンプレート
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親子間売買は贈与税がかかる?
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参考文献・出典
本ページの内容は以下の公的情報源に基づき作成しています(2026-05-12 確認時点)。